はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
アーランドの街。
「……というわけで、熱砂吹く原野で大規模な爆発を確認した。現地ではクレーターもできて大変な騒ぎだ」
「あうあうあう……」
「………………」
ステルクがアトリエに来た。
「自警団総出で原因を探る為、冒険者と一緒に調査することになった。私が団長として同行するので、暫く護衛は無理と思ってもらいたい」
「……わかりました」
「あうあうあう……」
先日の大爆発はそれはもう大騒ぎで、冒険者ギルドが大々的に捜査することになったらしい。
「恐らく原野がああなったのは、古代遺跡が暴発したのではというのが有力だ。何があるかわからないので、暫くあの辺には近寄らないようにな」
「……はい」
「あうあうあう……」
「……トトリは、いったいどうしたのだ?」
「気にしないでください……」
ステルクの言葉に、ロロナが答える。
「まあいい。邪魔をした」
そう言って、ステルクは去って行った。
「………………」
「あうあうあう……」
「……トトリちゃん」
「ふぁい!」
「……威力を求めるのは良いけど、効果範囲には十分気を付けなさい。私が言えたことじゃないけど……」
「……ふぁい」
「それと起動前に必ず効果は検証しなさい。今回は変な性質はなかったけど、毒素を撒くような効果があったらこんなもんじゃすまなかったんだからね」
「……ふぁい」
トトリは項垂れ、その場にしゃがみこんだ。
と、そこにエリーが来る。
「よっと……はい、トトリ。素材」
「エリーちゃん……」
「座り込んで何しているの?」
「………………」
「はあ……改善点がわかったなら改善するのが錬金術士でしょうに」
「改善……」
トトリは顔をあげた。
「威力は十分検証できた。後はどうやってあの効果範囲を小さくするか、使いやすくするかでしょうに」
「……いいの?」
「作った物が暴発するのは錬金術士じゃよくあることでしょ!」
「えええ……」
トトリが驚き、ロロナがうんうんと頷いている。
さすがザールブルグの錬金術士、失敗慣れしている。
「効果範囲が絞り切れないなら威力を抑えるのも検討しつつ、より使いやすくしていくの。昔はマリーさんが良く大爆発起こしてたから、私が使いやすく調整してたし」
「そうだったんだ……」
トトリは窓辺で外を見てぼーっとしているマリーを見る。
「マリーさんに比べれば、トトリがやったのなんか大したことないもの。マリーさんの場合は、本当に山一つ二つ吹き飛ばしたし」
「うえええ……」
「思い出すなぁ……魔族に大事な作品壊されて、エアフォルクの塔をぶち壊すって山ほどの高威力爆弾もってカチコミに行こうとしたのを総出で止めた思い出」
「……なにそれ」
「……よくわかんないけど無茶苦茶ヤバいのはわかる」
「ヴォルクさんとシュトラーフェさんが土下座して、キリーさんまで一時魔界迄行って周辺の魔族を叩きのめしたんだよ。確かマリーさんも同行して、向こうで爆弾山ほど爆発させて国を脅してきたって聞いたし」
「なにしてるの、マリーちゃん……」
「それに比べたらどうってことないよ」
比較対象がどうかしているが……
「……うん。わかった」
エリーによるマリーの失敗談? に励まされたトトリが立ち上がった。
「わたし、がんばるね!」
「そうそう、がんばれ!」
「……あれー? そもそも原因というか、きっかけは爆弾じゃなかったような……」
トトリとエリーをよそに、ロロナだけが真実に近い所で首をひねっていた。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「できました!」
「また爆弾……?」
「違います! 遠近自在盾です!」
「あ、本題忘れてなかったんだ」
一ヶ月ほど冒険者が総出で調査のために出ているため、護衛依頼ができないとトトリは錬金術に明け暮れていた。
トトリとエリーの合作で、新しい遠近自在盾が完成したのである。
「マリーさんが未完成って言ってた意味が解りました。確かにこのままだとアイテムで効果なくしちゃいますね」
「なので、解決策を施しました」
「え、できたの!? 賢者の石なしに?」
「はい。要は集積回路の容量不足でしたので、アロママテリアを3つに増やしました」
「あー……なるほど。容量が足りなければ増やせばいいってことか」
「命令の重複誤認が厄介でしたけど、緩衝材として先生が持ってたエンゼルチャームを圧縮したものを組み込んでます」
「何に使うかと思ってたんだけど……」
「エンゼルチャームは状態耐性が高いからね。余計な情報伝達を阻害して、必要な情報だけを選別できるようになってるんだよ」
「ついでに妨害アイテムでの干渉も無効化できるようになってますから、外部要因で機能が停止はしなくなってます」
マリーが解決できなかった弱点が補完された瞬間だった。
「ちなみにそれだけなら2つでよかったんですけど、最終的なこと考えたら3つにしておいた方がいいかなって」
「最終的?」
「これ、多分武器にも付けられます」
「あ……そうか。盾でなく武器も……」
「現状だとマルチタスクで拡張できますけど、機能を絞って武器だけにつけるようなものを作ってもいいですね。多分、そっちの方がコスト的にも安くなりますし」
「す、すごいよ、トトリちゃん! 新レシピの可能性が出てきたね!」
ロロナの言葉に、トトリとエリーは互いに笑いあってハイタッチした。
新・遠近自在盾 浮遊(自動防御) 強化防護フィールド(防御力追加大付与) 最高品質 被ダメージHP還元・大
盾の性能によって効果が変わる 弱点無し 状態異常耐性・弱
特性:丈夫な 大地の力 ランクで強化・大 初心者でも大丈夫 特性で強化・大 空きスロット(追加)×3
防御+90 物理ダメージ軽減・超 (ヒーターシールド)
防御+60 物理ダメージ軽減・中 属性ダメージ軽減・中(ラウンドシールド)
防御+40 物理ダメージ軽減・小 属性ダメージ軽減・大(バックラー)
オプション拡張スロット(特性を5→8)
武器への転換改造も可能(別レシピ)
トトリとエリーによる改造で弱点をなくした上で強化されたもの
なお、スキルツリー副次効果でたたかう魔剣のレシピゲット
ふははー! トトリ強化計画、発・動!