モンスターじいさん
ロマリアは今日も熱い。
暑いのではなく熱い。
城下の南西に位置する大きな建物のその地下にある格闘場。
そこはモンスター同士が戦う熱い戦いが日々繰り広げられている。
その中にあって予想屋と呼ばれる人間達がいる。
当たるも八卦当たらぬも八卦の予想。
とはいえ全くのデタラメではなくモンスターの強さを把握するのと日々の勝敗を記録し何が勝てるか、どの組み合わせならどれが勝つのか等のデータと経験と勘を元に予想している。
顧客が多いか少ないかはその予想屋の予想力にかかっている。
客は勝ちたくて予想を買いにくるのに外れまくる予想屋に金は出さない。
当たる予想屋は当然口コミで広がり客が来る。
当たらない予想屋は当然それなりである。
かつていた伝説の予想屋は当たるし話術も凄かったと聞く。
実際に会った事はないが凄すぎる逸話はいくらでも聞いた。
そうなりたいと思うがそう上手くはいかない。
「客来ないなー」
閑古鳥が鳴く予想屋。
向こうの予想屋は客で賑わっているというのに。
自分は全く当たらない訳ではないが外れる事が多い。
真っ当に働きたくなくて予想屋を始めてみたがマトモに稼げやしない。
そりゃ人気になれば稼げるがこの予想屋にはその予想力もトーク力も無い。
「お、いらっしゃい」
珍しく客が来た。
若い四人組だ。
その風貌から旅人だろう。
ロマリアの人間ではない事は明らかだ。
その四人の中の商人風の女の子が喋りかけてきた。
ピプル「お兄さん、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
予想屋「はい、次の試合の予想ですね?、5ゴールド頂きます」
ピプル「違う違う、ちょっとした情報が聞きたいの」
予想屋「俺は情報屋じゃないんだけどなぁ、まぁ、暇だからいいか、何が聞きたいんだい?、たいして知ってる事はないけど」
ピプル「格闘場にいるモンスターって誰が捕まえてきてるの?」
予想屋「ああ、それはモンスター協会だな」
ピプル「モンスター協会というのがあるのね」
予想屋「ああ、捕獲班は結構腕の立つ連中が揃ってるって話だよ」
ピプル「だって」
ユユナ「きゃはは、そうなんだー」
どうやらメンバーの一人の遊び人の子の好奇心から聞いてきたようだ。
予想屋「モンスター協会で有名なのはモンスターじいさんだよ」
ピプル「モンスターじいさん?」
予想屋「モンスター協会の会長でね、伝説のモンスターじいさんと呼ばれている」
ユユナ「伝説って何が伝説なのー?」
予想屋「モンスターじいさんは世界で唯一『魔物使い』の職に就いているんだよ」
ピプル「魔物使い?」
予想屋「その職に就いているとモンスターを仲間にできるんだとか」
カイン「モンスターが仲間になるなんて想像もできないな」
ピプル「確かにね、モンスターなんて仲間にできるの?って感じだけど」
ユユナ「スライムなんて仲間にすると可愛いかもー」
カイン「よせやい、弱過ぎて仲間にはいらねーよ」
ピプル「ホイミスライムだと回復はしてくれるんじゃない?」
ユユナ「確かにー、回復は薬草と勇者のホイミ頼りだしー」
カイン「バブルスライムだと敵モンスターに毒を喰らわせられるぞ」
ピプル「毒って受けると面倒臭いし毒消し草もいるけど敵に与える分には貧弱に感じるわね」
勇者「メタルスライムだと戦うより逃げ回りそうだ」
ユユナ「なーに?、メタルスライムってー?」
勇者「メタルボディの硬いスライムがいるんだ」
ユユナ「そんなのがいるんだー?」
勇者「逃げ足はとにかく速い」
カイン「ユユナみたいなもんか」
ユユナ「言ったなー」
はしゃぎまくる若い子を見ながら予想屋は苦笑いするしかなかった。
ユユナ「じゃあ、ありがとーお兄さん」
予想屋「いやいや」
ピプル「お礼です」
予想屋は20ゴールドを手に入れた。
去っていく旅人達を見ながら予想屋は思った。
「情報屋でもやろうかな?、俺」
その方が儲かりそうだ。