はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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ちなみに、15~エピローグを投稿していますが全部予約投稿です。
GW中は仕事で出張です。
なので感想返しもできません。ごめんなさい。m(--)m



17

アーランド王国、12月下旬――

 

今日は最後のアトリエへの依頼の最終日である。

 

「――きたか」

 

ステルクが万感の思いを込めて、ロロナとマリーを迎えた。

 

「はい! 準備はできました!」

「ばっちしだよ!」

 

ロロナとマリーはにこやかに笑う。

ステルクは、ふっと笑い、頷いた。

 

「では、行こうか。王の元へ」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「大儀である!」

 

王の間にて。

満面の笑みを浮かべたジオが、マリーとロロナの前で叫んだ。

その横には貴族の面々と――苦虫を噛み潰したような顔の大臣もいた。

 

「アトリエへの3年にも及ぶ依頼を達成したことを、このルードヴィック・ジオバンニ・アーランドの名において宣言する! よくぞ果たした!」

「……そんな名前だったんだ」

「あたしはともかく、ロロナが知らないってどうなのよ」

 

びっくりしているロロナに苦笑するマリー。

 

「加えてアトリエの存続を認めるものとする!」

「お、おまちを!」

 

と、そこに大臣が声を上げる。

 

「またか……なんだ、メリオダス」

「さ、最後の依頼においては物納がされておりませぬぞ!」

「ああ。それか」

「物納も達成依頼になっておれば、これは無効ではありませぬか!」

「ふむ。私が認めると言っても、今回は認めるようなお前ではあるまいな……よかろう!」

 

ジオはそう言って、二人に向き直る。

 

「では、最後の依頼……錬金術の集大成を見せてもらうとしよう! 全員、テラスへ出よ!」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

その場にいた全員がテラスへと出ると――

 

「準備と周知は良いな?」

 

ジオはその場にいた騎士たちに声をかける。

 

「は!」

 

ステルク以下、多くの騎士たちが礼をして跪く。

 

「では、始めたまえ!」

「御意!」

 

そしてステルクが手を上げる。

その合図と共に鐘が鳴らされた。

 

「よし、二人ともいいぞ!」

「「 はい! 」」

 

ステルクの言葉に、二人が元気よく答えた。

 

「よっしゃ! まずは……夜をつかさどるモノ!」

 

マリーが箱状の小さな物体を天にかざす。

その箱がキラキラと輝き、空へと昇っていく。

と――

 

世界に夜が訪れた。

 

「な!?」

 

メリオダスが驚く。

 

「こいつは人工的に夜の領域を作り出すものだよ。効果時間は半日と短いけどね」

 

マリーが、えへんと胸を張る。

そして――

 

「よし、いくよ! 夢をつかさどるモノ!」

 

ロロナが掲げた、小さな卵。

その卵が二つに割れると、虹色の光が空一面へと広がっていく。

 

そして――

 

 

 

そこに現れたのは光のパレードだった。

 

「「「「「 なっ!!!! 」」」」」

 

貴族たちとメリオダスが驚く。

そしてどこからか聞こえてくる軽快な音楽。

それにあわせて光の粒がぬいぐるみや乗り物、魔女や幻獣たちへと変わり、空一面に飛び出した。

 

「これは……」

 

光の粒で出来た妖精が、皆の元へと集まってくる。

1人の貴族が触れようとするが、スルっと手を透過して離れた。

 

「幻……なのか?」

「いや、だが……」

 

別の貴族の目の前に来た妖精が、ぺこりと礼をして手を振って去っていく。

まるで意思のあるかのように振舞う姿に、貴族は幻であるのが信じられなかった。

 

「さあ、ライトシャワーだ!」

 

マリーが叫ぶとともに、王都のあちこちから火の玉が打ち上げられ――

盛大な花火となって花開いた。

 

「これが私たちの3年間の成果――夢のパレードです!」

「おお……!」

 

ジオがその光の乱舞に感嘆の声を上げる。

いや、ジオだけではなかった。

 

貴族も騎士も――そして大臣であるメリオダスも。

その見事な光のパレードに目を奪われている。

 

「ロロナ!」

「マリーちゃん!」

「「 やったね! 」」

 

二人は手を叩いて笑い合った。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「――見事だ」

 

アトリエの前で空を見上げながら、アストリッドは呟いた。

その横には、大荷物を持つ男性型のホムがいる。

そしてアトリエの玄関には、女性型のホムが立っていた。

 

「どうしても行くのですか、グランドマスター」

「うむ。もはや私も師匠は卒業だ。その座はマリーに任せたからな」

「そうですか」

「お前はロロナについていけ。こっちのホムは私が荷物持ちに使うからな」

「わかりました。グランドマスターをお願いします、ホム」

「了解しました、ホム。グランドマスターを護衛します」

 

男性型と女性型が抑揚のない声で互いに頷き合う。

その様子を見ていたアストリッドは、ふっと笑った。

 

「やはりまだまだ改良の余地があるな……マリーのように自我意識の拡張と、思考・発露できるホムンクルスという私の新しい目標もできた。私は、私の旅を始めるとしよう」

 

アストリッドはそう言って歩き出した。

 

「本当ならロロナを助けたら旅に出ようとしていたのに、アイツに捕まって数年。まあ悪いものではなかった。そして私は、新しい目標であるマリーという存在にも出会えた。実に僥倖だった。彼女に会わなければ、私は膿んでいたかもしれん」

 

そう言って再度、空を見上げる。

そこには光に溢れた幻想の世界が広がっていた。

 

「完全なるホムンクルス……いや人間の創造、か。まさかオルトガラクセンで見つけた生命の水の種から数年、人生の目標まで見つけるとはな。世の中はわからん……だが、だからこそ面白い」

 

そうして彼女は歩き出す。

 

「悪いがロロナ。精製に成功した水と残りの種は私が全部もらっていくぞ。だが、廉価版や未完成品は残しておいてやる。それをどう使うかはロロナに任せよう。なに、マリーという完成品がいるのだ。お前ならすぐにたどりつけよう」

 

周りの皆が空の光に目を奪われる中、彼女は笑った。

 

「さて。私も今日から師匠でなく一人の錬金術士だ。まだまだ挑戦者として真理に挑むとしようか」

 

錬金術を極めたとされていたアルケミーマイスターは、一人の挑戦者として。

 

 

 

アーランドを去るのだった。

 




題名は空に舞うエレク〇リックパレード……はさすがにどうかと思ったので。
まあアーランド中を巻き込んだ幻想の一夜の夢ってことです。
ちゃんと民には周知してますのでご安心を。

GWに出張とかクソかよとか4月当初は思っていましたが、今はグッジョブと思っています。
今会社にいても面倒ごとになるのが確実なので……ふっふっふ。
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