東と西を明確に分ける山脈。
アッサラームの東に聳え立つ岩山は北方にあるオリビアの岬からアッサラーム海に至るまで縦一列に並びその岩山の向こうの土地に行く事を阻む。
このアッサラームから東に行くには危険を顧みず岩山を登るか海から船で回るかしか手はない。
しかしもう一つの選択肢が存在する。
それは…。
座長「ノルドの洞窟ですね」
勇者「ノルドの洞窟ですか」
アッサラームの街の西南にある建物。
その建物は街の名物であるベリーダンスを開催している劇場だ。
その楽屋に勇者は行き、そこの座長に話を聞いていた。
アッサラームの街の近くに岩山の下に掘られた洞窟があり、そこにはホビットのノルドが住む。
そしてそのノルドの洞窟から向こうの土地に行ける秘密の抜け道が存在しているという。
多くの人々が噂を聞いてノルドの洞窟を訪れたがホビットのノルドはしらばくれて教えてはくれないらしい。
だから誰も東には行けない。
その抜け道の噂は単なる噂であり本当はそんな抜け道なんて存在していないんじゃないかという話まで出ている。
真偽は分からないが大勢の人間がノルドの洞窟を訪れ、そして諦めてそのまま帰っていった。
しかし勇者はそれが単なる噂話ではない事を知っている。
なぜなら過去、かつての世界で実際にその抜け道を通って向こうの土地に行ったからだ。
抜け道の名前はバーンの抜け道。
だがその道はノルドによって秘密にされ、固く閉ざされノルドでなければこじ開ける事は不可能である。
隠し通路の場所は知っているので勝手に開けるという強引な方法もあるだろうが、こじ開ける音は大きくその最中にノルドに見つかって追い出されるのは確実だろう。
だからノルド自身に開けてもらう方が平和的に解決する。
しかしそこに至るには何ステップかを経る必要がある。
それはかなり面倒なのだが今回もやはりそのルートを辿る必要がありそうだ。
何か他に方法はないかと色々と聞き回ったがやはりかつての世界の通りに動くしか手はないようで。
「と言う訳で私が東に行けなかったここの座長です」
「ありがとうございます」
締めにそう言われて勇者は楽屋を後にする。
東の地にもベリーダンス劇場を建てるためにノルドの洞窟に行った座長だったが見事に追い返されたという話。
「ノルドか…」
バーンの抜け道を開けるには魔法の鍵を入手する必要がある。
その魔法の鍵はイシスにある。
イシスはここより西にある砂漠の中にある国だ。
砂漠を再び行く…それは避けたいが言ってもいられない。
この砂漠には地獄のハサミというモンスターが存在していて、このモンスターが唱える魔法のスクルトがかなり厄介だった。
ただでさえ硬い甲羅なのに防御力を高める魔法で更に甲羅が硬くなり打撃攻撃は殆ど通用しなくなる。
そうなったら僧侶や魔法使いの攻撃魔法で何とか倒せるのだが今回のパーティーは僧侶も魔法使いもいないので危険度はかなり増す。
あるとすれば自分のメラやギラぐらいなものだが地獄のハサミに効くかどうかは不明だ。
何せ暑い場所にいるモンスターだ。
前はバギやヒャドを使って倒せたが、メラやギラは使った事がないので分からない。
「ニフラムは効く…のか?」
厄介な地獄のハサミと遭遇した時にどうしようか?。
とにかく逃げるのがもっとも良いかも知れない。