「トゲの鞭ゲット!」
メダルおじさんから武器を貰いピプルはニヤける。
新しい武器を買う必要が無いからだ。
つまりは無駄な出費を抑える事が出来ると言う事。
戦闘面ではまだまだ未熟だが金銭面ではパーティー運営の要であるという自負がある。
ピプルの経験上若い子らはすぐに強い武器を金も無いのに持ちたがる。
若い子らはとは言うがピプルもまだ17歳。
勇者より一個上なだけだが、その一個上が大きい。
お姉さんとして勇者を支えなければならない。
とは言え勇者は凄く落ち着いていて大人びている。
顔はまだ幼いのだけれど何か…若い子にはないモノがある。
流石は勇者オルテガ様の血を引く勇者なだけはある。
ルイーダの酒場で何か必死に仲間になってくれと勧誘された時にはどうしようかと思った。
儲け話を得ようと酒場に来たが話を聞くと魔王討伐の旅だという。
そもそも魔王と戦う気はさらさら無い。
最初は断ったが、しかし粘り強く話され取りあえず仲間になった。
盗賊はともかく遊び人を仲間にした辺りふざけているとしか思えなかったが実際に戦闘を見ると考えが変わった。
とにかく何についても冷静なのだ。
そして的確な指示とモンスターの弱点を知っていてそこを突くのが非常に上手い。
洞窟内でもまるで最初からルートを知っているかのようにサクサクと間違わずに進んでいく。
そして何よりも武器にお金をかけない点。
若い子らは武器に重点を置き防具類は二の次三の次になってしまいがちだが勇者は違う。
防具類に重きを置いている。
「敵から受ける攻撃のダメージは少ない方が良い」
それで種を売って買った武器が銅の剣二本とブロンズナイフ一本である。
遊び人と自分が銅の剣、盗賊がナイフを装備。
「アリアハンに居るまでは武器はこれでいくから」
それを聞いて納得してしまった。
確かにアリアハン大陸で出るモンスターの中ならレベルをある程度上げれば銅の剣で十分であろう。
若い子らは鎖鎌とか聖なるナイフとか買いたがる。
確かに鎖鎌は攻撃力は高めだが揃えるなら結構出費だ。
聖なるナイフに至っては攻撃力は銅の剣と言うほど大差ないので購入するだけ無駄だ。
流石は勇者である。
「トゲの鞭で盗賊の攻撃力はアップね、これは複数攻撃出来るし」
それに盗賊の男は得意気に言う
「おう、更に強くなっちまうなー、今でも強いけどな」
偉そうだが実力はそれ程でもない。
そしてエッチな奴である。
盗賊の名前はカイン。
自分や遊び人ユユナにちょっかいを出してくる事はないが、旅の道すがらで出会う村や町の女の子にはちょっかいを出して私のゲンコツが飛ぶのがいつもの流れだ。
スピードならカインが上だがパワーなら自分が上だ。
勇者「トゲの鞭…」
ピプル「そうよ、どうかした?」
勇者「初めて見た」
ピプル「まぁ、売ってはいないから当然かもね」
勇者「そう…だな」
ピプル「?」
何か言いたそうな勇者だったがそれ以上は何も言わなかった。
そう言えばブロンズナイフも珍し気にしげしげと見ていた。
実は武器が気になって仕方ないのだろうか?。
ピプルは「んー」と思ったが、敢えては聞かなかった。