はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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これで完全にストックはなくなりました。
またちまちま書き溜めていきます。


第2章 エリーとトトリのアトリエ
2章プロローグ


アーランド共和国――

五年前に、王国から共和国に変わった国の名前。

ここはそのはるか南にある、小さな港の村。

そんな南の果ての場所に一人の女の子がいました。

 

彼女の名前は、トトゥーリア・ヘルモルト。

 

みんなからは「トトリ」と呼ばれる少女です。

彼女は錬金術士の新米で、冒険者です。

 

いつかは一人前の冒険者に、と研鑽を重ねている最中です。

彼女は一人の錬金術士に初歩を教わり、その後は独学で勉強と冒険を重ねました。

 

アーランドの街で冒険者となり、いろいろな場所をめぐって新しい素材と発見を繰り返しています。

 

そんなトトリが冒険者になって、2年目の夏。

故郷のアランヤ村での一幕から、物語は始まるのです――

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「おとうさーん!」

「ふっ……ぬっ……とおおお!」

「え? うそ! お父さんが大声を上げるなんて……」

 

トトリが驚くほど珍しく大声を上げる男の声。

それはトトリの父親である、グイードの声だった。

 

「おお、トトリ。いいところに! ちょっと手伝ってくれ、これは大物だ」

「え? て、手伝うって?」

「ほら、竿持って。せーの!」

「わわ、よいしょー!」

 

グイードと一緒に竿を引っ張り、釣りあげる。そこには――

 

「きゅうー……」

 

海から引きあがったのはロロナだった。

 

「わああああ!? ロロナせんせ-!?」

 

トトリの驚く声。

当然である。

普通にドザエモンが竿にかかったのだから。

 

「こりゃ大物だねぇ……」

「それどころじゃないよ! なんで平常運転なの! せんせー! 生きてますか!? ロロナせんせー!」

「ぶくぶく、おさかな……わたしは、おさかな……あぶぶぶぶ」

「ああ! もうダメかも!?」

「いや、ダメな人は呟かないから……」

「あ、そうか。じゃない! ちょっとおかしいけど……とにかく家に連れて行かないと!」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「あー……助かった。今度ばかりは、もうダメかと思った……」

「よかったー……もう、本当にびっくりしましたよ。まさか先生が釣れちゃうなんて……」

「うん……でも、そのおかげでトトリちゃんに会えたから、ラッキーだったね」

「全然ラッキーじゃないですよ! 心配したんですから!」

「あー……まあいろいろあって。ごめんなさい……」

 

ロロナがペコっと頭を下げる。

その様子に姉のツェツィは軽食を作りに行き、トトリは溜息をついた。

そうしてトトリは、近況をロロナに話し出す。

 

「そっかぁ……トトリちゃんも冒険者かぁ。ギゼラさんって、私も聞いたことあるけど……」

「そうなんですか?」

「んーと……確か、数年前にアーランドに帰った時に、マリーちゃんやクライスさんと大暴れしたって……」

「マリーちゃん?」

「あ、うん。マリーちゃんは私の……そうだね、従業員でもう一人の師匠、みたいなもんかな」

「じゅ、従業員で師匠? なんですか、それ」

「うーん……話せば長いんだけどね。あ、今は大体12歳ぐらいかな」

「じゅ、じゅうにさい!?」

「うん。けど、ほとんど身長伸びてないの。かわいいんだよ!」

「じゅうにさいで、ししょうで、じゅうぎょういん……」

 

トトリが唖然とする。

まさか自分の師匠の師匠が、自分より年下だとは思わなかったのである。

 

「クライスさんの方は、だいぶ身長伸びたのにね。なんであたしはちんちくりんのままなんだー、ってよく吠えてたし」

「そちらの方は……」

「ああうん。マリーちゃんの昔からの仲みたい。昔は、別の大陸でアカデミーの校長してた人なんだって」

「アカデミー? 校長? その人は、おじいさんなんですか?」

「ううん。マリーちゃんと同じくらい」

「??????」

 

ロロナの言うことに、トトリは混乱している。

さもあらん。

 

「マリーちゃんとはしばらく会ってないけど、クライスさんはアーランドのアトリエにいるよ」

「え……? 先生のアトリエですか?」

「そう」

「……わたし、アーランドに行った時は先生のアトリエに泊めてもらってるんですけど」

「あー……じゃあ、イクセくんの食堂にいるのかな? 私たちが帰ってきたら、イクセくんの食堂に泊まるようにしているらしいから」

「ああ、なるほど……」

 

どうりで先生にしては家が片付いていると思った、とトトリは思う。

自分が汚しても次に行った時には片付いていたので、クーデリアが掃除したのだと思っていた。

お礼をした時に、クーデリアが口ごもっていた理由はこれだったのか、と。

 

「今度アーランドに行った時に、クライスさんに会ってみますね」

「うん。多分、イクセくんに言えば会えると思うよ」

「はい……先生」

「なあに?」

「また会えて嬉しいです」

 

トトリの言葉に、ロロナは花が開いたように笑った。

 

「うん、私もだよ! トトリちゃん!」




出張から帰ってきたら改題と章分離をします。
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