「暇だなぁー」
「そうですねぇ」
アリアハンの町の東南にある井戸の底。
そこには変わり者のおじさんが住んでいた。
どう変わり者なのか?。
人からは変人と言われる部類のとあるコレクターである。
おじさんのコレクションしているモノは小さなメダル。
一見何の変哲もないただの小さいだけのメダルだがおじさんに取ってはその価値は計り知れない。
世の中には薬草マニアや毒消し草マニアなんてのもいる。
ならば小さなメダルマニアがいても何らおかしくない。
世の中とはそういったモノであり、価値があると思った人がいて金を出せばすなわち価値が出てくるのである。
おじさんの小さなメダル集めは本気であり、交換で世にも珍しいアイテムが手に入るという宣伝もしている。
しかし集まりは悪い。
アリアハンという周りを海に囲まれた島国であるという条件は世界中のメダルを集めるには宣伝効果が薄い。
せめて地続きの大陸であったのならまだ多くのメダルが集まった事だろう。
助手も日々退屈を保て余していた。
助手「今日も暇ですねー」
メダルおじさん「そうだね」
助手「メダルを持ってくる人なんていませんねー」
メダルおじさん「そうだね」
助手「せめてロマリアとかに引っ越しません?」
メダルおじさん「それは駄目だよ助手君」
助手「何でですか?」
メダルおじさん「ロマリアは出禁になってしまったからだよ助手君」
助手「え?、何をしたんですか!?」
メダルおじさん「金製品よりも小さなメダルこそが最も美しいと議論を戦わせてロマリア王と喧嘩しちゃってね」
助手「そ…そうなんですか?」
メダルおじさん「そうなのだよ、助手君」
助手「な…ならポルトガとかどうなんですか?」
メダルおじさん「メダルよりも黒胡椒が最も崇高で価値があり貴いなどとポルトガ王が言うものだから殴っちゃったよ」
助手「殴っちゃ駄目でしょ、何やってんですか!?」
メダルおじさん「少数意見が迫害されるのは世の常なのだよ助手君」
助手「いえ、それって先生が悪いんじゃないですかね?」
メダルおじさん「君までがメダルは至高ではないと、そう言うのかね??」
助手「いえ…そんな事は…」
メダルおじさん「次に行ったイシスの国の女王さんはマトモだったけれど国民がそんなメダルなど女王陛下の美しさの足元にも及ばないと言うもんだからつい反論したら彼等に睨まれちゃって居づらくなったんだ」
助手「はぁ…まぁ、イシスの女王様は美人だって評判ですし」
メダルおじさん「それで海を渡ってエジンベアに行ったら田舎者扱いされて入国すらさせて貰えなかった」
助手「エジンベアって聞いた事もない国ですけどそうなんですね」
メダルおじさん「諦めかけた時に東にジパングと言う島国の噂を聞いて行ってみたらヒミコとかいう女王に「ワラワはガイジンは嫌いじゃ」とか言って叩き出されたんだ」
助手「え?、黄金の国ジパングですか!、行った事があるんですか!、どんな国でした!?、国中に黄金が満ち満ちているという噂ですが!」
「いや、黄金なんて無かったよ?、人も変な服装と髪型してたし建物も何か変わってたし音も奇妙な感じの音だった」
「音?、音楽の事ですか?、なるほどそうなんですね、なら黄金があるという噂は噂でしかなかったって事ですね」
メダルおじさん「そう、そして最後にサマンオサに行ったら悪政を敷いていたので王様の悪口を言ったら捕まりそうになったし」
助手「あー…」
メダルおじさん「逃げたら追っ手を差し向けられて命からがらこのアリアハンに来て今に至るって訳だよ助手君」
助手「そうですね…」
サマンオサから逃げてきたメダルおじさんと助手。
助手もまたサマンオサ王の悪政を批判して死刑にされるトコロをメダルおじさんに助けられて国を脱出、小さな船を使って辿り着いた先がこのアリアハンだった。
護衛兵「お話中誠に恐縮でございますが失礼致します、メダル王」
メダルおじさん「私は王ではありませんよ、護衛君」
護衛兵「は、申し訳ございません」
助手「慌ててますが何かあったんですか?」
護衛兵「はい、王にお目通りを願いたいと旅の者が申し出てきております」
助手「あれ?、もしかしてメダル関係?」
護衛兵「はい、メダルを5個献上したいと申しております」
メダルおじさん「何と!、すぐにここに呼んで下さい」
護衛兵「は、ただちに!」
護衛兵は急いで部屋から出ていく。
メダルおじさん「さぁ、助手君仕事ですよ」
助手「はい、丁寧に磨きますよぉ、それはそうとメダル5個だとトゲの鞭と交換ですね、在庫置き場まで取りに行ってきます」