はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
ロロナのアトリエで、久しぶりに再会したエリーとマリー。
互いの無事を確認し合った二人は、現在テーブルを囲んでお茶を飲んでいた。
「いやーしかし、あたしらがちっこくなって若返るとはね。本当にザールブルグの時みたいだよ」
「あれはあれで大変でしたけどね……妖精さんもいましたし」
「あー……いたねえ」
「そういや、こっちだと妖精さん見てませんけど……」
「この大陸は機械文明の発達で生息域が変わったみたいでね。大陸をいろいろ見たけど、ついぞ見なかったね」
「ああ……ザールブルグは田舎でしたからねえ」
エリーは懐かしさに思いをはせる。
「まあ、このバカのせいで生まれ変わったのは仕方ないとして……」
「バカバカと……いや、もうわかっていますし、ぶり返すだけですから何も言いませんがね」
その横で給仕をしながら、クライスが溜息をついた。
「ともかく! こっちに来た以上はいつまで生きられるかわからない人生だ! 存分に楽しんだらいいよ!」
「はあ……マリーさんたちはもう6年ぐらい生きているんでしたっけ」
「そうですね……私が生まれる以前からマリーはいるみたいですし、今のところ寿命が全然わかりませんね」
「あたしゃ妖怪かい……まあ似たような存在かもしれんけど」
「ケントニスでは実用耐久年数に達しなかったようですし、やっぱり私たちの世界とは違う世界かもしれませんね……」
「こっちでケントニスが誰も知らないってことは、あながち間違いじゃないかもね」
ケントニスは、マリーの世界では錬金術士の聖地のようなものだった。
それがこ世界では知られていない。
その事実だけで別世界だと考えられるのも当然だった。
「まあ、はるか未来って可能性もあるけどね。そうなるとケントニスは滅びちゃったってことかな?」
「いやな予想図ですねえ……」
「うーん……歴史にすら名前がないとなると、その可能性はないかも?」
「案外、オルトガラクセンがケントニスの未来の姿で滅んじゃったとか……」
「マルローネ。あなたはケントニスに何か恨みでもあるんですか……?」
余りにあんまりな考察に、クライスが再度溜息をつく。
「まあ、ザールブルグってだけで田舎者扱いで、金を作っても田舎者がどうのって言ってたお偉いエリート様どもには恨みあるけどね……へっへっへ」
「……私もいましたけどそんな扱いは受けませんでしたよ? あなた、なにやったんですか……?」
「マリーさん。ケントニスで会った時は、別段変な様子はなかったはずですが……」
「いい加減嫌気がさしてたから、エリーの誘いに乗ってザールブルクに戻ってきたんだよねぇ」
「やれやれ……二人のアトリエの誕生秘話がそれですか」
先ほどから溜息しかついてないクライス。
「まー、あれからいろいろあったけど。また一緒に会えて嬉しいよ」
「私もです。それはそうと……マリーさん、今冒険者登録してますか?」
「へ? そりゃもちろん」
「どうも、ここだと採取するのにも冒険者登録がいるみたいで……」
「あー……そういやそうだね。エリーも冒険者登録しないと採取できないか」
「ですけど……マリーさんはどうやって攻撃とかしているんです? この姿だと……」
「ああ、あたしは自分でパチンコ作って爆弾投げてたよ」
「あー……なるほど」
アイテムは手で使うものと持ってたエリーは、それは思いつかなかったと頭を掻く。
「クライスは自前で魔法が使えたしね」
「まあ、そうですね。今は杖も使えますけど、当時だと小さい杖だと威力もなくて、ない方がマシなレベルでしたから」
「……なんであたしはちっこいままなんだか。ちくせう」
「成長ばかりはどうにも。とりあえずですけど、マリーのお古でももらってはどうですか?」
「むう……まあ、そうだね。弾もいろいろ作ったし、レクチャーしようか」
「お願いします」
マリーとエリー、そしてクライスがテーブルで話に花を咲かせる横では。
別の師弟が話し込んでした。
「でね、でね! ひどいんだよ! くーちゃんたら、私がさんざん協力したのにあれやれこれやれって!」
「……それは、クーデリアさんの方が、ロロナ先生のためにいろいろしてたのでは?」
「それは……まあそうだけど。でも、2ヶ月も仕事漬けにしなくてもいいじゃない! 私だっていろいろ作ったり、冒険したりしたかったのに!」
「はあ……でも、規則正しい生活で日中の仕事だけって聞きましたけど、違うんですか?」
「……違わない。けど、けど!」
「先生……もう少しクーデリアさんに感謝した方がいいと思うんですが」
「ひ、ひどい! トトリちゃんまでそんなこと言うの!? わーん! トトリちゃんがグれたー!」
「ぐ、グれ?」
ロロナの鳴き声に、トトリが壁にいるジーノを見る。
ジーノは我関せずといった具合に、携帯しているパンをかじっていた。
「ん?」
「ジーノくん。わたし、グれてる?」
「トトリが? お前がグれるってのはねえだろ。口は悪いなとは思うけど」
「口が悪い!? わたしそんなことないよ!?」
「あー……まあ天然だもんな、お前」
「そんなことないもん! 天然なのはジーノくんじゃない!?」
「俺の場合は、時と場所選ぶし」
「わたしは選んでないって言うの!?」
「それがわからないから天然って言うんだぞ」
「わあああああ! 私が話しているのにのけ者にしないでー!」
……似たもの師弟である。
………………
話が進まない……
すいません、ちょっと仕事が立て込んでる上に、また出張になりました。
次回更新は1週間後になります。ごめんなさい。