未来知識で2回目の人生を無双する予定が即崩壊した上にネットミームとなってしまった件について   作:かにしぐれ

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初コラボ 料理配信 前編

売り言葉に買い言葉というか、その場のノリでかぐやとのコラボを決めてしまったわけだが、私には後悔はなかった。かぐや側では生放送だというのが懸念点ではあるが、なんとかなるだろう。

 

それよりも、かぐやから送られてきた食材の確保だ。劇中でも初っ端から凝った料理を作っていたかぐやだが、案の定要求していたもの中に一般的じゃない食材が入っていた。M〇CO'Sキッチンでしか聞いたことないぞ、こんな野菜。

 

やや調達難易度が高い食材があったものの、現代の物流にかかればなんのその。当日は食材の搬入以外にも色々と準備があるため私だけ先に現地入りして色々と作業をこなしていた。私の準備がひと段落したところで合流の時間となったため最寄り駅までかぐやを迎えに行くと、そこにはかぐやだけでなく彩葉たち女子高生3人組も一緒に居るのだった。

 

これは事前に決まっていたことで、かぐやが何か()()()()()()()が不安なので当日は3人も現場に来るという連絡があった。人が増えるのは良いのだが、この状況はかぐやだけじゃなくて芦花と真実の二人とのコラボにもなってしまうのではと思い確認したところ、本人たちはそのつもりで来ているから大丈夫という返答があった。

 

かぐやが芦花・真実の二人とコラボするのはKASSENが初めてではないだろうとは思っていたが、まさかその最初に私が絡むことになるとは…

 

まぁ、これは悪いことではない。彩葉に加えて芦花と真実の二人が居るのならば悪童(クソガキ)要素が強めの初期かぐやであろうとも比較的良い子にしてくれるだろう。

 

つまり放送事故が起こる確率はゼロと言っても過言ではない。危険がほぼ去ったことに内心でガッツポーズを決めつつ、かぐやに付いてきてくれた3人に私は礼を言った。そうすると、かぐやが「ねぇ、かぐやには~?」と絡んできたので、そこはしっかりと大人としてかぐやにも社交辞令をつくしておく。

 

売られた喧嘩は買うが、それはそれとして礼儀は尽くすべきなのだ。対戦相手に対しての挨拶は大事、古事記にもそう書いてある。

 

スタジオに移動して撮影機材の準備をしていると、かぐやはスタジオ内の探検を始めてしまった。これは想定内なので放っておいてこちらで作業を進めておく。好奇心旺盛なかぐやを止めることなど誰もできないのだよ。彩葉によるストップが掛からないのであれば、放っておくのがきっと最善なのだ…

 

 


 

 

 

「かぐやっほー!」と元気な挨拶と共に配信が始まる。配信の画面にはかぐやと芦花と真実の3人が映し出されている。いろPこと彩葉は基本的にかぐやの配信には映らない方針なので、今日も声のみの出演の予定である。

 

そして私はというと、画面外から腕だけの参加である。動画投稿でも手元しか映していないし肉声も乗せていないのだ。だから、今日の配信もこれで腕のアクションだけで通すつもり…だったのだが、

 

「なんでナギはそこに居るのさ。どりゃ~!」

 

と、共演者として紹介された時に腕だけ伸ばして手を振っていたら、その腕をかぐやに掴まれ思い切り引っ張られた。事前の打ち合わせでも私は画面には映らないと言っておいたのに…!

 

突然のかぐやの行動に踏ん張って抵抗することができず、私は引っ張られるままに画面へフレームイン。予定外の配信実写デビューを果たしてしまった。お前にはダンシングベイビーという前科がある? あれはノーカウントだノーカウント。

 

女の子しか映っていない空間に突如男が現れるとか炎上するのではと恐る恐るコメント欄を確認すると、

 

 

『男ぉ!…の子?』

『完全に想定外っぽくて草w』

『草に草を生やすな』

『身バレ回避失敗w』

『あ~、ナギってツクヨミ内では普通に本人が店番してるからギリセーフ?』

『アバターとリアルは別物でしょ。ツクヨミのはリアル準拠の姿とはいえ』

『ていうか、ナギって学生?』

『ろかまみより年上には見えないな』

『かぐやちゃんとはどっちが上なんだろうね』

 

等々のコメントが流れていた。どうやら、今のところ炎上はしてなさそうだ。だからといって、これで良いわけがないのだが。

 

 

「かぐやさんや、どりゃーじゃないんですよ。俺は顔出ししないって事前に話してたでしょう?」

 

「でもでも、ここに居るのに映らないのは損じゃない?」

 

「俺は動画でも顔は出してないからそれで良かったんですよ。もう手遅れですけど。今から入れる保険とか無いですかね?」

 

『ナギ迫真の抗議』

『そこになければ無いですね…』

『アキラメロン』

 

だがしかし、かぐやもコメント欄も非情である。これが現実…!

 

『開幕から事故ってるけれど、これ料理の方も大丈夫なん?』

『ナギは動画投稿しているけど、かぐやちゃんは自己申告だからなぁ…』

『めちゃくちゃな包丁の持ち方をしてナギが発狂しそう』

 

「なんだなんだリスナー共ぉ。かぐやちゃんの料理の実力が信用ならんのか~?」

 

『それはそう』

『今のところ信ぴょう性/Zero』

『むしろ安心できる要素is何処?』

 

 

なお、配信のコメント欄はかぐやにも割と容赦ない模様。初配信から今日までの配信内容だと、歌動画以外はかなりの暴れっぷりだから仕方がない。正統派の歌ってみた動画を上げた時の反応も

 

『うわっ誰だこの美少女』

『双子の姉妹を連れてきた説』

『急に美少女になるな』

『奇行さえなければ美少女。奇行さえなければ』

 

といったものが多かった。ストレートに可愛いとか歌が上手いとか褒めてたコメントもあったが、それらは女性リスナーのものなのかもしれない。映画でもかぐやの踊りを真似してる女子高生のカットがあったわけだし。

 

一方、現在の配信の方はというと

 

「吐いた唾は飲めないからなリスナー共ぉ! かぐやの料理でギャフンといわせてやるからな!」

 

『万に一つも可能性は無いから大丈夫』

『ナギやろかまみにサポートされっぱなしだったら無効だかんね!』

『やれるもんならやってみろ』

『もしちゃんと作れたら赤スパしてやんよ!』

 

かぐやがリスナーと思いっきりプロレスをしていた。いや、君たちノリがいいね。だがリスナーの諸君、誠に残念ながらかぐやは本当に料理が上手なのだよ。だから君たちの負けは確定しているのだ。しかし詐欺もいいところだよなとかぐや本人を目の前にして改めて思う。こんな調子のキャラで料理が上手いとか誰がわかるか!

 

おっと、このままではいつまで経っても料理へ進まなそうだ。私が進行しなくては。そう思い、あらかじめ用意していたフリップを取り出して今日のメニューの説明を開始する。本当はかぐやにこのフリップを渡して説明してもらう予定だったんだよなぁ…

 

「というわけで本日作るメニューはこちらです」

 

『かぐやとの温度差で風邪ひきそう』

『顔バレというアクシデントがあったものの淡々と進行するナギに草』

『メニューのフリップ助かる』

『トマトハンバーグとコーンポタージュとサラダ、か』

『ハンバーグは良いとして、ポタージュを作るのか? 難しくないか?』

『ク〇ールのカップスープとかじゃなくて一から作るの?』

 

「はい。ポタージュはスープの素を使わずに作ります」

 

「これはね~、かぐやが最初に彩葉に食べてもらった料理なんだ~」

 

そう、今日作るメニューは劇中でもかぐやが彩葉に振舞ったあのハンバーグのセットである。本日のメニューがこれに決定したのは勿論かぐやからの要望だ。きっと彼女にとっての思い出の料理を一発目の料理配信のネタにしたかったのだろう。

 

両手を頬に当てくるくると回りながら、嬉しそうにこのメニューにした所以を語るかぐや。君って彩葉の事になると露骨に可愛くなるよねと思っていると、

 

『かわいい』

『いろPの事になると声が高くなるな』

『いろPの名前を思いっきり言ってて草』

『かぐやちゃん、最初っからいろPの名前を言っちゃってたし今更よ』

『ネ、ネットリテラシーはどこ…ここ…?』

『名前程度、顔バレしたナギよりはマシだからセーフセーフ』

『いろPも実写が映りかけたことがあるんですがそれは…』

『アーカイブでは該当の箇所は削除されてるからセーフだ』

『配信の切り忘れには注意よ~』

 

などとコメントでも指摘されていた。…って彩葉って既に顔バレしてるの!? 確かに、私はかぐやの配信の全部をオンタイムで追えていないのだが、まさか私が見ていなかった生配信で既にやらかしていたとは。

 

そんなやり取りをしつつ、料理を進めていく。かぐやと芦花と真実の3人にはスープを担当して貰った。かぐやは以前もベシャメルソースを作るところからやったようで、手際よく小麦粉とバターを焦がさずに炒めていた。

 

それを見たリスナーはかぐやが料理ができることを早々に認めて白旗を上げ、

 

『かぐや、お前の勝ちだ。好きにしろよ』

『これマジで料理慣れしてるやつじゃん』

『嘘だ…あのかぐやちゃんがまともに料理をしているなんて…』

『ろかとまみへの指示も的確だし、もしかしてかぐやちゃん頭つよつよ?』

『これは早くも新解釈だな』

 

などとコメントしていた。どうせ結果が見えている勝負なのだから、早いうちに決着をつけさせてやろうという私の采配が当たったようだ。赤スパ宣言ニキが速攻で赤スパをしていたのには笑ってしまったが。そういう潔い人は好きだぞ。

 

撮影のカメラは最初こそ固定だっただ料理中は彩葉が手に持って各人を映すスタイルにしている。とはいえ画的には野郎を映すよりも女の子を映す方が華やかでいいだろうということで、私が野菜を切る等の下準備の最中はずっとかぐや達を映すということを事前に決めていた。

 

そう、()()()()()()()()()()()のだ。かぐやならともかく、彩葉が打ち合わせの予定を崩すはずが無い。なのに、何故彼女は凄い顔をしながらこちらにカメラを向けたのだろうか…

 

『何…その、何…?』

『はえ~、すっごい残像』

『玉ねぎのみじん切りなのはわかるがスピードが異常』

『あのスピードで包丁を振り下ろしておいて工事現場みたいな音がしないのは最早ホラーだろ』

『なんであれでスコココッて軽い音しかしないん?』

『あれ、これVR内だったっけ?』

『お使いの機器は正常です』

『なんかスゲェ包丁捌きするらしいじゃん』

 

その答えはコメント欄にあった。リスナーからの指摘で私も彩葉がこっちを見た理由に納得する。自分でやっていると感覚が麻痺してくるが、料理していて手元に残像が発生するとか常識では考えられないだろう。

 

だが、こうするのが最高効率なのでやっているだけであり、パフォーマンスでは無いのだ。だからとんでもない目力でこちらを見るのはやめて欲しい。あとやってる事は材料をひたすら切っているだけで地味なのでかぐや達の方を映してほしい。

 

ほら、彩葉の様子に気が付いてかぐや達もこっちを見てしまったではないか。そして彩葉と同じような表情で固まる3人。あの、私はクマ吉君のような変態ではないので、そんな目で見るのはやめて欲しい。

 

『かぐやちゃん達も気が付いたw』

『音だけでは異常事態とは思えないからなw』

『誰だってそうなる。俺だってそうなる』

『なんでナギは不思議そうな目でこっちを見てるんだよw』

『不思議体験をしているのはこっちなんよ』

『こっちを見ながらでもその正確な包丁捌きはなんなの』

 

「何で俺の方を映しているんです? 俺の作業は地味だし撮れ高的に映す意味は薄いでしょう?」

 

「いやいやいや、それが地味とかあり得ないし!」

 

あの彩葉さん? 今日は声だけの出演までは必要な場面ではOKと言ってましたが、それは今なんでしょうか?

 

『貴重ないろPの発言シーン』

『もっといろPも配信に参加して』

『なんでこいつは自分の異常さに無自覚なん?』

『ナギお前常識人枠じゃなくてそっち側だったのか』

『なんか面白い事になりそうだな』

 

彩葉が思いっきり喋ったことでコメント欄も過熱して…ってなんか私の方へのコメントが多いな。まったく失礼なリスナー達だ。私が普通だとは思わないが、()()()()とはどういう事だ()()()()とは。

 

平和な配信になるはずだったのだが、序盤からこんな調子ではこの後も無事に乗り切れるのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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