ロマリア城より北に位置するカザーブの村。
その北西にある教会の墓地で深夜一人の武道家がある墓の前で寝ていた。
精神統一の為に座禅を組んで瞑想していたがいつの間にかそのまま寝てしまったのだ。
その墓の中に眠るのは偉大なる伝説の武道家。
その伝説の武道家の強さはとてつもなく、素手で熊をも倒したという。
その他にも素手で虎を倒したとも逸話もあり、凄腕の武道家百人を一人で相手にし勝利したとも伝わる。
伝説の武道家の時代には魔物は居なかったが、その伝説の武道家ならば
きっと強力な力を持つモンスターすらも素手で倒してしまっただろう。
「俺はまだまだ…」
夢の中でモンスターと戦う武道家。
このカザーブ地方のモンスターは強い。
キラービーは麻痺させてくるしアニマルゾンビはボミオスを唱えて動きを遅くしてくる。
人面蝶はマヌーサを唱えて幻覚を見せてきて、こちらの攻撃が余り当たらない状態にされてしまう。
キャタピラーや軍隊ガニは攻撃が通りにくいほど防御力が高い。
硬さならさまよう鎧がダントツで素手では倒す事は困難、しかもコイツはホイミスライムを呼んでダメージを回復させてしまう。
鉄の爪が無ければ勝つ事は極めて難しいだろう。
それ程までに強いこの周辺のモンスターであっても伝説の武道家なら素手で簡単にそれらモンスターを倒してしまうだろう。
自分はまだまだであり更に修行を積まなければモンスターと素手で闘りあえるレベルには到達しない。
伝説の武道家の伝説には東方にあるという伝説の地ダーマも出てくる。
伝説の武道家はダーマに行き何年もの間修行をしたという。
ならば自分も同じ道を行けば伝説の武道家のように強くなれるかも知れない。
そう素手で熊をも倒したという伝説の武道家のようになるのが夢であり目標なのだ。
ドオーン。
遥か遠くから爆発音がした。
伝説の武道家になりたい夢を見ながら寝ていた武道家はその音に飛び起きた。
周りを見渡し東の空が赤く染まっているのを見た。
カザーブは山々の間に出来た村だ。
東には山々が連なりその更に向こうには平原と森林地帯と北部には凍土の地が広がっている。
そこには村も町もないしそもそも人が住んではいない地だ。
なのに爆発音と赤く染まる夜空。
「一体何が起こっているんだ?」
見れば音に驚き家からカザーブの住民達が少しづつ出てき始め東の空を指さしたりして不安気に話し合ったり動揺している。
山々にこだまする爆音。
それが何を意味するのかは分からない。
少なくとも武道家も村人達もただただ東の夜空を見上げ不安や動揺で見つめ続け遠くから爆発する音を聞いているしかない。
それは1時間近くも続き、そして静かになった。