はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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仕事が……仕事が……


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アーランド王国、7月初頭――

 

「………………」

「す、ステルクさん、大丈夫ですか!?」

「ああ……君か。なに、少々疲れているだけだ……」

「先月は大変でしたもんね……」

「私はさらに仕事が溜まっていてな……ようやく昨日まともに寝たよ」

「お疲れ様です……」

 

二人して肩を落として溜息を吐く。

この三か月間は実に大変だった。

夜の領域のボスを倒した後、ついでだとオルトガラクセンの奥で、鉄巨人までも倒したのだ。

現状では快挙と言っていい。

 

「さて、王国依頼だが……私的にはもうやらんでいいだろうと思うのだがな」

「ステルクさん……」

「冗談だ。今回は日用品の大量発注だ。だがまあ、二人でやればすぐ終わるだろう」

「はい……」

 

今更日用品能納入など、手間以外は何の障害もない。

 

「あとな。追加依頼で賢者の石を作ってもらう」

「あー……えと、去年森を教えてもらってすぐの時に、ドンケルハイトを数本取ってきたやつがあるのでなんとか作れると思います」

「そうか。よかった。なら頼む……ああ、そうだ。明日から私はしばらくいないからな。エスティ先輩に王国依頼も渡してくれ」

「はい……はい? え、仕事ですか?」

「うむ……どうやらいろいろなところにドラゴンが沸いたらしい」

「ええ!?」

「うむ。だがまあ……君たちに頼むほどではないな」

「ええ……い、いいんですか?」

 

ロロナが心配そうに言うと、ステルクは溜息をついた。

 

「あの盾とお守りがある」

「ああ……」

「あれはとんでもないぞ。先日、ジオ様と模擬戦をやったのだが、ほぼ完勝した」

「ええ!?」

「ずるいぞと怒鳴られたがな……おそらくジオ様は、今頃マリー君のところに自分用の装備を頼みに行っているだろう」

「ああ、やっぱり」

 

ちなみにすでにジオの正体はバレている。

というかバレない方がおかしい。

 

「おそらくは、一人でも十分倒せるだろう。何せほぼダメージがない」

「あれ、本当に無茶苦茶ですもんね……」

「装備は君が現状、最高の物を用意してくれたしな。だからまあ、気楽に待っていてくれ」

「あ、はい」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「というわけだ。頼む、マリー君! あいつのよりも高性能なものを作ってくれ!」

「本当にいるし……」

 

アトリエに帰ってきたロロナは、装備作成を頼みこむジオと、無視して爆弾を作るマリーを見てため息をつく。

 

「ジオさん……」

「む、ロロナ君!」

「聞きましたよ……ステルクさんに負けたんですね」

「む……ぐっ」

「だからってマリーちゃんに装備をねだるとか……」

「っ! だってズルいだろう、あれは! どこから攻撃してもあの盾が出てくるんだぞ! 死角を突こうが不意を突こうがだ!」

「それは……まあ」

「私の必殺技すら防ぐのだぞ!? 防いだ後のアイツはどうしたと思う!? 私を哀れむように見つめたのだぞ!」

「うわぁあ……」

 

ロロナは、あまりのひどさに呻く。

まさしく目に浮かぶようだ。

 

「こうなったらあの盾を上回るような武器を作るしかない、そう思ってお願いしていたのだ」

「マリーちゃん……」

「ん? おかえり」

 

爆弾を作り終えたマリーが、初めてこっちを向く。

 

「つかね。あの盾を上回る武器は、ないよ。装備を良いものにして、スキルで対応したら?」

「いや、無理だろう!?」

「無理じゃないよ。あの盾、割と弱点あるし」

「なんだと!?」

「ええ?」

 

ロロナとジオが驚く。

 

「まずね、あの盾は一対一の攻撃には強いけど、複数からの同時攻撃には対応できないの。だから範囲多段攻撃すれば、貫通できるよ」

「なんと!」

「あと、スーくんの盾は物理メインで、属性防御には隙がある。属性の乗った剣を作れば十分ダメージが通るよ。ただ、スーくんはドラゴン用に炎と冷気に特化した防具だから、それ以外がいいかな」

「つまり私がやることは、属性のある剣と多段攻撃を範囲攻撃にする手段の開発か!」

「多段攻撃は……エスティさんが得意としてましたっけ」

「うむ! 道が見えた! 感謝する!」

 

そう言ってジオは、アトリエを出ていった。

 

「ふえ……嵐みたいだったね」

「まあねえ……しょうがない。ジオさん用の盾の開発もしとくか。というか、護衛できる人全員に作った方がいいかな」

「手間じゃない?」

「盾さえ作れば後は組み込むだけだから、そんなに手間じゃないよ。試作品を含めて作成した円盤はまだ数あるし、あれ未完成品だから」

「そうなの!?」

「うん。最大の弱点は錬金術士相手だと無効化されるっていう特大の穴があるの」

「ええええ!」

「まあ本来はその弱点をつぶさないといけないんだけど、今回は時間がなかったのと素材でいいのがなくてねえ」

「そっか……」

「まあ、それでも今は使えるから。盾はあたしが用意するとして、お守りは……ロロナ。レシピあげるから作ってみる?」

「いいの!?」

 

錬金術士にとってレシピは、宝であり秘奥だ。

師匠ですら自分のレシピを明かそうとはしない。

 

「いいよ。というか、じゅうたんや円盤のもあげる。あたしはもう覚えたし」

「やったあ!」

「ロロナならあたしよりもいい物作れるでしょ。特性マシマシの……」

「ああ……なんでマリーちゃんは爆弾にはこだわるのに、他のは特性付けないの」

「面倒だもん」

 

爆弾以外に対しては、どこまでもがさつでずぼらなマリーだった。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

結果的に言えば――ジオは再戦して勝った。

あの王様、あっさりと新技作ってドラゴン倒してきたスーくん相手に決闘を申し込んだ。

そして属性剣と多段波状攻撃で盾を無効化させたらしい。

その時のセリフが「私が少し本気を出せばお前など敵ではない」だったそうだ。

どんだけ負けず嫌いなんだろうか……




すいません。4月中の更新は下手するとこれで最後です。
原因は新入社員です。簡単に言えば山田さんとみいちゃんのみいちゃんみたいなやつが入ってきたからです。
上から下まで大騒ぎです。詳しくは言いませんし言えません。コンプラがね……
ただとても更新する余裕がないので、予定では5月以降になると持ってください。
もしできたらちょいちょいと更新する気ではあります。

なお、アンケートありがとうございました。
うん、当初のプロット通りに行こう。
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