ベビーサタン「という訳でナイルの悪魔もマミーズアイも同族のベビーサタンも恐らく勇者にやられました」
バラモス「……」
ベビーサタンの報告に椅子に座って腕を組み考えるバラモス。
バラモス「お前はナイルの悪魔やベビーサタンの最後を直接見た訳ではないのだな?」
ベビーサタン「はい、何せイシス城内に潜伏していたためアッサラームや砂漠の真ん中で何が起きたか分かりません」
バラモス「アッサラームの方は分からぬが上空から見ていたキャットフライからの情報では人間の戦士が突然現れ砂漠に集結していた魔物の軍は全滅させられたという」
ベビーサタン「人間の戦士ですか?」
バラモス「心当たりはあるか?」
ベビーサタン「いえ、全然」
バラモス「分かった、もうよい、下がれ」
ベビーサタン「はい…」
しおしおと退室するベビーサタン。
バラモス「一体どうなっている…」
魔法使いに続き今度は一人で数百匹の魔物を倒す戦士が現れた。
地上にそんな人間がいるとは考えられない。
しかし現にいるようだ。
そして気になるのはキャットフライが見た戦士の持っていた剣。
両刃の剣で戦士が掲げると閃熱が迸り周囲にいた魔物達を飲み込み焼き倒したという。
バラモスが知る限りそんな剣は一つしかない。
バラモス「なぜ地上に雷神の剣があるのだ?」
地上には存在しない剣。
しかも人間が持っているなどあり得ない。
雷神の剣は優れた斬れ味と攻撃力を持ち、ベギラゴンに匹敵する閃熱を発動させる事ができる。
なるほど。
いくら砂漠のモンスターが暑さや熱さに強いとはいえ許容以上の熱を受ければ焼け死ぬ。
数百匹が全滅させられるのも頷ける。
しかしそれ以上に脅威なのはその戦士だ。
スクルトの呪文で防御力を上昇させた地獄のハサミ達をいとも簡単に剣で斬り倒したという。
間違いなくかなりのレベルの戦士だ。
しかも火炎ムカデの炎にも怯まず、上空から襲いかかるキャットフライにも余裕で対応していたらしい。
恐るべき戦士だ。
そんな人間はバラモスの知る限り三人。
勇者オルテガと勇者サイモン、そしてもう一人は剣士カルロスだ。
バラモス「奴等と同等の人間がまだいると言うのか!」
アリアハンの勇者オルテガはレヴナントが火山火口に落として倒した。
サマンオサの勇者サイモンはボストロールが監獄に幽閉してそこで獄死した。
そしてポルトガの剣士カルロスとそのパートナーであったサブリナは動物の姿になる呪いをかけた。
自分に歯向かう者は排除する。
今回の勇者オルテガの子供も然りだ。
そしてウォーロックを倒した魔法使いにナイルの悪魔を倒した戦士。
魔法使いと戦士の二人については情報が極端に少なく警戒が必要だ。
現在まだレベル13程度の弱い勇者よりこっちの方が危険度は遥かに高いので勇者は一旦放置して此方の二人を追うべきだろう。
しかし追うといっても足取りも掴めない。
バラモス「さて、どうしたものか…」
ナイルの悪魔が倒された以上、四天王を動かすしかない。
ヤマタノオロチやボストロールは動かせない。
ならば必然的にレヴナントしかいない。
火山からこのネクロゴンドにあるバラモス城を繋ぐ大洞窟を守るレヴナントを任務から外せばその隙にここに来る人間が現れるかも知れない。
周りを湖に囲まれ更に断崖絶壁の頂上にあるこのバラモス城に到達できる人間はいないが万が一という事は有り得る。
レヴナントを動かすとして問題は四天王であるウォーロックを倒した魔法使いにレヴナントが勝てるかどうか。
ナイルの悪魔も決して弱い訳ではなかったが、それを倒した雷神の剣を持つ戦士も侮れないだろう。
「困ったものだな…」
とにかく正体不明の魔法使いと戦士がネックだ。
いや、やはりこの際勇者を先に始末しておくべきか…
その魔法使いや戦士と勇者が手を組んで挑んでこられればいかに自分といえども苦戦するかもしれないからだ。