はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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魔石の巣――

 

「………………」

「? どうしたの? トトリちゃん?」

「私たち……ローリンヒルからまだ4日ですよね」

「? そうだね」

「……なんでここにいるんですか?」

「そりゃあ……空とぶじゅうたんのおかげだね」

「………………」

「わかるよ、トトリちゃん……私も最初にあれを知った時にはずいぶんショックだったからね」

 

ロロナが呆然とするトトリを慰める様に肩を叩く。

1日でローリンヒルからアランヤ村に戻り、2日でアイテムを作って、1日で反対側にある魔石の巣まで来たのである。

ちなみに、アランヤ村からここまで来たのにかかった時間は半日と経ってない。

 

「マリーさん!」

「? なんじゃらほい?」

「空とぶじゅうたんを研究させてください!」

「いや、アンタもさっそく作って持ってきてるでしょうが」

「そうじゃなくて! どうやって改造したのか詳しく!」

「それはダメだね」

「なんでですかぁ!?」

「それは自分で見つけるものだからだよ、トトリ」

 

マリーの言葉にぐぬぬぬぬと悔しがるトトリ。

 

「トトリ。あなたの職業は何?」

「エリーちゃん……」

「もうあなたは初級の錬金術士じゃない。なりたての冒険者でもない。だったら、それを参考にしても他人の成果物を盗むような真似はやめなさい」

「………………」

「それは錬金術士にとって、最もやってはならない禁忌だよ。作った本人が公開しないようなものを安易に求めてはダメ」

「………………はい」

「そうでしょ? ロロナ先生?」

「あはは……ごめんね。私もそう思うし、本来は私が言わなきゃダメなことだね」

 

ロロナが頬を掻きながら答える。

そんなロロナを見ながら、マリーはトトリに優しく語り始めた。

 

「トトリ。ロロナはまだアトリエにいた頃、私と暮らしていたけどね。ロロナは一度たりとも自分から、あたしのレシピを欲しがったりはしなかったよ」

「……!」

「あたしが作った物を見て、自分なりに参考にして新しい物を作ろうとはしていたし、あたしからの発案でロロナにレシピを渡したことはあるけどね。けど、ロロナから望んだことはただの一度もなかったよ」

「………………」

「あはは……まあ、元々師匠もそうだったし、レシピをただ教えてもらうのは何となく嫌だったんだよね」

「うん。だからあたしはロロナの元に安心していられたんだ。それは今でも変わってないよ」

「……わたし、は」

 

トトリは自身が犯してしまった失敗に崩れ落ちる。

 

「トトリちゃん。便利な道具を求めること自体は良いよ。それが錬金術士だしね。でも自分で作る創意工夫を忘れたら、私たちの存在意義がなくなっちゃうよ」

「ロロナ先生……」

「錬金術士はどんなときでも自分で創意工夫だよ。安易な答え合わせは必ずしっぺ返しがあるからね」

「……はい」

 

ロロナがトトリを励ます傍らで、エリーがマリーに話しかけた。

 

「そういえば……だいぶ昔に似たような生徒がいましたね。勉強はいらないからレシピだけ教えろって……」

「あー……あのクソガキか。いたねえ……結果だけを求めて学院に怒鳴り込んできた貴族の坊ちゃん」

「中和剤とか初期の錬金術だけ卒業生から教わって、何でもできると思った子でしたね」

「……マリーちゃん、エリーちゃん。その子はどうなったの?」

「ん? 教員のバカがやって見せろってフラムのレシピ教えて作らせようとして、案の定失敗、爆発して大けがしたね」

「ちょうど他の先生がいない時だったのが災いしてね。マリーさんやクライスさんが知った時には、もう教会に担ぎ込まれた後だったの」

「教えた教員も大目玉。貴族のガキンチョだったから結局国が動く羽目になってね。国王が仲裁して、その教員は解雇、クライスは学院長として減給になったねえ」

「あんときはイングリド先生も出張でちょうどいなくてねえ。いたらアタシらまでとばっちりがあったかもねえ」

 

まあ、いたら絶対に止めてただろうけどね、とマリーとエリーは懐かしく語っている。

 

「まあ、そういうわけさね。安易に結果を求めるとそうなるって例さ。トトリ、これは遠い対岸の火事じゃない。身近で本当に起こりかねない危険なんだよ」

「……はい」

「あんたももし今後、誰かを教えるような立場になって同じように言われたらそれを教えてやりな。実際に起きた教訓だとしてね」

「今、トトリが感じている後悔と一緒にね」

「……はい」

「それでもダメならこう言いな。乞食には何も教えるものなどないってね」

「……マリーさんだと本当に言いそうですね」

「ははは。エリー、正解! あたしは学生にそれ言って、イングリド先生にシバかれたよ」

 

ニャハハハハハ、とマリーが笑い、エリーが苦笑する。

トトリは俯きながら立ち上がり、その肩をロロナが支えた。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「ここのボスは精霊だったけど……」

「大きい割には弱かったね。なんででしょうか?」

「うーん……多分進化したてだったのかもね。大して年月を経ていないから普通のモンスターよりちょっと強い程度だったんじゃないかな」

「なるほど……」

 

ロロナ、エリー、マリーの考察をトトリは真剣に聞いていた。

自身はまだまるで足りない。

経験も覚悟も。それを自覚したのである。

 

「トトリ」

「は、はい」

「焦る必要はないし、気負う必要もないよ。ただ、物事の本質は見誤らないようにね」

「……はい」

「大丈夫だよ。あんたの傍にはエリーがいる。エリーはあたしらとは違う視点であんたを導いてくれるさね」

「エリーちゃん」

「あはは……私もそんな大したものじゃないけど。けど、トトリと一緒に勉強はできるよ」

「……はい!」

 

エリーの言葉に、トトリは思いを新たに頷いた。

だが――

 

「えー!? 私はー!? マリーちゃん! 私もトトリちゃんの先生だよー!?」

「……ロロナの場合は、性格的に反面教師が似合うからねェ」

「な、なんでー!?」

 

どっとはらい。

みなさんはアニスのアトリエのアニスって少女を知っていますか?

  • 知っているし、ゲームをやった
  • 名前だけしか知らない
  • 全く知らない、アニスって誰?
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