はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
ロロナと違って時系列が依頼に沿ってないから、時間の流れが難しいなあ
黄金平原――
麦畑が多く存在するこの場所は、アーランドの食糧庫であり、植物や果物の素材がよく取れる場所でもある。
ここにエリーを含めた、トトリ、ジーノ、メルヴィアの四人はアランヤ村へと歩いていた。
「いやー……しっかし、まさか帰りはこんなちぴっこと旅をすることになるとは」
メルヴィアがニシシと笑いながら振り返る。
「しょうがないよ。マリーさんは帰ってこないし、冒険者ギルドからも今はアーランドの街にいない方がいいって言われたし」
「まーねえ。騒動の原因が原因だし。物珍しさで覗きに来る人もいたしねえ」
「冒険者ギルドで噂になってたもんな」
「……どっから漏れたんだろ」
「まーしょうがないわよ。冒険者だもの。情報には鼻が効くし、あっという間に広がっちゃうわ」
「俺が聞いた話だと、あのトトリのカーちゃんと暴れたマリーって人が原因ってのが興味を引いたみたいだぞ」
「うう……お母さんのこと聞きたかったのに」
ガウッと肩を落とすトトリ。
「ごめんなさい……」
「あ、エリーちゃんは悪くないよ!?」
「そーねえ。どちらかといえば、悪いのはトトリの先生よねぇ」
「そ、それも違うと思うけど……でも噂が広まったのは、先生が大騒ぎしていたせいでもあるかも」
「冒険者ギルドであれだけ連日騒いでればなぁ」
毎日のようにギルドに呼び出されたロロナは、ギルドの大広間でいろいろと大声で叫んだせいでもある。
「結局、ロロナのねーちゃんは居残る羽目になったしな」
「クーデリアさんが、1~2か月はアーランドに来るなって言ってたし、エリーちゃんの生活のこともあるからしょうがないよ」
「……ご面倒おかけします」
「いえいえ! だからエリーちゃんは悪くないって!」
「というか、エリーよぉ」
「ジーノくん!」
ジーノがエリーを呼び捨てにしたことに、トトリが咎める。
「そんな他人行儀はいらないぜ? お前は一番ちっこいんだから、フツーに甘えておけばいいんだよ」
「……はあ」
「もう……ジーノくんは、本当に空気が読めないんだから」
「まあ、それもあるけど。でも、あたしも賛成かな」
「メルお姉ちゃん?」
メルヴィアの言葉に、トトリが驚く。
「もうあんたも仲間なんだからさ。変に言葉を飾らなくてもいいのよ? なんか他人行儀みたいであたしも嫌だし」
「……そう、ですね。なんとなく、昔の癖が抜けなくて」
「あー……そういや、元はご老人だったっけ」
ポリポリと頭を掻くメルヴィア。
「いえ……そう、そうだね。うん、わたし、確か若い時はこんな感じだった」
「お?」
「ごめんなさ……ううん。ごめんね。やっと思い出した。そうよ。わたし、騎士団長の妻でなく、普通の田舎の市民だったんだもの。ちゃんと元に戻らなきゃ!」
「……エリーちゃん。そんなに偉かったんだ」
「わたしは偉くなんかないよ? 旦那様が偉かっただけだもの」
「……そういやあ、結婚してたんだったわね。ちなみにぃ……どんな旦那さんだったの?」
興味津々なトトリとメルヴィア。それに気づかず、普通にしゃべりだすエリー。
「ダグラス……あ、旦那様なんだけど。昔から王国の聖騎士でね。わたしと出会った頃は若手ナンバーワンの位置にいて、当時の騎士団長と技を競っていたの。騎士団長は数十年勤めあげた剣聖だったんだよ」
「ほほー……」
「剣聖……」
「私と結婚する直前あたりかな? 大会で騎士団長を倒して、そのまま私のアトリエに来てプロポーズしてったの」
「ええー!?」
「わぁお! 大胆!」
「まあ、元々憎からず思っていたから、そのままプロポーズを受けたら、マリーさんがすぐに結婚式の準備をしてくれてね……」
「「 おおー! 」」
エリーの話に、トトリとメルヴィアが目を輝かせて話を聞きいる。
ちなみに、ジーノは欠伸をしながらどっかで昼寝でもしようかなと思っていたのだった。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
アランヤ村――
「とうちゃーく! エリーちゃん、ようこそ! アランヤ村だよ!」
「うわぁ……本当に港の村って感じだね」
エリーがきょろきょろと周囲を見て回る。
「とりあえず簡単に説明しておくね。ここが広場で、あそこが村唯一のバーなの。お仕事を受ける時はあそこね」
「あー飛翔亭みたいなもんだね」
「んで、あそこがパメラのお店。錬金術の量販店でもあるの」
「量販店?」
「うん。アトリエで作った物を複製して、販売してくれてるの」
「なにそれ、すごい! 錬金術士なの!?」
「あー……そういやどうやってんだろ」
トトリが考え込み、エリーも考え込んだ。
というかツッコんではいけない気もする。
「まあいいや。ともかく、今度店の中も紹介するね。とりあえずうちにいくから」
「あ、トトリ。あたしはここで別れるわね。久しぶりに飲むわよー!」
「ほどほどにね……」
「んじゃ、俺も。母ちゃんに帰ってきたことを伝えておかねえと」
「うん。またね、ジーノくん」
そうして二人と別れ、トトリとエリーはアトリエへと向かうのであった。
「ここがわたしのお家だよー」
「わぁー……丘の上なんだね。見晴らしも良くていい場所だね」
「えへへ。ありがと! ただいまー」
トトリが今のドアを開ける。
と、そこには夕飯の用意をしていたツェツィが振り返った。
「あ、トトリちゃん、おかえりなさい」
「ただいまーお姉ちゃん。お客さんがいるよー」
「あら? 誰かしら」
「えへへ。エリーちゃん入ってー」
「ええと……お邪魔します」
「!?」
トトリの言葉に、エリーがぺこりと頭を下げて家に入ってくる。
と、ツェツィが目を見開いて固まった。
「えへへ。お姉ちゃん、お客さんはねー……」
「かわいい……」
「へ?」
トトリの声と共に、ツェツィは風となった。
「かわいい、かわいい、かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい!」
「うにゃああああああああああ!?」
ツェツィの抱きしめ攻撃。
こうかはばつぐんだ!
「お、お姉ちゃんが……壊れたー!?」
私の勝手なイメージかもしれませんが、ツェツィは幼女を見ると見境がなくなる気がします。