「予想屋よ、次は何が来る?」
「え?、はい、えーと…」
俺は予想屋。
いつも変わらず予想屋。
マトモに働きたくなくて予想屋をやっている。
何か別の職をやろうなんて考えたりもするが人間なんてそうそう変われない。
何よりマトモな仕事なんてやった事がないし出来るとも思えない。
だからいつもの予想屋をやる。
当たる当たらないで言えば当たらない方の予想屋だ。
当然客なんて殆どいない。
客はよく当たる予想屋の方に行く。
これも当然だ。
何せ客は金儲けをしにきているのだ。
当たらない予想屋などに用はない。
今日も閑古鳥が鳴く…筈だが一人おかしな客がやってきてやたらと予想を求めてくる。
この客は元ロマリア王だ。
つい三日前までこの国の王様だった。
何やら王位を譲ったらしく今は元王として格闘場に一日中いる。
その譲られた新王はこの間会った事がある旅人だ。
旅人が王位を譲られた経緯は大盗賊カンダタによって奪われた国宝である金の冠を奪い返した事による。
と言ってもこの元王は度々大臣とかに王位を譲って暫くしてまた復帰するを繰り返しているためそれ程の衝撃はない。
ただ今回はロマリア王国とは全くの無関係な人物のため話題にはなっている。
しかも一部で囁かれているのは、あの伝説の勇者オルテガの子らしいという話。
なるほど、確かに全くの無名の旅人に流石に王位は譲らないだろう。
その噂の信憑性は高い。
「それにしてもお主の予想は余り当たらんの」
そう言ってカカカっと笑う元ロマリア王。
手には格闘場の店で売っている食べ物を片手にエンジョイしている。
予想屋「はい、余り当たらない予想屋として有名ですので」
元ロマリア王「当たらない予想屋か、結構結構、逆に言えば予想されたモンスター以外を買えば当たる確率が上がるとも言えるな」
予想屋「まぁ…そうなります…かね」
元ロマリア王「どうだ?、予想屋は楽しいかね?」
予想屋「楽しい…んですかね?、余り当たらないので客が少なくて楽しくない時もありますが」
元ロマリア王「何にしてもキチンと仕事をし税を納めておるのだ、胸を張ってよい」
予想屋「はぁ…」
ロマリアの政治は緩く税金も他国に比べて安いと聞く。
ただ治安の方も緩すぎてカンダタのような盗賊が跋扈しているが。
元ロマリア王「庶民というモノは実に楽しいな」
予想屋「そうでしょうか?、俺は貴族とか王族に生まれたかったですけど」
元ロマリア王「上に立つのも色々と面倒な事もあるのだ、だからワシは息抜きがしたいのだよ、王では格闘場で観客として来れないし賭札も買えはしないし、賭札を握りしめて買っているモンスターの応援もできん」
予想屋「それはそう…ですね」
金持ちならばギャンブルをする必要は無い…とは庶民の考え方だろうか?。
少なくとも元王は娯楽を心から楽しんでいるようだ。
元ロマリア王「ふむ…どうやらこれが最後の試合観戦になってしまいそうだな」
予想屋「え?、どういう事ですか?」
元ロマリア王「お迎えがきたようだ」
予想屋が元ロマリア王の視線の先を見ると新しい王様が階段を降りてくるところだった。
予想屋「もしかして新しい王様は王位を返すつもりでしょうか?」
元ロマリア王「ほ、ほ、ほ、その予想はおそらく的中であろうな」
笑う元ロマリア王に新しい王様が近寄ってきた。