はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

54 / 54
9月という、雨と台風の季節にイベントたくさん入れたの誰だぁ!
仕事が山積みじゃねえかあ!


34

静かの林道――

 

アーランド大陸でタールの実が取れるのは、ここと世捨て人の家しかない。

質としては世捨て人の家の方が多少上ではあるが、ほぼ変わらないとなれば、近場であるここが基本の採取地となる。

エリーはここに、ジーノとメルヴィアを連れて採取に来ていた。

 

「しっかし、海に行くとはマジかー」

「まあトトリなら納得よね。ギゼラさんを探すためならどこにでも行きそうだし」

 

ジーノとメルヴィアも、採取を手伝いながら雑談している。

 

「というか、エリーちゃんたちも行くのね」

「まあトトリの為でもありますけど、普通に海には興味がありますしね。ザールブルクでも海辺で色々取れたんですよ」

 

素材としてはあまり機会がなくて研究しきれなかったエリーとしては、海の素材からできる錬金術には非常に興味があった。

 

「結局、有用なものの代表がゲヌーク壺や毒ぐらいだったし、ほかにもいろいろできそうだったんですよね~」

 

楽しみだ~と思いはせるエリーに、メルヴィアは「さすが錬金術士」と肩をすくめた。

 

「しっかし、このタールの実だっけか? こんなもんで腐らなくなるってホントか?」

「腐るというか、それの液でコーティングして、そもそも濡れたままにしないことが重要なんですよ。濡れたまま放置すると腐るのも早くなりますしね」

「水をはじく効果があるってことね。な~る」

 

ジーノの疑問にエリーが答え、メルヴィアは納得した。

 

「で、どのくらいとるんだ?」

「たくさん」

「たくさん!?」

「船を覆うぐらいの量を持っていかないといけませんから……」

「えええ……籠の容量、足りんのかよ」

「まあ数日かければ。基本は甲板に使いますけど、出来たら船底や側面にも塗りたいんですよ。量は多くなりますけど、水耐性が増しますし」

「……素人考えなんだけどさ。それって重くならねえ?」

「所詮は液ですし、コーティングする程度ですからね。多少は重くなりますけど、液を作る時にグラビ石を混ぜる方向も考えています」

 

エリーの魔改造癖がここでも発揮される。

そしてエリーの得意技は、オリジナル調合とブレンド調合である。

オリジナルで色々混ぜ、分量を細分化することでその効果を引き上げることを得意としていた。

伊達に『マリー以上の錬金術士』と、アカデミー校長のクライスに断言されているわけではない。

 

「グラビ石かあ。木材に混ぜたら船浮くかな……?」

「な、なんか怖いこと考えているわね」

「錬金術士ってやつは……」

 

メルヴィアとジーノは、考え込むエリーを見て、互いに嘆息するのだった。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

古き樹木の地――

 

「あ、せんせー!」

「あ、トトリちゃん。これから?」

「はい! 先生は……大分貯まったみたいですね」

「うん。ステルクさんとくーちゃんのおかげでね。でもまだまだいるんでしょ?」

「そうですね。最低でも50.失敗や試作を考えると2倍か3倍ぐらいは置いておきたいです」

 

単純にレシピ通り作るだけでも、木材は50ぐらいはいるのだ。

品質や効果を選別するとなればその倍以上はいるし、試作を含めるとなればとても足りない。

 

「とりあえず今あるのは、トトリちゃんの秘密バックでコンテナに転送しておこうか」

「お願いします」

 

ざらざらと秘密バックに材料を入れていくロロナ。

 

「うーん……コンテナがいっぱいになるかもなぁ」

「選別して不要なものは捨てましょうか?」

「うーん……トトリちゃん。トラベルゲートでマリーちゃんの所に帰れる?」

「え? 今からですか?」

「うん。それでマリーちゃんにコンテナの拡張をお願いできないかな」

「えええ!? マリーさん、コンテナ拡張ができるんですか!?」

 

初耳だった。

 

「うん、できるよ。ただ……材料がちょっとねぇ」

「ああ、希少な材料が必要なんですね。何がいるんですか?」

「……賢者の石」

「ええ!?」

 

賢者の石。

錬金術の到達点の一つである。

そして、エリーやクライスが生まれる原因にもなった物だった。

 

「材料自体はマリーちゃんが持ってる。ドンケルハイトも二つぐらい分は残っているはずだから。だから上手くすればコンテナが3倍ぐらいにはなるはず」

「……大丈夫、でしょうか?」

「多分……としか」

「う、うーん……」

 

正直、あまり頼みたくはない。だが、今は保存するコンテナの数が足りないことでもある。

 

「……わかりました。頼んでみます」

「お願いね」

 

こうしてトトリはロロナに秘密バックを預け、自身は護衛のマークやミミと共にトラベルゲートで、一路アランヤ村へと戻るのであった。

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「……そうきたか」

 

マリーは頭を抱えながら唸った。

目の前には申し訳なさそうなトトリがいる。

 

「確かに今のコンテナじゃ容量が足りない。材料もある……けどねえ」

「賢者の石を作ったら、また誰か生まれるかもしれませんし……」

「うーむ……」

 

むむむむむ……と悩むマリー。

 

「……マリーさん。賢者の石って、絶対に必要なんですか?」

「……コンテナを拡張するんだろ? 作るのも拡張するのも賢者の石は絶対に必要だねぇ」

「そうですか……あと、クライスさんとエリーさんが生まれる原因になった賢者の石は誰が作ったんです?」

「ええと……クライスはロロナ。エリーはクライスだね」

「……あれ? マリーさんは作ってないんですか?」

「………………ああ。そういえば、あたしは作ってないねェ?」

 

ふと思いついたことをトトリが呟き、マリーも思い至る。

 

「マリーさんが作れば、もしかしたら生まれないかも?」

「ええ……で、でも2度あることは3度あるっていうしなぁ……」

「3度目の正直とも言いますよ!」

「ううう……」

 

トトリの圧に、マリーがたじたじとなる。

 

「マリーさん!」

「ううううううう……」

「マリーさん!!」

「……わ、わかったよ。いっこだけ、一個だけ試してみるよ……」

 

マリーが根負けした瞬間だった。




なんか筆が進んで一気に書きあがったので、連載速度戻します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

愛と勇気と正義にかけて、市民をお守りいたします!(作者:イングラマン)(原作:機動警察パトレイバー)

某巡査の娘が特車二課第二小隊に配属される、原作再構成二次小説です。▼自分が読みたいがために投稿しました。▼・TVアニメ版を軸にOVA、漫画版や小説版をミックスしています。▼・転生オリ主最強です。▼・一部キャラクターの生年と経歴を変更しています。▼・作者は警察組織や軍事関係、コンピュータについてはネットで調べた程度の知識しかありません。▼以上の点を踏まえて、本…


総合評価:3896/評価:9.02/連載:25話/更新日時:2026年09月04日(金) 18:00 小説情報

旧型サラミスで生きる1年戦争(作者:カズkaz)(原作:機動戦士ガンダム)

ありきたりな転生ものです。機動戦士ガンダムをそこそこに知っている主人公が旧型のサラミスに乗り込み、なんとか1年戦争を生き抜こうと奮闘する物語。▼思い付きで投稿していますので続かないかもしれません。▼箸休めにご覧ください


総合評価:4120/評価:8.33/短編:28話/更新日時:2026年08月24日(月) 22:45 小説情報

槍の聖女の軌跡を超えて(作者:アマシロ)(原作:英雄伝説)

鋼の聖女、アリアンロード。彼女が探していた相手を見つけた時、運命が動き出す。槍の聖女の子として生まれ変わった転生者は、どん詰まりの世界で生き抜く術を見つけるための『足掻き』として。あるいは己の求める欲望のため、トールズ士官学院に入学する。なお本人は両親に気づいていない模様。


総合評価:3539/評価:9/連載:24話/更新日時:2026年09月04日(金) 21:23 小説情報

大江戸騒動記~棟平屋の軌跡~(作者:社畜だったきなこ餅)(原作:暴れん坊将軍)

天下泰平の江戸時代。▼呑気に順風満帆人生送っていた転生者に、地獄からの使者がやってくる。


総合評価:34361/評価:8.85/連載:19話/更新日時:2026年05月01日(金) 19:15 小説情報

転生少女が工房を開いたら、有力者たちのたまり場になった(作者:暁刀魚)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 転生者のアリエルは才能に恵まれていたものの、出世に興味がなかった。▼ 学生時代の研究は一部の人間にやたらと評価されていたが、それをひけらかすと嫉妬されて面倒だと考えるのがアリエルだ。▼ あまり人の来ない田舎の故郷で工房を構えることに決めるのは、自然なことだった。▼ しかしどういうわけか、アリエルの工房には常に学生時代に知り合った有力者が各地から集まってくる…


総合評価:5006/評価:8.53/短編:3話/更新日時:2026年05月29日(金) 12:10 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>