鉄の斧というのは実に実戦向きの武器だ。
剣のように斬りつけるのではなく振り下ろし叩き込む。
それは力のある種族には最適であり。
つまりはワシにとっては最良の武器である。
「まじんの斧というのがあるらしい」
高い攻撃力を持つ逸品だがどこにあるか分からない。
会心率は高まるがミスる確率も高くなる。
しかし斧の中では最高級品なため手に入れたいと願う者は多い。
かく言うワシもその一者だ。
生きている内に是非にとも拝んでみたいものである。
ある者は新大陸にあるという伝説の精霊の泉に鉄の斧を投げ込めばまじんの斧と交換してくれると語る。
ある者は魔王城の奥深くに眠っているという者もいる。
だがハッキリとした事は定かではない。
確かな事は新大陸にも魔王が住まうネクロゴンドにもワシは行けないという事だ。
海を渡る術を持たないし、岩山に囲まれた断崖絶壁の大地に立つ魔王城など空でも飛べない限り辿り着く事は出来ない。
まぁ、そんな話は置いておいて。
エルフの里には売店がある。
祈りの指輪や眠りの杖等の貴重なアイテムが売ってある。
買えるのは同じエルフか異種族か。
異種族と言っても人間は購入出来ない。
とある事件が発端で売買はおろか里に足を踏み入れる事さえも出来なくなった。
ある事件とは人間の若者とエルフの王女が駆け落ちをした事である。
二人が駆け落ちした事に怒ったエルフの女王はノアニール出身の男の街に魔法をかけた。
街中の人々はこれによって眠らされた。
しかし二人は以前行方不明のままだった。
それから何年も経ち、冒険者達がこのエルフの里に夢見のルビーと手紙を携えやってきた。
それはエルフの里の近くにある洞窟の最深部にあったと言う。
夢見のルビーはエルフの宝であり王女が駆け落ちの際に一緒に持って行ってしまったものだ。
そして手紙は王女が女王に宛てたものであり、二人の仲を許してもらえないのならば命を断ちますという内容のものだった。
既に二人がこの世にいない事を知った女王は冒険者達に目覚めの粉を渡しノアニールの人々を目覚めさせる事にしたのだ。
そうしてノアニールの人々は数年ぶりに目覚めた。
ワシはノアニールの人々とも交流があったので喜んだ。
しかしエルフの王女とも交流があったので、二人のその終わりを知って手放しでは喜べないのは確かだ。
胸の内は複雑といったトコロか。
それはそうとエルフの里の売店で一つだけ気になる品物があるのだが非常に気になる一品だ。
それは優しくなれる本だ。
何でそんな物を売っているのか?。
エルフなんてちっとも優しくはないが、優しくなれる本を売っている矛盾はいかしたものか?
いや、優しくないからこそ本を読んで優しくなりたいのかも知れないが。
エルフA「あ、ホビット!」
ワシ「こんにちわじゃの、お嬢さん」
エルフA「話しかけないで、私、ホビットなんて大嫌いよ、ぷんぷん」
そう言うとエルフの少女は森の奥に行ってしまった。
ワシ「ワシ、ドワーフなんじゃが…」