はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
「あううう……本当に夜を徹して会議になるし」
「あたりまえでしょ。あ・た・し・は! 問題が起きるたびにいつもああなるのよ!」
「うううう……くーちゃんの苦労が身に沁みました」
翌朝――
ロロナとクーデリアが、そろって道を歩いている。
今回の騒動についての事情を報告、ついでに以前にもあった『とある出来事』の報告で今までかかったのである。
一番のトップである国主が、本日は戻っていたのが大きい。
関係各所への連絡と、その対応に追われていたのである。
「って、普通に話しているけど……『あの子』をほったらかしよね? 大丈夫なの?」
「え? あ!? そ、そういえば……さ、さすがにマリーちゃんが戻ってきていると思うんだけど」
そう言ったロロナが、アトリエのドアを開ける。と――
「あ、先生。おかえりなさい」
「あ、トトリちゃん……よかったあ。トトリちゃんがいてくれたんだ」
トトリが、朝食を用意して待っていてくれたのである。
ホッとするロロナとクーデリア。
「ごめんね、私が呼んだのにほったらかしで」
「いえいえ。お疲れさまでした。それでそのう……」
トトリが、ちらっと後ろを見る。
その後ろから、えっちらほっちらとミルクの入ったコップを持った幼女がいた。
「この子、エリーちゃんっていうらしいんですが、わたしが知らない子なんですけど、新しい従業員なんですか?」
「あ~……」
ロロナは、頬を掻きながらクーデリアと顔を見合わせる。
「えっとね、トトリちゃん。驚かないで聞いてくれる?」
「はい?」
「そのね。その子、実は……人間じゃないの」
「はい……はい? え? 人間じゃない?」
「人間なんだけど、人間じゃないって言うか……」
「ど、どういうことなんです?」
「ええと……簡単に言うとね」
「……はい」
「ホムンクルスなの」
「え? ええ? ほむん……くるすってなんですか?」
「え? そこから!?」
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「つまり……錬金術で作られた人間ということですか?」
「まあ、そんな感じ、かな」
「うそ……だって、受け答えも人間そのものですよ?」
「うん、まあ、そうなんだけどね……」
トトリの言葉に、ロロナが口を濁す。
「ちなみに言うとだけど」
その横にいたクーデリアが、ミルクを飲みながら言った。
「あんたが昨日見た、幼女や男の子もそうだから」
「はい? え? えっと……マリーちゃんとクラウスさんって人もですか?」
「そう」
「えええええええええええええええ?」
衝撃の事実に大声を上げるトトリ。
「えっとね。かいつまんで説明すると、マリーちゃんは自然発生したホムンクルス……らしいの? 私も半信半疑なんだけど」
「し、自然発生?」
「その辺りはまだ詳しくわかってないんだ。ただ、彼女は別の大陸で老齢になるまで生きて死んだ人なんだって。なのに子供の姿になってアーランドにいたの」
「うそ……」
「うーん……まあ信じられないのも無理ないけどね。で、うちで面倒見てたんだけど、ある時に賢者の石を作ったら、それが変化してクライスさんになっちゃったんだった」
「はい? 賢者の石が人間に!?」
「そう」
「そ、そんな……そんな効果があるんですか!? 賢者の石に?」
「ないよ、賢者の石にそんな効果なんて。少なくとも、どの文献にもそんな記載は一切ないの」
「えええええ……」
トトリは、唖然としてエリーを見る。
エリーは、縮こまりながらトトリの横で座っていた。
「じゃ、じゃあ、エリーちゃんも……」
「そう。賢者の石が人間になった例なんだ」
「な、なんで……」
「それがわかったら、あたしやロロナも苦労はないんだけどね」
クーデリアが溜息をつく。
「もー聞かれてもこっちもわかんないっての。幸いにもあのクライスが生まれるところにはジオ様もいたから、その説明にも納得してくれたけど……また人が生まれるなんて、こっちも把握できていないから大騒ぎだわ」
「ジオ様?」
「この国の国主よ」
「簡単に言うと、この国で一番偉い人だよ」
「え? 王様!?」
「まー元だけどね」
クーデリアとロロナの言葉に、トトリは混乱した。
まさか国で一番偉い人に、二人が面識があることについて目を回している。
「ともかく、そーいったわけで、何もわからないからうちで面倒見ることになったから」
「そーいったわけでって、ロロナ先生! エリーちゃんとはつい最近あったばかりなんですか!?」
「というか、昨日が初めてかな」
「うえええええ!?」
いろんなことが起こりすぎて、呑み込めないトトリが目を回す。
「まあ錬金術やってれば、こんなこと日常茶飯事みたいなもんだよ」
「そ、そういうもんなんですか……?」
「ロロナやマリーの場合は、大体そうね」
「……なに、この、ロロナ先生とクーデリアさんの慣れてる感。本当にそうなんだ……」
トトリは頭を抱えた。
「さて……長くなっちゃったけど、エリーちゃん、だっけ」
「……はい」
「私はロロナ。貴方のことを教えてもらえるかな?」
ロロナの言葉に、幼女――エリーは居住まいを正した。
「はい。ご説明しますね」
その言葉は、その年齢には似合わないような理知的な姿だった。
長くなったので2分割しました。
おかぁエリー