はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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アランヤ村――

 

「アランヤ村よ! 僕は帰ってきた!」

「いや、アンタ来たの初めてだろーに」

「マークさんですから……」

 

なんだなんだと広場にいた人たちが、馬車の方を見る。

1人騒ぐマークを残して、トトリたちはとりあえず酒場に避難した。

 

「いらっしゃい」

「ゲラルドさん、ただいまー」

「おお、トトリ。おかえり」

「エリーちゃん!」

「うにゃああ!」

「お姉ちゃん……いきなり抱き着くのはやめたげてよ」

 

エリーに抱き着くツェツィに、トトリが呟く。

 

「あはは……相変わらずですねえ」

「あ、いらっしゃい、ロロナさ……」

「おやおや。エリーが抱き着かれ……にょわ!」

 

 ロロナの後ろから現れたマリーを見たツェツィは、音速を越えた。

 

「かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」

「うにょわー!」

「あああ……お姉ちゃんの犠牲者がまた一人」

 

エリーを小脇に抱えたままマリーに頬ずりするという、地味にすごい恰好でツェツィは崩壊した。

どこが? 顔が。

 

「どうどう。落ち着きなさい、マジ落ち着きなさい」

「ぜーはーぜーはー」

「……マリーさんが悲鳴上げるの初めて見たかも」

 

その場にいたメルヴィアが、狂暴化したツェツィを羽交い絞めにしている。

マリーは汗を流しながら息を切らし、その様子にエリーが少し驚いた。

 

「いやー……ごめん、エリー。あれは死ぬかと思うわ。本当に命の危機を感じたわ」

「なんでしょうね? 嫌いな男性に抱き着かれるとかいう生理的なものとは違って、本当に生命の危機的なものを感じるんですよね」

「これはもしかして、あたしらホムンクルスの天敵なのでは……」

 

なんか頭悪いことを言いだす二人(そんな事実はない)

 

「……トトリ。ツェツィは家でもこんな感じなのか?」

「あー……まあ、だいたいそうかも?」

「そうか……ツェツィが休むのはやめた方がいいかもしれん。エリーたちがかわいそうだ」

「そういう形でお姉ちゃんがを休ませない理由になるのは、どうかと思うんですが……」

 

ゲラルドが真剣に考えるようで、こちらも頭の悪いことを言っている。

トトリは、ツェツィを見て、マリー達を見て、ガクッと肩を落とした。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「あれ? そういやジーノは?」

「あ、ジーノくんは別のお仕事でアーランドに残ったよ。ミミちゃんと一緒に」

「あらそう。んで、ロロナさんとマリーさんが来たのね」

「いやーメルちゃんも久しぶりだねェ」

「あ、あれ? 二人とも知り合い?」

「ああ、あたしはギゼラさんと一緒の時に会ってるからね」

「まあ、そういうことだね。メルちゃんはアイツの弟子みたいなもんだって言ってたし」

「あはは。マリーさんは、あの人とガチのタイマン張れるちびっこだもんねぇ」

「ほええ……知らなかった」

 

ひと段落した際に、ついでに昼食を食べて行こうということになって、テーブルを囲む6人。

 

「かわいい……かわいい……」

「うにゅうう……」

 

そう、ツェツィもいるのである。仕事を放棄して。

エリーを膝の上に乗せてご満悦だった。

 

「もぎゅもぎゅ……そういえば、私がここを出てからだいぶ経ちましたけど、何か変わったことはありましたか?」

「ロロナさんが出てから? うーん、特にはないかな。アランヤ村はのどかだからね」

「そっかー……やっぱり師匠も見つからないし、大陸にはいないのかなぁ」

「そういえば、ロロナ先生も人探ししているんでしたっけ」

「うん。私の師匠だね。アストリッドって言うんだけど」

「アストリッド……聞いたことあるような無いような?」

「昔はアーランドに住んでたけど、あっちこっちに旅しているから会ってるかもね」

 

まあ破天荒な人だし、と呟いて食事を再開するロロナ。

 

「ふーん……そういや、トトリ。しばらくはこっちにいるの?」

「え? うん、多分? プラチナムになって行けるところが増えたし、一応全部廻るつもりだけど」

「そっか、そっか。じゃあ、そのうちにちょっと頼み事するかもね」

「頼み事……?」

「ああ……まあ、ツェツィのことでね」

「お姉ちゃんの?」

 

?マークを出してトトリが首をかしげる。

 

「トトリも冒険者になったし、ツェツィを少し冒険に連れ出してやりたいのよ。この子、村からほとんど出たことないし」

「え? そうなんだ」

「まー今まではあんたがいたから無理も言えなかったしね。でも、トトリも独り立ちしたようなもんだし、そろそろいいかなって」

「あーなるほど」

「と、いうわけよ、ツェツィ。どう?」

「かわいい……かわいい」

「「 ……………… 」」

「あうう」

 

ツェツィはエリーの髪を弄ることに集中している。

 

「おい、こら」

 

ポカッっとツェツィの頭をはたくメルヴィア。

 

「いたっ! ちょっと、なにするのよ!」

「あんた、全く聞いてなかったわね!?」

「知らないわよ! 今はエリーちゃんを愛でるのに忙しいんだから!」

「お姉ちゃん……エリーちゃんは人形じゃないって何度も言ってるのに!」

「いいじゃない! かわいいんだから!」

「いいわけないでしょ! アンタはやりすぎなのよ!」

 

ギャンギャンと騒ぐ二人。

その横で海鮮パスタをつついていたマリーが、抜け出してきたエリーに呟く。

 

「……エリー。あんた、いつもこうなの?」

「………………はい」

「そりゃきついわ……」

 

精神年齢が老齢の人間を猫かわいがりする人間。

その事実に戦々恐々とするマリーだった。




現在、古いゲームにはまっています。
更新が遅れたらゲームと仕事で書くのさぼってると思ってください。
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