カザーブの村から東へ。
山々を超えて開けた平原に辿り着いた勇者達。
ここか大きな爆発音がした場所だと誰もが思った。
なぜなら炭化した何か、抉れている大地、燃えた木々、色々とした生物の死骸らしき部分があちこちに散らばっていたからだ。
カイン「何だこりゃ、ひでーな」
ユユナ「何か凄ーい」
フォーン「一体これは…何がどうなったんだ?」
ピプル「えーと多分散らばっているのはモンスターの死骸ね、バラバラになってるけど」
カイン「あちこちにある黒い炭みたいのがモンスターの死骸ってのは分かったが数が多すぎねーか?、どんだけいたのか全く分からねーぞ」
ピプル「そうね、モンスターの大集会でもやってたんじゃないかな?」
カイン「そんなバカな」
フォーン「これらがモンスターだったとして、爆発は一体?」
勇者「イオナズンだ…」
フォーン「イオナズン?」
勇者「魔法使いの最上位魔法にイオナズンという爆発系攻撃魔法がある」
フォーン「ならばこれは魔法使いの仕業だと?」
勇者「間違いない」
ピプル「イオナズンって私も聞いた事があるけど、そんな上位の魔法使いが深夜にここでモンスターの群れ相手に戦ったっていうの?」
勇者「…かも知れない」
かも知れないではなく魔法使いがモンスターの大群を相手に戦ったのは間違いない。
抉れた大地の状態を見るにイオナズンを連発したのは明らかである。
最上位攻撃呪文イオナズンを連続で撃ち出せる魔力保持者はそうそう居ない。
しかもここにモンスターが集結しているのは知る者は限られている。
勇者の知る限りここに来てイオナズンを連発出来る魔法使いはたった一人だ。
それは『かつての世界』で一緒に旅をしたリサ。
リサならばこれは可能だ。
勿論イオナズンを唱えられるのはリサだけでなく賢者カタリナも使える。
しかしリサとカタリナでは得意とする攻撃魔法が違った。
リサがイオ系の魔法を好んで使用したのに対しカタリナはザキ系を得意として使った。
僧侶の時はバギ系が得意だったが賢者になってからは一瞬で死を呼ぶザキ系が最も効率が良いとしてザキやザラキを好んで使用していた。
もし仮にカタリナが戦ったならばザラキがこの地に吹き荒れ死体の山が出来上がった事だろう。
つまりこれはリサがここで戦った事を表し、そしてこれは自分に向けてのサインなのだ。
私はこの世界に居ると。
「リサはやはりここに来ているのか…」
そしてここで戦ったという事はかつての世界の記憶を持っている事も知らせている。
しかも実力を見るにレベル1からのスタートではなく、かつての世界の最終レベルのままこちらに来た可能性が高い。
可能性と言うのならアリアハンでは会わなかったが、戦士ダロムや賢者カタリナもここに来ている可能性は高くなった。
「助かったよ、リサ」
かつての世界ではカザーブの村を取り囲んだモンスター群と戦い村人も犠牲者が多く出た。
今回それに対する策は色々考えてはいたが、やはり自分の策では犠牲者は少なからず出ていただろう。
なにぶん経験が並外れているとはいえ今の自分はまだレベル10なのだから策にも限界はある。
カイン「その魔法使いってーのはどうなったんだ?、どこか行ったのか?」
勇者「多分もうここには居ないだろう、居るならとっくに出てきている筈」
フォーン「相打ちで死んだ可能性はないのだろうか?」
勇者「イオナズンを唱えられる程の魔法使いがこの辺一体のモンスターと相打ちになるっていうのは考えられないな」
フォーン「なるほど」
ピプル「でもそんなとんでもない魔法使いなんておっかなそうね」
勇者「そうだな…」
かつての世界ではピプルとリサは仲が良かったが…それはまた違う世界での話である。