はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

46 / 54
今年は土日の連休だけは確保しました
お盆? なにそれ?


26

アランヤ村――

 

「マリーさん、エリーちゃん!」

 

トトリが家の扉を開けると――

 

「………………」

「……お帰り、トトリ」

「うわあああああああああああああああああああああああ!」

 

ゴスロリに全身包まれてこれでもかと装飾されたマリーと、ぬいぐるみのパジャマを着て、山のようなぬいぐるみに埋もれたエリーがそこにいた。

 

「あらトトリちゃん、お帰り! さー今日は新しい服を作ったのよ。どうかしら?」

 

ツェツィが出してきたのはドレスである。

ただし普通ではない。

ものすごくごてごてした装飾に、背丈は小さいのに異様にスカート部分が長いドレスだった。

 

「これ着て、家の屋根に上れば、家の大きさの特大ドレスになるわよ。楽しみね」

 

……それはどんな〇林〇子だ。(メタ)

 

「お姉ちゃん! いったい何してるの!」

「何って?」

「この三か月、二人に何してたの!」

「普通にしてたけど?」

「これが!?」

 

マリーはもはや目が死んでいて何もしゃべらない。

瞳孔が開いて呼吸しているかも怪しい。

エリーはまだ耐性があるようだが、完全に悟りを開いたような顔をしていた。

 

「うわああああ……これはひどい」

「すっげえな、おい」

 

ロロナが二人の惨状に目を覆う。

ついでにと付いてきたジーノが、珍しく冷や汗をかいていた。

ジーノがドン引きする状況は非常に珍しい。

 

「マリーちゃん、しっかり!」

「………………」

「これは……エリーちゃん」

「マリーさんは意識を飛ばしていますから、多分今日は戻ってこないかと」

「ひえええ……」

 

恐るべきはホムンクルス殺しのツェツィであった。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

次の日――

 

「あー……あたし、生きてる」

「マリーちゃん……」

「あたしって誰だっけ」

「マリーちゃん! しっかりして!」

「ここまでマリーさんが壊れるのは本当に初めてですね。ちょっとこれは静養した方がいいかも」

「とりあえず黒の紅茶を山ほど作って、精神回復薬を……」

「トトリちゃん。私のパイノートあげる。甘いものは精神に効くよ。あと、確かモンブランとかが状態回復に効果あったはずだから、それ作ろう」

「ありがとうございます。すぐ作りますね!」

 

トトリとロロナが精神に効くようなものを片っ端から作っていく。

 

「エリーちゃんは大丈夫?」

「私はまだ耐性ができていたのでなんとか。でも後一か月もしてたら同じになってたかも……」

「うわあああ……ごめんなさい」

「トトリは悪くないよ……トトリはね」

 

エリーが暗い笑みを浮かべている。

 

「エリーちゃんもとりあえず黒の紅茶飲んでて。あとで甘いもの渡すから」

「うん、ありがとう……」

「うう……なんでこんなことに。もはや怒られるとか以前に大惨事だよ」

 

トトリは、非常に申し訳ない状況になったことに天を仰いだ。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「それは大変だったわねぇ~」

「大変だったもんじゃないですよ……」

 

トトリはパメラの店に来ていた。

 

「あたしもね~トトリの家に一回行ったのよ? その時にもかわいい服着てたから『あら、かわいい服着てるのね~』ってマリーに言ったんだけど、マリーは何も言わずにへらへらしているだけだったから、いいかな~って」

「それってもうかなりヤバかったんじゃ……」

「あらそうなのかしら~?」

「……いや、パメラさんのせいじゃないですけどね。全部お姉ちゃんが悪いんです」

 

トトリは、はあと溜息をついた。

 

「そういえば、そのツェツィはどうしたの?」

「お姉ちゃんには、ゲラルドさんの店に泊まり込んで一ヶ月間、強制的に働いてもらうことになりました」

「あら?」

「この三か月、まともに働かなかったそうなので。ゲラルドさんと話して強制的に」

「あら~……じゃあ、トトリやおじさんの食事はどうするの?」

「お父さんは、ゲラルドさんのお店で食べることになりました。わたしはどうにでもなりますから」

「あらあら~」

 

しばらくは、マリーとエリーをツェツィから物理的に離すしかない。

そう考えたトトリの苦肉の策であった。

 

「しばらく静養したら、二人を連れてアーランドの街に戻ります」

「ご愁傷様ね~」

「はあ……あ、そうだ。パメラさん、生命の水って持ってますか?」

「生命の……? えーと……ああ、昔ロロナにもらったやつね。まだあるわよ?」

「すいません。それ売ってもらえますか? ちむちゃんの素になるので」

「いいわよ~私じゃ、どう使うのかわからなかったもの」

 

パメラが奥に引っ込むと、大事そうな小箱から赤い種を取り出す。

 

「ありがとうございます。あと、この魔法の鎖の登録をお願いします」

「はいはーい」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

数日後――

 

「マリーさん、マリーさん。大丈夫ですか? 帰りますよ?」

「あーうー」

「……本当に大丈夫かな?」

「ここでは落ち着かないでしょうし、これ以上回復しなさそうなので」

「温泉でもあればいいんだけどねえ」

「残念ながらそう言うのは見たことないですから」

 

言葉を発し、ようやく少し歩けるような状態になったマリーを馬車に乗せる。

 

「じゃあ私たちはアーランドに行くね。ジーノくんはメルお姉ちゃんと一緒に、お姉ちゃんの監視をお願いね」

「まあ……俺はほとんど役に立たないけどな。ともかく、メル姉には言っとくよ」

 

今回の件の詳細を知ったメルヴィアも、さすがにツェツィを庇わずに監視している。

 

まさかの大惨事となったマリーとエリーのアランヤ村での三か月は、もはや拭いきれないトラウマとなったのだった。




こ、ここまでひどいことになるとは思ってもいなかった(いやマジで)
おっかし-なー……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。