はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
なので原作変更でアトリエシリーズになってます
――ノイモントの森。
ダイヤモンドの免許で行けるようになった採取場所である。
トトリはここにステルクとミミを護衛にして、採取に来ていた。
「いくぞ! 一閃! ソードブリッツ!」
横薙ぎに振るわれたステルクの一撃で、うさぷには全滅した。
「ほえええー!」
「……すごいわね」
トトリとミミが驚愕した様に驚く。
「なに、大したことはない。先を急ぐぞ」
「は、はい!」
「……これはうかうかしてられないわね」
ステルクの言葉に、トトリが応じ、ミミは焦る。
「えーと採取採取……あれ? なんだろ、これ」
「どうした……むっ! それは……」
「あれ? ステルクさん、これ知っているんですか?」
「まあな。私としては、いつもお世話になっており、ある意味苦い経験の素だ」
「……なんですか、それ」
トトリが持つ素材アイテム。それは――
「……ひかる円盤だ」
「ひかる、円盤……?」
「そうだ。こいつの素材だ」
そう言って指を指すのは、自身の周りを廻る空飛ぶ盾だった。
「え!? もしかして、マリーさんの遠近自在盾!?」
「そうだ。それの材料だ。そしてしばらく材料不足で作れなかったものだな」
「ええ!?」
まさか自分持つこんな小さな円盤が、そんな大事なものだとは思わなかったトトリは、ひかる円盤を凝視する。
「これが……」
「……なんで苦い思い出なんですか?」
トトリが円盤を見つめる傍らで、ミミがステルクに尋ねる。
「うむ……それで作ったこの盾は実に有用でな。ドラゴンでも単騎で戦えるほどに強いのだ」
「すごい!」
「……それが苦い思い出?」
「いや……その。その防具のせいで、ジオ様から勝負を挑まれて一度勝ってしまってな……」
「「 ええ!? 」」
トトリとミミが驚く。
まさかアーランド王国最強と謳われたジオ様に勝てる人間がいたとは。
「だが、私としては実力で勝ったのではなくアイテムで勝ったので素直に喜べない上に、暫くジオ様にものすごーく恨まれてな。最終的にジオ様は新しい技を引っ提げて私に勝利するまでそれはもうウザ……いや、なんでもない」
「「 ……………… 」」
今うざいって言おうとしたね?
「まあ、結局勝ったのと自身もマリーから盾を贈られたことで、機嫌は治ったのだが。今度はそれに気をよくして一人であっちこっちに討伐に出るようになってたな。おかげで私は、こうしてジオ様を探して東奔西走する日々になったわけだ」
「あはは……」
「……ジオ様の放浪癖はそんなことで」
まさかの状況にトトリもミミも何も言えない。
「……まあ強力すぎるという意味では、それはとても有用なアイテムだ。それとマリーが新しい活用法を考えていたが、材料不足でレシピが上手くいかないとも言ってていた。これで続きができるな」
「なるほど……でもマリーさんは今」
「ああ……まあそうだな」
精神崩壊の状態のマリーに、レシピを作るのは無理だろう。
「ふむ。なら君が作ったらどうだ?」
「え!?」
「君も錬金術士だろう? 盾のレシピはロロナも知ってたはずだし、新しいアイテムも考えつくのではないか?」
「………………」
トトリはふと思い出す。
『トトリ。あなたの職業は何?』
エリーの言った、その言葉に、トトリは頷いた。
「……そうですね! わたし、がんばってみます!」
「うむ。期待していよう」
「はい!」
トトリは決意を新たに、ひかる円盤を握り締めた。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「先生!」
「トトリちゃん、おかぁエリー」
アーランドの街。
採取地から戻ってきたトトリは、まっすぐにアトリエに向かった。
「先生! 素材を見つけました。ひかる円盤です!」
「わあ! よく見つけたねぇ! 闇の領域で取れなくなってたから探してたんだよ」
「ステルクさんから聞きました。これが先生たちが使っている盾の素だって」
「あーうん。そうだね」
「先生! 盾見せてください!」
「え……? いいけど、レシピあるよ?」
ロロナは、すぐにレシピを見せてくれと言ってくると思っていたのできょとんとしている。
だが、トトリは違った。
「いえ。まずはどうなっているのか調べて、解析して! その上で結論付けてからレシピを見せてもらいたいです! わたしの結論とどう違うのかも検証したいので!」
「トトリちゃん……!」
ロロナは、感極まったようにトトリに抱き着いた。
「わぷ! せ、先生!?」
「すごい! すごいよ、トトリちゃん! もうそこまで錬金術士として成長しているだななんて! そうだよ! 錬金術士は……」
「創意工夫、ですよね!」
「そうだよ!」
抱き合ってキャッキャと喜ぶ師弟。
そんな様子を見ていたエリーは、静かにほほ笑んだ。