ロマリアの兵士2
ロマリア城から北西に位置するポルトガ領との国境。
そこは岩山を挟んで互いに建物が建ち地下通路で繋がっている。
しかし地下通路の入り口には特殊な扉が設置されており、利用できるのはそれに適合した鍵を持つ者のみである。
もちろんこの国境の建物を管理する国境警備兵は鍵を持っている。
しかしその鍵は厳重に保管され警備兵以外が取り出せないようになっている。
「暇だな」
私はそう考える。
しかし考え直す。
国境警備が暇なのは平和な証だ。
これが慌ただしければ大ごとだし大事件が起こったという事だ。
暇なのに限る。
しかしここの国境警備に意味があるとも思えない。
この先にあるポルトガは海洋王国と言われ造船技術が他の国に比べて発達しており船での移動がメインとなっている。
当然徒歩でポルトガからロマリアまで来る物好きはいないし、ポルトガに行こうなんてロマリア人もいない。
つまりは殆ど人が立ち寄らない場所なのだ。
必然的にこの国境の建物の警備などに意味が有るのか無いのか分からない状態である。
ちなみに向こうのポルトガ側にある建物にも警備兵は前まではいたが今は無人である。
無人といっても定期巡回には来るが常駐はしていない。
常駐している自分達が馬鹿みたいに感じるがロマリアの方針なのだから仕方がない。
「ロマリア城下に戻りたいな」
ついこの間まではロマリア城下にいて街の巡回の仕事をしていた。
話としては大盗賊カンダタが金の冠を盗んだ所から始まり、その時の兵士長や兵士達がクビにされたりカンダタ捕獲のチームに加えられ城下から居なくなった人手不足から、国境警備の任に着いていた自分がロマリアの巡回兵として召集され着任したのだ。
そのまま巡回班かと思ったらアリアハンから来た勇者一行がカンダタかから金の冠を奪い返し、事件は収まりカンダタ捕獲チームがそのまま巡回班として帰ってきた。
当然自分は再び国境警備に逆戻りである。
「しかし勇者か…」
勇者オルテガの子でありカンダタを倒した凄い者である。
噂ではエルフによって眠らされていたというノアニールの町をエルフの女王と掛け合って眠りから復活させたという話も聞いた。
かつ砂漠の国イシスに行って砂漠の強いモンスター達も倒したとも聞く。
やはりオルテガの子は強いし凄いのだ。
しかし惜しむらくは勇者には出会えていない事だ。
ロマリア城下では一目でも見られるかと期待したが残念ながら立って警備していた時間帯が悪かったのか見る事は出来なかった。
見れるチャンスは実はその他にもあった。
何と勇者が王から王位を譲られて即位した時だ。
しかしその時にカンダタ捕縛に向かっていた元巡回兵達が帰ってきたのだ。
そして元のポジションに収まった。
当然新しく来た自分は国境警備に戻る事になった。
そのバタバタしている慌ただしさで王の顔を見る事は叶わなかった。
子供の頃にカザーブ住まいだったためにロマリア城に来たオルテガを見れなかった事といい実に運かないといわざるを得ない。
全くどうして自分はこうなのか。
「あのー、ポルトガに行きたいんですけど…」
鉄の鎧を来たリーダーらしき若者と身かわしの服を来た三人の若者がやって来てそう言ってきた。
大方アリアハンから来た勇者に感化されて冒険者になった辺りの子達だろう。
実は今、ロマリア城下では勇者一行が人気になり、冒険者になろうとする若者が増えている。
国境警備兵「鍵があるなら行っていいよ、鍵がないなら然るべき人の紹介がないと開けられないな」
「鍵はあります」
国境警備兵「そうか、ならどうぞ」
「ありがとうございます」
鍵を使い扉を開けてそそくさと地下通路に繋がる階段を下りていく若者達。
今時ここまで歩いてきてポルトガに行こうなんて若者がいるとは驚きだ。
実に感心する。
しかし鍵はどこから手に入れたのか?。
まぁ…詮索する気はない。
ポルトガと戦争でもしていない限りこの国境の警備自体にさして意味はないのだから。
「それにしても勇者は今頃どこにいるのだろうか?」
勇者を見れなかった事がやはり心のどこかで引っかかっている。
勇者一行は今どこを旅しているのか?
今はそれが頭の中で一杯である。