聖女はやがて魔女になる   作:北上 楓

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初投稿です。よろしくお願いします。


1話 ありふれた悲劇

 

 小さい頃の私は何にでもなれると思っていた。

 

 偉大なる航路前半の辺境にしては栄えていた港町に私は生まれた。何の変哲もない生まれだったが、人よりも力が強かったことが特徴だった。

 

 私が赤子だった頃、母は泣きじゃくる私をあやすのにたいそう苦労したそうだ。近くにあるモノを放り投げては壁に穴を開け、手がつけられなかったらしい。5歳になるころにはすでに大人を軽々と持ち上げてしまっていた。

 

 子供が持つには行き過ぎてしまったこの力を使いこなすために、町を海賊から守っている師匠のもとで力の使い方を身に着けた。その後1年半ほどで自分の力を制御できるようになった。

 

 この時の私は確実に有頂天になっていた。人よりも優れた力に師匠からも認めてもらったセンス。空想の物語に出てくるような英雄にだってなれると思っていた。私にできないことはない、この頃の私は本気でそう思っていた。

 

 

 

 あの日までは……

 

 

 

 海賊王ゴールド・ロジャーが死の間際に放った言葉から始まった大海賊時代。世界中の海に海賊があふれ、多くの船が、人が、国が、略奪され、虐殺され、蹂躙されていった。

 

 それは辺境の港町でも変わらなかった。

 ドォンと唐突に鳴り響く砲撃の音とともに平和だった町が一方的に破壊されていく。続いて海賊たちが上陸し暴れ回る。恐怖に逃げ惑う人々を後ろから斬り殺し、家に火をつけて回り、見目がいい人は奴隷として売り払うため連れ去られた。

 

 普段であればこんな海賊程度師匠が追い払っていたのだが、この日はちょうど師匠が遠出をする用事があり、帰るのもまだ先のことだった。今まで師匠1人だけを頼っていたツケが来たのかもしれないと、抵抗もできずただ悪意によって蹂躙されていく街を見ながら思った。

 

 そんな光景を見て当時の私が何を思ったかぐらい簡単に想像がつく。

 

「師匠がいない今この街を守れるのは弟子である私だけだ!」

 

生まれた町以外の世界も知らない幼い私はそれができると信じて疑うことはなかった。今までで一度も悪意を向けられたことすらなかったというのに。

 

 そのときの私は路地裏にあった木箱に身を潜めていた。自分から入ったわけじゃない。父からここに隠れているようにと無理やりに押し込められたのだ。私がこれから何を思いどう行動しようとするか、分かりきっていたのだ。しかし愚かな私は父の忠告を聞かず、蛮勇に駆られ飛び出そうとしていた。箱の中から外の様子をうかがったら、町の住民が海賊に襲われているところだったからだ。

 

 海賊は男が三人、それぞれが武器を持っていた。男の一人が刀を振り下ろす。家の陰に隠れて襲われていた人は見えなかったが、赤い飛沫が男にかかったのが見えた。私は自分の体を抑えることができなかった。木箱の中からさっそうと飛び出し海賊たちに向かっていく。

 

 路地から飛び出し背後から海賊の頭を殴り飛ばす。勇敢な思いを掲げておきながら完璧な不意打ちだった。男は吹き飛ばされ壁に激突した。

 一人やった、次…と思い振り返ったときには、残りの二人が私に迫ってきていた。すかさず一人が持っていた武器を蹴り飛ばす。弾き飛ばされた斧は家の壁に突き刺さる。しかし海賊の勢いは止まらず私を捕まえようと手を伸ばす。

 

 私はこのとき逃げるべきだった。すでに有頂天だった子供は海賊一人倒したことで手がつけられないところまで来てしまった。

 伸ばされた手に対し力で応戦しようと立ち向かった。つかみ合いの状態となって両者が拮抗した。冷静になったのか、ここで男は私が普通の子供とは違うことに気づいたようだった。そこでわずかに男の力が弱まったのを感じた。いける!と思いこのまま男を投げ飛ばそうとした。

 

 しかし、それは叶わなかった。私は目の前の敵に集中するあまり海賊が三人組だったことを失念してしまっていた。もう一人の男に後ろから羽交い締めにされる。とっさに振りほどこうともがくが、先程までつかみ合いをしていた男が近づき、みぞおちに拳を叩き込まれる。

 

 生まれて初めて感じる痛みに困惑するとともに、肺から強制的に息が吐き出される。それから続いて放たれる罵声、怒声。本物の悪意に晒されたことでようやく私は恐怖を覚え始める。今まで互角に戦っていたはずの相手が急にとても敵わない者に見えて、体の震えが止まらない。

 

 背後から怒りに震えた声が聞こえた。私を拘束している男のものではない。初撃で吹き飛ばした男が起き上がっていたのだ。男は私を自分の方に向けるように指示しながら、鉄パイプを手にして近づいてくる。私は目をそらすことができなかった。これから何をされるのかが幼い子供にも想像がつき、絶望のあまり涙が流れる。

 

 声にならない声を上げながら必死に命乞いをする。我ながら自分から仕掛けておいて何とも無様なものだった。そんな自分勝手な行為を海賊達が聞き入れるはずもなく、怒りのままに振り下ろされる。

 

 鈍い金属音が響き、先程の痛みとは比べものにならない激痛が走る。頭から流れる血がすぐに視界を真っ赤に染める。意識が朦朧となりながらも気絶しなかったのは奇跡としか言えなかった。周りの海賊たちの声や姿がはっきりとしないなかで、ただ漠然と自分はここで死ぬと思った。

 馬鹿なことをした。力が強いだけのただの子供が正義を振りかざし立ち向かった結果がこれ。こんなことなら父の言う通りあの箱の中でおとなしく隠れていればよかった。無謀、驕り、蛮勇…それらの代償というならこれ以上の結末はないだろう。考えることも難しくなってきたところで私は目を閉じた。

 

 体が宙に浮く感覚がした。天に登るという表現は正しいのだと他人事のように思った。

 しかし次の瞬間には体がしっかりと抱きとめられたように感じた。そして私の身体が優しく地面に寝かされる。うっすらと周りの海賊たちの動揺したような声が聞こえる。何が起こったのかわからず恐る恐る目を開ける。

 

 その時の光景は今でも忘れない。燃え盛る街を前に海賊をなぎ倒していく一つの人影。私が敵わなかった相手をあっけなく制圧してしまったその姿と力に見惚れてしまった。背中に羽織ったコートに書かれた文字は、血で赤く染まった視界でもはっきりと脳裏に焼き付いている。

 

 真っ白なコートに映える、力強さを感じさせる『正義』の二文字。

 

 その光景を最後についに私は意識を手放した。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「………り……。なら………」

 

 誰かの声がかすかに聞こえる。どうやら目を覚ましたらしい。ゆっくりとまぶたを開く。まず見覚えのある天井が見える。ここは確か…。

 

「あっ!少尉、女の子目を覚ましました」

 

 状況を把握する前に女の人の声がした。体を起こそうとしてみるが全身に走る痛みがそれを許さない。

 

「無理しないで!ひどい傷だったんだから」

 

「少尉」と呼ばれた人(この人も女性だ)がこちらに駆け寄ってくる。そこでようやく周りを確認することができた。大きめな部屋に等間隔でズラッとベッドが並んでおり、そのうえに何人かが眠っていた。

 

「大丈夫?名前わかる?」

 

 少尉さんが心配そうな顔でこちらをのぞき込んでくる。

 

「名前……えっと、イアン・シルドです」

「よかった、意識はっきりしてるね。今お母さん呼んでくるからね」

 

 だんだんと思い出してきた。ここは町にある一番大きな建物で、普段は公民館として使われていたはず。そこの一部屋にベッドを運び込んで一時的な療養所にしてたんだろう。

 そして私は海賊と戦って負けて、それから………

 

「あ、あの!お父さんは、お母さんは、みんなは……海賊は、どうなりましたか」

「………順を追って話すわ。まずは落ち着いて、お母さんが来るのを待ちましょう」

 

 しばらくして、お母さんがやってきて一番に私を抱きしめてくれた。ちょっと体が痛んだけど、お母さんにまた会えて嬉しかった。二人でひとしきり泣いたあと一人で海賊に立ち向かったことでものすごく怒られた。間違いなく過去一番のお説教だった。今になって自分が何をやらかしたのか、今ここに生きていることがどれだけの奇跡か身に染みてわかったら、今度は怖さで涙が出てきた。すると震える体をお母さんがもう一度抱きしめてくれた。

 

「本当に生きていてよかった……」

 

 お母さんの言葉になんだか温かい気持ちになった。

 

「あの、よろしいでしょうか?」

 

 完全に二人で家族の世界に入り込んでいたところに少尉さんが声をかける。そうだったまだ周りには人がいっぱい居たんだった。そんななかで思い切り泣き叫んじゃって恥ずかしい。お母さんも恥ずかしかったみたいで少尉さんにペコペコ謝っている。

 

「お二人のお話も済んだところで、もう一度ご説明させていただきます。」

 

 そして少尉さん、ナトレさんは私が目を覚ますまでのことを話し始めた。さっきから少尉さんって呼んでいる通り、私の町を助けてくれたのは海軍の人たちだった。しかも女性ばかりの海兵さんで組まれた、これまた女性中将が率いていた部隊らしい。たまたまこの近くの海域にいて、海賊に襲われている町を見つけて助けに来てくれたそうだ。海賊達はみんな捕まって既に近くの海軍基地に連れて行ってくれたという。

 私を助けてくれたのはその中将さんだと言っていた。ナトレさんは船医をしているらしく、重傷だった私の処置をしてくれたんだとか。怪我のひどさと今まで目を覚まさなかったことで、諦めかけていたところでちょうどよく私が目覚めてホッとしたと言っていた。

 

 そして話は町の被害のことに移っていく。それは今まで平和だったこの町で起きたことだとは思えないほど衝撃的なものだった。町は半壊し、多くの人が亡くなった。私の友達やそのお父さんお母さん、いつも町で挨拶してくれるおばあちゃん……いろんな人が殺されてしまった。今この部屋にいる人たちの中には治る見込みがない人もいるらしい。

 私が気絶してからすでに5日が経っているらしく、多くの人はすでに町の復興に動いているらしい。

 

「それと、大変言いにくいのですが……」

 

 私はそれから続くナトレさん言葉が理解できなかった。だって信じられるわけない。

 

 

 

 

 お父さんが殺されたなんて

 

 この公民館逃げ込もうとしたところで海賊に追いつかれてしまい、お母さんをかばって背中から斬り殺されてしまったらしい。その話を聞いて私はどう反応すればいいのかわからなかった。そんな話信じられなくて、お父さんを殺した海賊が許せなくて、お父さんがいなくなって悲しくて、やっぱり信じられなくて、でもナトレさんがそんな嘘つくとは思えなくて、それでもまだ嘘だと信じたくて………

 とにかく頭が真っ白になってその後の話はあまり聞いていられなかった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 落ち着いて頭を整理できるようになったのは夜になってからだった。幸いにも私の家は被害が少なかったらしく、お母さんは一度家に帰っていった。ここにはナトレさんやほかの海兵の人たちも泊まっているため、何かあってもほかの場所より安全だ。それに町の復興も海兵の人たちが手伝ってくれたおかげでかなり進んでいみたい。師匠もそろそろ帰ってくるころだし、明日からはまたいつもと同じように過ごせるはずだ。

 

「……………」

 

 そろそろ現実を見なきゃ。どれだけ目をそらしてもお父さんは帰ってこない。今までどおりの日々なんて二度と戻ってこない。そんなことは分かっている。けどどうしても認めたくない。

 

 少し部屋の入り口の方に目を向けてみる。もう起きている人はいないらしく、少しの物音が辺りに響きそうなほど静かだった。

 

「……っしょ」

 

 少し外に出てみることにした。まだ体は少し痛むけど昼ごろと比べればだいぶマシになって、ちょっと動くくらいはできそうだった。遠くまで行くつもりはないし、と心のなかで言い訳しながらゆっくりとベッドを降りた。やっぱりギィという音が響いてしまうが、その音で起きてくる人はいなかった。

 こっそりゆっくり公民館を抜け出していく。何とか見つからずに抜け出せたら目指すは海の見える丘。そこから見える景色は私の心を軽くさせてくれるから落ち込んだ時はいつもそこに行っている。

 

 まだ襲撃の傷跡が残る街を見ながら歩き続ける。修繕のために木組みの足場がついた建物がまるで包帯を巻かれているようで、今の私と同じだななんて思いながら海の見える丘までたどり着く。いつもは夕暮れかその前くらいのときに来てたから、今日みたいな黒い海の景色は新鮮だった。それでも今日は月と星が目一杯に輝いていて夜の怖さなんて感じさせず、むしろ神聖さまで覚えるほど綺麗な海だった。

 

 体を痛めないようゆっくりと腰を下ろす。そしてただじっと海を眺める。そうしているといつの間にか沈んでいた心はもとに戻るのだ。でも今日はなかなか立ち直ることができない。お父さんが殺されたこと、町のみんなが殺されたこと、海賊に殺されそうになったこと、めちゃくちゃにされた町のこと、もう二度ともとには戻らないこれからの生活のこと。怒り、悲しみ、恐怖、後悔、不安、いろんな感情がごちゃ混ぜになって全然落ち着かない。でも自分の心を支配している一番の感情は、何もできなかった悔しさだった。

 私は人よりも特別強く生まれてきた。もしそのことに意味があるとしたら、それはみんなを守るためだと思っていた。だから私はみんなを、お父さんを守りたかった。守らなきゃいけなかった。だけど結局守るどころかこてんぱんにされ、海兵さんに助けられてしまった。自分の弱さが、みんなを守ると恥ずかしげもなく豪語していた傲慢さが、腹立たしいほど情けなかった。

 今日で三度目の涙がこみ上げてきた。今はとにかく自分の中にあるモヤモヤを吐き出したくてしょうがなかった。周りを気にすることもなく泣いて、泣いて、泣いて。それでもなかなか涙はおさまってくれなかった。

「うるさいねぇ、子どもがなにしてんだい」

 

 後ろから不意に声が聞こえてきた。少し年を取ったような古めかしい感じがするが、堂々として芯の通った女性の声だった。

 

「怪我人は寝てな」

 

 振り返ると青い長髪を一纏めにした女性が立っていた。女性もののシャツにネクタイをつけて、コートを羽織っていたその人はこっちに向かって歩いてくる。その女性の一つ一つの所作がきれいで思わず見惚れてしまう。それになんだかこの人に見覚えがあった。

 

「あの、もしかして中将さんですか?」

「人の話聞いてたかい。とっとと帰りなって言ってんだ」

 

 否定されなかったってことはやっぱりこの人が中将さんなんだ。あのときはよくわからなかったけどすごくきれいな人だ。でもどうして中将さんがここにいるんだろう。

 

「中将さんはなんでここに来たんですか?」

「お前ね……別になんでもいいだろう。海兵だってのんびり海を見たくなるときだってあるさ。」

 

 言うことを聞かない私にため息つかれてしまった。でも私ももう少し海を見ていたかった。それに中将さんに聞きたいこともあった。

 

「……お前、一人で海賊相手に殴りかかったんだってね。どうしてそんな無茶をしたんだい?」

「え?」

 

 中将さんから先に話しかけてくるなんて思わず、少し戸惑う。

 

「えっと……私はみんなより強く生まれてきたから、みんなを守らないといけないって思いました。だから……」

「馬鹿だね。ちょっと力が強いだけの子供が本物の悪者に勝てるわけないだろ。それにお前みたいな子供がそんなこと考える必要はないんだ。お前たちが戦わなくてもいいように私たち海軍がいるんだから。」

 

 お説教みたいになってきたけど、私はそうして話している中将さんがやっぱりかっこいいと思った。中将さんは「守れなかったくせになに言ってるんだか」って言ってるけどそんなことないと思う。中将さんたちが来てくれなかったら私は死んでいただろうし、もっと多くの人が殺されていたかもしれない。確かにお父さんはもう戻ってこないけど、それでも守ってくれたものもたくさんあるんだ。

 中将さんと話しているうちにさっきまで心のなかにあったモヤモヤが小さくなっていくのを感じた。多分それは私の心の奥で眠っていた夢が具体的な形になって見えるようになったから。みんなを守れるようなヒーローになりたい。そしてその理想の姿は、今隣にいる中将さんだった。

 私は中将さんに問いかけた。

 

「どうすればあなたみたいに強くなれますか?」

「……」

「私も中将さんみたいに強くなりたい。それでいつかあなたみたいな立派な海兵さんになりたいです。」

 

 モヤモヤが消えない原因はきっとこれだ。私は弱い。弱いから負けた。弱いから助けられた。弱いから守れなかった。それか悔しくてたまらなかったんだ。だから強くなりたかった。強くなってみんなを守って、あの背中に追いつきたかった。

 中将さんはしばらく何も言わず、やがて口をひらくと

 

「……やめときな」

 

 と私を突き放した。

 なんでそんなこと言うんだろう。ふざけて言っているつもりはないのに。私は中将さんの言うことが分からなかった。

 

「お前みたいな真面目でいい子は海軍には向いてない。強くなる必要なんてない、大きくなってもこの町で平和に過ごしな。」

「でも……」

 

 でもそれじゃあ私はどうしてこんなに強く生まれたのだろう。平和に生きるんだったらこんな力いらないのに。海兵になりたいと思ったのも中将さんに憧れたからだったのに。中将さんの言葉が深く突き刺さる。

 

「……そろそろ行くとしようかね。お前もいい加減戻りな。」

「あ……」

 

 そう言って中将さんは立ち去っていった。私の方は少しの間動かないまま考え込んでしまった。

 

「向いてない……必要ない……平和に……」

 

 中将さんに言われたことを反芻する。確かにそうかもしれない。あれだけ打ちのめされておきながら、まだ戦おうとしている方がおかしいのだろう。

 でも……憧れは止められない。私は海賊をあっという間に制圧してしまったあの強さに、私を抱きとめてくれたあの優しさに、そしてあの人々を救い導く聖女のような後ろ姿に魅せられてしまった。

 

「……よし!……っ〜〜!!」

 

 気合とともに勢いよく立ち上がる。当然体は痛むが気にしなかった。私は海兵になると決めたのだから。

 この海は理不尽であふれている。きっとこんなことはありふれていて大した悲劇でもないのだろう。そんなの絶対に許せない。私が少しでも理不尽をなくし苦しんでいる人たちを救ってみせる。そしてまだ未熟なこの力をもっと磨き、平和に暮らすみんなを守るのだ。中将さんにはああ言われたけどそんなの気にしない。逆に立派な海兵になって中将さんに認めさせるんだ。

 心のモヤモヤはもうなくなっていた。ここから見える海の景色も私を励ましてくれた。握った拳を掲げて決意を固める。それを最後に私は公民館に戻るための一歩を踏み出した。

 

 

 そしてこの一歩が私が人々を導く聖女と呼ばれるようになり、やがて世界に混乱をもたらす魔女となる最初の一歩だった。

 

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