アッサラームの街を支配するアッサラーム商会。
暴利を貪る悪商と噂が高いアッサラーム商人から利益を吸い上げているピラミッドの頂点に立つアッサラームの大富豪。
その大富豪である主人が着目しているのはアリアハンの勇者一行である。
勇者の何に着目しているのか?。
それは彼らの持つ武器や防具である。
側近「勇者一行が使っていたチェーンクロスを入手致しました」
大富豪「そうか、でかした」
側近「カザーブ地方にて勇者達が使用していた銅の剣やトゲの鞭も入手致しました」
大富豪「それも御苦労」
側近「あと勇者達が装備していた皮の鎧や亀の甲羅はロマリアで、鎖かたびらや皮の帽子、皮の盾はカザーブで入手致しました。
大富豪「入手しただけではなく誰が装備し、いつからいつまで使用したかまで記録しておけ」
側近「はい」
得意な顔の主人と違って私は微妙な顔をした。
そもそもなぜ主人が勇者達が使っていた武具を集めているのか?。
それはコレクターとしての収集である。
勇者達が魔王討伐を果たした暁には勇者達が使っていた武具や道具類には果てしないほどの価値ができるだろうという嗅覚からだ。
大富豪「ロマリアからアリアハンに行けるのだったな」
側近「はい、旅の扉の封印は破壊されそのままにされているという話しです」
大富豪「壁はアリアハン王国によってすぐに塞がれるのが常だった筈だがそのままになっているのはどうしてだ?」
側近「さぁ?、そこまでは分かりません」
大富豪「何にしてもアリアハンに行くチャンスだ」
側近「勇者の使用していた武具を買い取るのですね?」
大富豪「そうだ」
イシスにも調査と買取を兼ねたスタッフを派遣させてある。
そして勇者の道程を調べてアイテムを買い取る。
主人いわく幾らかかっても構わない。
こうと決めたら金に糸目を付けないのが主人だ。
側近「それにしても勇者達は本当に魔王を倒せるのでしょうか?」
魔王を倒す事を前提に動いているが倒せなければアイテムをコレクションする意味もないし価値も生まれないガラクタも同然だ。
主人が他の富豪仲間に見せびらかす事もできなくなる。
逆に見る目が無いと笑われるだけに終わる。
大富豪「私の目に狂いはないのだ!」
主人はムキになる。
自分の目に狂いはないという自負。
勇者は勇者として魔王を倒し勇者として名前を刻み後に伝説の勇者として語り継がれていくだろうという自信。
その時にアッサラームに来た時から勇者に着目していた主人の先見の明もまた富豪達から語り継がれていく事になるだろうという目算。
いかに他の富豪達よりも上に立てるか、それを考えているのが主人だ。
大富豪「あの勇者オルテガの子だ、必ずや魔王を倒せる」
側近「勇者オルテガですか…」
有名ではあるがその勇者オルテガもまた魔王討伐の旅に出て魔王の手下との戦いで命を落とした。
そのオルテガの子が魔王を倒せる根拠にはならないが、側近はそれを言うのを止めた。
主人の勇者オルテガ最強病は根強い。
オルテガの批判めいた発言は主人の怒りを買うだけだと承知している。
側近「情報では勇者達はポルトガに向かうようです」
大富豪「ポルトガか、あそこには船があるな、いよいよ大海に出るか」
側近「しかし勇者達に船を買う金があるとは思えませんが」
大富豪「うむ、そうだな、どうするのか見ものだな」
側近「……」
船はアッサラーム商会も所有している。
そんなに勇者を推しているなら一隻ぐらい貸しても良い…などとは主人は考えない。
それはそれである。