はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
まあ、まだ半分くらいなんですけどね、この作品。
作品を完結させないで新しく作品を書くのは、単なる逃げだと思う次第です(私見)
アランヤ村――
「ええと……アイゼル・ワイマールです。初めまして」
「あ、ロロライナ・フリクセルです……ちょっとトトリちゃん、どういうこと!?」
ロロナがトトリの家に帰ってくると、アイゼルと鉢合わせたのである。
「例によって例の如くです。やっぱり賢者の石で生まれちゃいました」
「えええ!? コンテナが拡張したから大丈夫だったのかと思っていたのに!?」
やっぱり生まれちゃったのぉ!? と驚くロロナ。
トトリから事の顛末を聞くと「あちゃー」と頭を押さえた。
「……しょうがないね、それは。しかしマリーちゃんが作れば変化はしないか……」
「先生?」
「なら、マリーちゃんに賢者の石を量産してもらうのもありかもね。賢者の石で作れるものも結構あるし、大体重要なものが多いしね」
「……まあ、基本賢者の石を使う作成物は高難易度の物ばかりですけど」
およそトトリには作れないようなものがほとんどである。
「地味にコンテナ系は個数が足りなかったからね。でも、そうするとドンケルハイトがないか……」
「え? 今ないんですか?」
「うん。以前はあったんだけど、植生が変化したのか最近は取れなくなってね」
「ということは、もう賢者の石が作れない……?」
「うーん、レシピを変化させれば出来そうなんだけどね」
ドンケルハイトに変わるほどの素材が見つからなければ、現状では作れないということである。
「ともかく、暫くは無理だね。今ある奴でどうにかしないと」
「できたら船にもコンテナつけたかったんですけどね……」
さすがにそれはやりすぎではないだろうか……?
「あ、じゃなかった。そうじゃなくてあの子のことだよ!」
「あ、そうでした」
脱線もしすぎである。
見れば、アイゼルが所在なさげにもじもじしていた。
「まあ、そうとは言っても、生まれちゃったのはしょうがないか……」
「軽っ! いや、いいんですけど。ちなみにあの子、エリーちゃんの同期だそうです」
「うえええ。また大先輩じゃないの……」
「ちなみに改良したタール液も、あの子が一晩で作ってくれました」
「うあ。新レシピを一晩で? それはとんでもない程の凄腕だよ……」
ロロナが地味にへこんでいる。自分でも一晩で新レシピは無理だぁと嘆きながら。
「ええと……そろそろいいかしら?」
「ふぁい! なんでしょうか!?」
「あ、いえ、その。あなたはトトリの先生って聞いたのだけど」
「あ、はい」
「エリーと二人でその子を見ているってことね。マイスタークラスが二人で教えるとか、トトリはそこまで凄い才能があるってことなのかしら」
「え? ええと……マイスター?ってのがよくわかりませんけど、トトリちゃんは元々は私の教え子だったんです。でも私の教え方が下手なので、エリーちゃんにもお手伝いをお願いしたので……」
「……ああ、なるほど。そういう理由なのね」
なるほどね、とアイゼルが頷く。
「エリーは教師にならなかったのに、教え子を持っているからおかしいと思ったのよ。でも、そう言う事なら納得だわ」
「はい……私よりよほど教え方が上手いです」
「しょうがないわよ。年季が違うもの」
アイゼルが苦笑しながら言う。
「あんなナリでも、中身はン十年だもの。そりゃ――」
「だーれがバ〇アですってぇ~?」
「あら、いたの。エリー」
そこにはこめかみに怒りマークを付けたエリーがいた。
「あなたも同年代でしょうに!」
「あら? 私はついこないだ来たのよ? 数年前から来ているあなたと比べたら私の方が若いじゃないの」
「あなた、亡くなったの何歳の頃よ! 私より長生きしてたんでしょうが!」
「忘れたわ。過去は振り返らないのよ」
「さっき人の過去振り返ってバ〇ア扱いしたのは誰よっ!」
ほぼ似たような幼女が、歳の話できゃんきゃん言い合っている。
シュールすぎる二人の様子に、ロロナとトトリが目を点にしたのは言うまでもない。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「だいぶできてきたようだねぇ」
「おお、マリー君。外に出て大丈夫かい?」
桟橋に来たマリーに、グイードが声をかけた。
「少しは歩いてリハビリしないとね。しかし、船体はできたけど、帆柱が多くないかい?」
マリーが言う通り、普通の船は一本、多くても二本である。
だが、この船には五本もあった。
「うん。風を帆に受けるのならばそうなんだけどね。この船は動力が付いているからね」
「え? 動力が付いているなら少なくならないかい?」
「いや、その分重量がある。だから方向転換がしやすいように細かくしなきゃならない。それに動力源も無限じゃないからね。いざという時は風でも進めるようにしているんだ」
「なるほど……でもそれだと動かすのに人手がいるだろう?」
「そうなんだが……マークくんに何か腹案があるらしい」
「腹案?」
ちらっとマークの方を見ると、なにやらちむ相手に話しかけているようだった。
「……というわけなんだが、できるかね?」
「ちむ!」
「なに? もう一人ぐらい人手が欲しい? うーむ」
「ちむ、ちーちむむ、ちむ、ちむちー!」
「なるほど。では、トトリ君に話を持っていくか」
話し合った後にトトリの家に向かう二人。
「……どうでもいいんだけど、マークくんはちむちゃんの言葉がわかるのかね?」
「……あたしも知りたいぐらいだわ」
謎の話で意気投合した二人の後ろ姿に、マリーとグイードは呟いた。
ちなみにエリーとアイゼルですが、亡くなったのはエリーが亡くなって数年後です。
そしてこちらでも数年経ってます。
だから正解はまんま同期。勝負はドローです。(何の勝負?)