なるほど、なるほどAFO殺せば解決じゃね?   作:イズモ様 カワ(・∀・)イイ!!

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昔々…言うほど昔じゃねぇ

 

そこはそうね光の届かない場所だったわね。

 

 鉄とコンクリートで閉ざされた施設の奥、規則的に響く足音と、時折混ざる悲鳴だけが生の証明になっていたそんな暗闇。

 

 後に分かったことだけどそこはオール・フォー・ワンという最悪のヴィランのの実験施設でね。

 

 個性を奪い、与え、壊すそんな悲しい場所。

 

 ——その一角、番号で管理された牢の中に、ナノはいたの。

 

 

 

 「……まだ、生きてる?」

 

 

 

 檻の隅、かすれた声がしの。

 

 痩せ細った少女が、暗い瞳でこっちを見ていたわ。

 

 

 

 「ええ」

 

 

 

 私はクルスは、静かに答えたわ。

 

 鎖に繋がれ、血を抜かれ続けているはずなのに、そのときは不思議な事に落ち着いてね。

 

 

 

 「あなたも?」

 

 「……残念ながら死んでない」

 

 

 

 少女は苦笑するように息を吐いた。

 

 

 

 「名前は?」

 

 「……ナノ」

 

 

 

 短い答え、たけどそれが私たちの初めまして

 

 

 

 「そう。いい名前ね」

 

 

 

 私はそう言った後、ほんの少しだけ微笑んだわ、あんまり良い所ではなかったけれど、この出会いそれだけはとっても嬉しいことだったの。

 

 

 

 「……変なやつ」

 

 「よく言われるわ」

 

 

 

 静かな会話。

 

 それだけで、そほ場所ではそれだけでも異質だった。

 

 その日に、神様が助けてくれたのか、異変が突然起きた。

 

 

 

 警報。

 

 赤い光。

 

 慌ただしく走る足音。

 

 そしてそれに並ぶ何かがメキメキとねじれ壊れる音

 

 

 

 「実験体の暴走だ!」

 

 「収容区画を封鎖しろ!」

 

 

 

 誰かが言ったその言葉が合図だっわね

 

 

 

 「……ようやく、死ねるかな?」

 

 

 

 淡々とした言葉。

 

 だが、その指先はわずかに震えていたわ。

 

 

 

 「貴女は死にたいの?出られるかも知れないわよ。

 

だってコレは——絶好の機会よ」

 

 

 

 ……って、あの時の私はそう思ったのよ。

 

 今考えると、ずいぶん無茶よね。

 

 

 

 でもね、不思議と確信があったの。

 

 今しかないって、そう思えたのよ。

 

 

 

 それで私は、自分の手首を見たわ。

 

 あの忌々しい拘束具と鎖。

 

 

 

 普通なら、それがある限り何もできないでしょう?

 

 

 

 でも私は、少しだけ力を使えばいいって分かってたの。

 

 

 

 ナノがね、

 

 「どうするの、邪魔な鎖がある限り、檻からも出れやしない」

 

 って言ったのよ。

 

 

 

 ええ、本当にその通り。

 

 普通ならね。

 

 

 

 だから——私は霧になったの。

 

 

 

 あまり実感はなかったわね。

 

 気づいたら、形がほどけていて、そのまま鎖をすり抜けていたの。

 

 

 

 それで、元に戻った時にはもう自由だった。

 

 

 

 カラン、って音がしてね。

 

 遅れて鎖が床に落ちたのよ。

 

 

 

 ナノ、すごい顔してたわよ。

 

 ぽかんって。

 

 

 

 それで私は何事もなかったみたいに、

 

 「歩ける?」って聞いたの。

 

 

 

 そしたらあの子、

 

 「無理に決まってるでしょ……足折れてるし」

 

 って。

 

 

 

 ああ、そう。

 

 それは確かに無理よね。

 

 

 

 だから少し考えたの。

 

 置いていくか、連れていくか。

 

 

 

 ……まあ、考えるまでもなかったのだけれど。

 

 

 

 最初から決めてたのよね、きっと。

 

 

 

 それで私は言ったの。

 

 

 

 「ふふ、じゃあ、あげる」って。

 

 

 

 ナノ、すごく怪訝そうな顔してたわ。

 

 「……なにを?」って。

 

 

 

 説明するより早いでしょう?

 

 

 

 だから私は、自分の胸に手を当てたの。

 

 

 

 少しだけ痛かったけど……まあ、慣れてるし。

 

 

 

 そのまま爪を立てて、血を出して。

 

 

 

 ナノが慌ててたわね。

 

 「ちょ、なにして——」って。

 

 

 

 でも、そのまま触れたの。

 

 あの子の胸に。

 

 

 

 「少しだけよ」って言って。

 

 

 

 

 

 血が流れ込んでいく感覚は、今でも覚えてるわ。

 

 

 

 あの子の身体が、音を立てて作り替わっていくのが分かった。

 

 

 

 骨が軋んで、血が騒いで、存在そのものが変わるみたいに。

 

 

 

 正直、死んじゃうかな?なんて思ってたのよでもね

 

 

 

 息を荒げながら顔を上げた時の目、覚えてるわ。

 

 

 

 すごく、綺麗だった。

 

 

 

 それで私は手を差し出したの。

 

 

 

 「立てる?」って。

 

 

 

 あの子、少し迷ったけど——すぐ決めたのよ。

 

 

 

 「……うん」って。

 

 

 

 

 

 ちゃんと、手を取ってくれた。

 

 

 

 

 

 あの瞬間、ああ、この子は大丈夫だって思ったわ。

 

 

 

 

 

 それで私は言ったの。

 

 

 

 「行きましょう。ここから出るの」って。

 

 

 

 

 

 扉の向こうには、武装した人たちがいてね。

 

 銃まで向けてきたのよ。

 

 

 

 でも、不思議と怖くはなかったわ。

 

 

 

 

 

 「止まれ!」って言われたけど——

 

 

 

 遅いのよね。

 

 

 

 

 

 私は空を見て、棘を出したの。

 

 

 

 白くて、螺旋の、あれよ。

 

 

 

 

 

 それをそのまま、撃ち出した。

 

 

 

 

 

 ただ——全部、貫けた。

 

 

 

 

 

 ナノがね、

 

 「……なに、これ」って呟いたの。

 

 

 

 

 

 だから私は答えたのよ。

 

 

 

 「道よ」って。

 

 

 

 「私たちの、ね」って。今思うと少し恥ずかしいわね

 

 

 

 けどあとは、ただ歩いただけ。

 

 

 

 崩れていく施設の中を、二人でね。

 

 

 

 さっきまであんなに重かった場所なのに、不思議よね。

 

 もうどうでもよくなってたの。

 

 

 

 

 

 出口が見えた時、あの子が聞いたのよ。

 

 

 

 「ねえ」って。

 

 

 

 

 

 それで振り返ったら、

 

 「なんで、助けたの」って。

 

 

 

 

 

 ……少しだけ考えたわ。

 

 

 

 理由、なんだったかしらって。

 

 

 

 

 

 でも結局、出てきたのはあれよ。

 

 

 

 

 

 「一人は、寂しいでしょう?」って。

 

 

 

 

 

 本当に、それだけだったの。

 

 

 

 

 

 あの子、少しだけ笑ったのよ。

 

 

 

 「……変なの」って。

 

 

 

 

 

 ええ、本当にね。

 

 

 

 

 

 外に出た時の空気、今でも忘れられないわ。

 

 

 

 あんなに綺麗だったなんて。

 

 

 

 

 

 その日。

 

 

 

 

 

 私は少し命を分けて、

 

 あの子はそれを受け取った。

 

 

 

 

 

 それが——

 

 

 

 

 

 私たちの始まりだったのよ。

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