世の中は果てしなく広い。
どこまでも続いている。
だからこそ俺は外の世界を見たかった。
行きたかった。
そう、ただただ夢見た。
海の向こうに。
「……」
アリアハン城下の中央部にある宿屋。
その二階で包帯ぐるぐる巻きの男がベッドで寝ていた。
大怪我を負った男。
巷では爆弾男と言われ有名になっているらしい。
爆弾男は寝ながら窓の外を見る。
空は青い。
どこまでも広がっている。
「今日も晴天だな」
爆弾男の異名、それは爆弾を作って爆発させたから。
アリアハン大陸の東方に位置するいざないの洞窟。
その深部には旅の扉と呼ばれる泉があり、遥か彼方のロマリアに通じていて魔法の力で行けるという。
ただその入り口は魔法の壁で閉じられている。
入る為には破壊するしかない。
破壊する方法は一つ。
それは魔法の玉と呼ばれるアイテムを使って壁を爆破する事。
その魔法の玉を作れるのはレーベの村にいる職人だけだがその家の入り口は特殊な扉で専用の鍵が無ければ入ることが出来ない。
そして職人は滅多に外に出てこない為に粘り強く家を張り込み遂には会うことができた。
しかし魔法の玉の製造技法は教えてはもらえなかった。
しかししつこく質問するとヒントを貰えたので自作する事にした。
それで色々と試してみていよいよ本番。
しかし所詮は偽物。
大爆発を起こしたが壁には傷一つつかず、代わりに自分が爆発に巻き込まれてこの様である。
「具合はどうだい?」
宿屋の主人が様子を見にきた。
魔法の玉を自作し大爆発を起こして大怪我をした人間の話はアリアハン中に広まり、それは王の耳にも届いた。
無謀な挑戦をした爆弾男に王は呆れながらも天晴れとして治療費を出してやる事にし現在アリアハン城下で治療中である。
宿代は宿屋の主人の好意で無料提供となっている。
爆弾男「ああ、だいぶ良くなったよ」
宿屋の主人「お前さんロマリアに行きたいんだったっけ?」
爆弾男「世界中を巡ってみたかったんだ」
宿屋の主人「なら朗報だ、いざないの洞窟の壁が破壊されたそうだ」
爆弾男「何だって?、魔法の玉が使われたのか?」
宿屋の主人「そういうこった」
爆弾男「誰がやったんだ?」
宿屋の主人「勇者だよ、魔王討伐に旅立ったのは知ってるだろ?」
爆弾男「そうか、そうだな…」
勇者の旅立ち、それはアリアハン大陸から出る事になる。
当然壁を壊さなければロマリアには行けない。
治療していた最中のためそんな事を考えるだけの余裕もなかったし、勇者の事もすっかり忘れていた。
爆弾男「朗報って言っても俺はまだ治療中で動けないし、動ける頃には壁は修復されているだろうしな」
宿屋の主人「ところがだ、王様が出された御触れでは壁は当分そのままにするんだそうだ」
爆弾男「何だって?、それは本当か?」
宿屋の主人「まぁ、そういう話だな」
爆弾男「そうか」
宿屋の主人「良かったな、治ったらまずはロマリアに行くといい」
爆弾男「そうだな…」
宿屋の主人「ん?、どうかしたか?」
爆弾男「いや、何にしても回復しないとな」
宿屋の主人「ああ、そうだ、ホイミの呪文を唱えてもらって栄養のあるモノを食べて寝てればすぐだ」