「よう、兄弟」
エルフの隠れ里からアッサラームへやってきた儂。
よくホビットに間違われるがれっきとしたドワーフだ。
今日はアッサラームの街の近くにあるノルドの洞窟に来た。
同じドワーフ族のノルド。
昔から知っているが頑固な性格の奴だ。
ちなみに兄弟と言っても本当の兄弟ではなく同族をそう呼ぶのがドワーフの社会である。
ノルド「珍しいな、アンタが来るとは、何かあったかい?」
儂「いやなに、ちょっと小耳に挟んだんだがバーンの抜け道が開いたらしいな」
ノルド「ああ、それか…確かにバーンの道は開いた」
儂「誰が通ったんだい?」
ノルド「四人組だよ、人間のな」
儂「ほう?、なるほどなるほど、それは一体どういった人だい?」
ノルド「さてなぁ、ポルトガ王の手紙で通らせてやってくれと書かれていたので通したまでだが」
儂「その四人組ってのはもしかして若い冒険者達かい?」
ノルド「冒険者…確かに冒険者っぽい格好をしていたな」
儂「戦士みたいな男と盗賊の男、それに商人と遊び人の女かい?」
ノルド「確かにそんな感じだった」
儂「そうか、彼らか」
ノルド「なんだ、知っているのか?」
儂「実はノアニールの眠りの呪いが解けたんだ」
ノルド「ほう?、エルフの王女でも帰ってきたのかい?」
儂「それについてだが…」
儂はノルドに一連の話をした。
ノルド「そうか、それでエルフの女王さんが冒険者達に目覚めの粉を渡して冒険者達がノアニールの眠りの呪いを解いたと」
儂「そういう事だな」
ノルド「そして冒険者達のリーダーは勇者か」
儂「そう、勇者オルテガの子供だな」
ノルド「勇者オルテガ…懐かしいな」
儂「だな、かつてオルテガもここに来た事があるのだろう?」
ノルド「そう、オルテガはバーンの道を行った、そしてその子供が父と同じくその道を行くとはな…」
儂「ふむ、それにしても勇者は何をしに東方に向かったのだ?」
ノルド「黒胡椒を手に入れるためだろうな、バハラタはその産地だからな」
儂「黒胡椒を手に入れるとどうなるんだ?」
ノルド「船とでも交換なんじゃないかな?、それ程までにポルトガ王は黒胡椒を手に入れたがっている」
儂「黒胡椒ってのはそんなに美味しいのかい?」
ノルド「さあ?、ただポルトガでは非常に貴重な品物らしい」
儂「そうか…まぁ、バーンの道を行ったのが勇者ならばそれで良い」
ノルド「やけに勇者にこだわっているじゃないか」
儂「勇者オルテガの子だからな、アイツも知れば気にはするだろう」
ノルド「ああ、アイツか」
儂「相変わらずアイツは寒いアソコで暮らしているのか?」
ノルド「みたいだな、猫と一緒にひっそりと暮らしているようだ」
儂「そうか、さて、儂はエルフの里に帰るとするか」
ノルド「もう帰るのか、それにしてもいつからエルフの里が故郷になった」
儂「なに、ちょっと帰る用事もあるしな」
ノルド「そうか、だがせっかくここまで来たんだ、秘蔵の酒を飲んでから帰ってもらおうか」
儂「ほう、それを聞いては飲まずには帰れないな」