はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

52 / 60
ストックがないのに仕事が忙しくなりそう……最悪週2更新止めることなるかも


32

アランヤ村――

 

「この度は、たいへん、たいっへん! 申し訳ありませんでした!」

 

ツェツィが土下座している。

その前に、マリーとエリーが座っていた。

ちなみにロロナとちむも一緒に来ている。

 

「と……まあ、さすがにお姉ちゃんも反省しているし。二人も許してあげてほしいんだけど」

「……私はそこまで怒ってませんからいいですけど。マリーさんは……」

「……いいよ」

「マリーさん!?」

 

まともにしゃべったマリーに驚くエリー。

 

「まあお世話にもなってるし、あたしがポンコツになってる間にエリーやトトリ、ロロナにも迷惑かけたしね」

「よかった……マリーちゃん。元に戻ったんだ」

「まだダメージはあるけど、何とか普通に会話できる程度には、ね」

 

しばらくぶりにまともに会話できるようになったマリーに、トトリがほっとする。

 

「冒険はしばらく勘弁してほしいけど、日常生活は大丈夫。ちむたちにも世話になったね」

「ちむー……」

「はあ、よかった……お姉ちゃん。次はないからね?」

「はい……ごめんなさい」

 

再度、マリーとエリーに頭を下げるツェツィ。

一件落着と、誰もが思ったその時に――

 

「ぐ、グイードさん!」

 

バンッと扉を開けてきたのは、ペーターだった。

 

「フラウシュトラウトだ! フラウシュトラウトがでた!」

「なに!?」

 

ペーターの言葉に、グイードが立ち上がる。

 

「ふらう……? なにそれ?」

「トトリも知らないの?」

「知らない……お姉ちゃん、知ってる?」

「ええと……」

 

トトリの言葉に、ツェツィはためらうように口ごもった。

 

「この近くまで奴が来ているらしい! 港の船が何隻か沈められてる!」

「まずいな……活動期に入ったか」

「しばらくはギゼラさんのおかげで大人しかったのに――」

「ペーターさん!」

 

ペーターの言葉に、ツェツィが声をあげた。

 

「え? あ、トトリ! やべっ!」

「……お母さん? お母さんがどうして出てくるの?」

「い、いや、その……」

「トトリちゃん! あっちに行ってなさい!」

 

ツェツィが打って変わったように鋭い剣幕で、トトリをアトリエに押しやる。

 

「ちょ、ちょっと待って! お姉ちゃん、お母さんのこと――」

「いいから! 今はアトリエに行きなさい! マリーちゃん、エリーちゃん、ロロナさん! お願いします!」

「ええと……」

「……とりあえず大事みたいだし、一旦はアトリエに行こうか」

「そうだね……トトリちゃん。とりあえずは行こう」

「……はい」

 

ロロナに促されて、トトリはアトリエへと引き下がるのだった。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

夕暮れ時――

ペーターと話した後に、グイードとツェツィはゲラルドのバーへと向かい、そこで話しあって帰ってきていた。

 

「お父さん、お姉ちゃん。説明して」

「ええと……なんのことかしら?」

「とぼけないで! フラウシュトラウトって何? お母さんとどういう関係? 活動期とか!」

「ええと……さ、魚の事よ。大きな魚。それが暴れているって――」

「嘘! そんなんでお母さんが出るはずがないもの! モンスターのことなんでしょ!? どういうことなの!?」

「………………」

「……はあ。ツェツィ、もういいよ」

「お父さん……」

「トトリももうあの頃のような幼子じゃない。ちゃんと理解できる年頃になったんだ。なら知っていた方がいい」

「けど……」

「大丈夫だよ。昔の弱いままのトトリじゃないさ」

 

グイードの言葉に、ツェツィが引き下がる。

 

「ええと……私たちも聞いていいことですかね?」

 

ロロナがそう言ってトトリの横で呟く。

その後ろにはマリーとエリーもいた。

 

「ああ……皆さんも聞いていてください。フラウシュトラウトというのは海竜の事です」

「海竜……」

「昔、フラウシュトラウトが暴れたことで、この村の漁業が壊滅的な打撃を受けたんだ。この村は漁業がなければ成り立たない。けど、冒険者も海の上での戦いには慣れていない。ほとほと困り果ててね」

 

グイードは言う。

フラウシュトラウト討伐の為に、ギゼラがグイードの作った船で単身戦いに出て、行方不明になったと。

 

「戦いの傷があったのだろう。フラウシュトラウトはあれから大人しかった。だが、どうやら傷が癒えたらしい。また暴れだしたというわけだ」

「……わたし、全然覚えてない」

「あの時、トトリはまだ小さくてね。ギゼラが帰ってこないことで毎日泣いて、半分廃人みたいになってしまった。その後はきれいさっぱり忘れてしまったようなんだ」

「だから無理に思い出させないように村中で隠すことにしたの……」

「トトリが家から出るようになって、ちょうどその頃だったかな。ロロナさんと出会ったのは」

「ロロナさんのおかげで、トトリちゃんは錬金術という夢中になれるものが出来た。だからお母さんのことを思い出させないようにしていたんだよ」

「そうだったんだ……」

 

お母さんがどこにもいないわけだ。

ギゼラは大陸でなく海にいた。

 

「あいつがねぇ……まあそういう無鉄砲なところがあったからなぁ」

 

マリーがしみじみと語る。

 

「あれから数年。多分ギゼラはもう――」

「何言ってるよ、お父さん!」

「トトリ?」

「お母さんは生きてるに決まってるじゃない!」

「トトリちゃん……」

「多分帰れないんだよ。船が動かないかなにかで。ということはどこかの島か、別の大陸にいるんだと思う」

「いや、しかし……」

「島とかなら多分連絡も取れないし、別の大陸もフラウシュトラウトがいたんじゃこっちに来れない……よし!」

 

ガタン、とトトリが立ち上がった。

 

「わたし、フラウシュトラウトを倒します!」

「「 ええええええええええええええ!? 」」

 

トトリの宣言に、グイードとツェツィは驚き。

3人の錬金術士は、まあそうなるよね、と深く頷いた。




やーっと船作成。
トトリは船を作ってからが本編な気がします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。