はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
9月中は週1になります。
次回は9月9日です。
アランヤ村――
トトリの母、ギゼラが海に消えたことを知ったトトリ。
だが、彼女はギゼラが死んだとは思わなかった。
彼女を探すためにフラウシュトラウトを倒して探すことを決意する。
ツェツィが止めて心配するが、自分だけでなく3人の師匠が一緒にいること、他の仲間もいることを理由にして対抗。
駄々をこねて逃げ出すツェツィを追いかけて、コンコンと説得し、ついには認めさせることとなった。
だが――
「船はどうするんだ?」
グイードの言葉が、待ったをかける。
「お母さんはお父さんの船で戦ったんでしょ? ならまた作って」
「簡単に言わないでくれ。船なんか一朝一夕にでききないよ。木材や機材を揃えるのにどれだけかかると思っているんだい?」
「大丈夫! ならわたしが集めるし!」
「いや、そもそも船が沈んだとしたら、私の船では……」
「お父さんの船が沈むわけないじゃない!」
「トトリ……」
全く疑いもしない眼でトトリが言う。
「でも舵輪が壊れたとか、帆がなくなって動かないとかはあると思う。だから、わたしが行かないと!」
「……ふふふ」
「うん? お父さん?」
「ふははははは……あはははははははは!」
「え? え?」
「そうか……そうか! トトリはそう思うか! そうだな。俺の船が、俺の船が沈むわけはねぇよな!」
「……なんかキャラが変わってる」
「昔はこんな感じだったのよ、お父さん」
トトリが唖然とし、ツェツィが補足した。
「ようし、トトリ! この村にある資材は壊れた船用だ。新しい船には使えねえ! お前が一から全部集めなきゃならねえ! できるか!?」
「やるよ! わたしの、わたしだけの船だもん! だから――」
「ちょいまち!」
グイードとトトリに待ったをかける声。
マリーだった。
「トトリ。あんただけの船じゃないだろう?」
「え? え?」
「あたしらみんなの船だ」
「あっ……」
マリーの言葉に、ぱあっと明るくなるトトリ。
「もちろんあたしらも手伝うさ。いいだろ、エリー、ロロナ」
「まあ当り前ですけど……手分けしますか」
「もっちろんだよ!」
にこやかに頷くロロナと、すでに船の部品をいろいろ考えるエリー。
「んー……グイードさん、必要なものは何ですか?」
「おう! 船体、甲板、帆、碇、操縦桿、船首像ってところだな。まずは船体と甲板が必要だ。基礎を組み立てねえと」
「となると大量の木材だねえ……よし、トトリとロロナは古き樹木の地で山ほど木材取っといで。エリーは静かの林道でタールの実を集めてきな」
「タールの実?」
「そら船なんだから防腐剤を塗らなきゃダメだろ」
「あ、なるほど……」
マリーの言葉にうなずくトトリ。
「あたしは釘や蝶番などに使えるインゴットを作るよ。確か鉱石はだいぶあったはずだし」
「……そうですね。マリーさんはまだしばらくは冒険出れませんし」
「まあそういうことだね。トトリ、ロロナ、エリーはそれぞれ冒険者頼んで手分けしてきな」
「うーん……エリーちゃんの行く静かの林道ならアランヤ村からの方が近いし、ジーノくんとメルお姉ちゃんにお願いしようか」
「わかった。トトリとロロナはアーランドで冒険者募ってくれる?」
「そうだね。トトリちゃんはミミちゃんとマークさんあたりかな?」
「はい。ロロナ先生は……ステルクさんですか?」
「うーん……もう一人欲しいけど、冒険者ギルドで探してみる」
「わかりました。とりあえずアーランドに行きましょう」
そうして船を作成するために手分けするのである。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「というわけでね、くーちゃん。誰か手の空いている冒険者いない?」
「なにがというわけなのよ」
冒険者ギルド――
ロロナはトトリと別れて一人、冒険者ギルドに来ていた。
「だから、トトリちゃんの為に素材の採取に行きたいの。一人はステルクさんにお願いするんだけど、もう一人欲しいなって」
「あんたとあのむっつりなら二人で十分でしょ」
「えー……」
「昔の連中は軒並み仕事持ちだし、リオネラもいないからね。二人で行ってくればいいじゃない」
「そんなー! 少し不安なんだよ……ねえ、誰かいない?」
ロロナの上目使い。
クーデリアは9999のダメージを受けた。
「……しょ、しょうがないわね! それじゃあ、暫くあたしが付き合ってあげてもいいわよ!」
「ほんと? やったぁ! くーちゃんと出かけるのは久しぶり!」
「……どうせなら二人っきりにすればよかったわね」
「? 何か言った?」
「なんでもないわ……ってことで、フィリー!」
「っはははははい!」
隣で聞き耳立てていたフィリーが、びくっと反応する。
「あたしがいない間、あんたに受付全部任せるから」
「うええええええええええ!? あ、あたしがですかぁ!?」
「当たり前でしょ。他に適当な人いないし」
「でもでも! あたしが受付一人なんて……」
「いつもの仕事に免許更新作業が増えるだけよ。それ以外は机に処理待ち書類置いておきなさい」
「……ギルドの仕事、止まりませんか?」
「エスティがもうすぐ帰ってくるから、代理頼んでおきなさい。貸しはいっぱいあるから少し返せと言っといて」
「あ、あたしが言うんですか!?」
「あんたにも貸しはいっぱいあるでしょうが!」
「うう……そうでしたぁ」
がくっ、と項垂れるフィリー。
「さ、問題は解決したわ。いくわよ、ロロナ」
「えー……今更だけどいいのかなぁ?」
「いいのいいの。たまにはいい薬よ」
「うーん……まあいいかぁ。それじゃあステルクさんに頼んで、古き樹木の地に向かおうか」
そうしてトトリより一足先に、採取場所に向かうロロナであった。
ちなみにツェツィは反省が尾を引いて強くも言えませんでした、ということにしておいてください。(あのくだり、あんまりいらないと思うの)