はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
アランヤ村――
「というわけだ、トトリ君。ちむちゃんを増やしたまえ」
「なにがというわけなんですか!?」
家に来て早々いきなりわけわからないことを言うマーク。
「む? 初めから説明しろと?」
「当り前です!」
「仕方ない……船なんだが、人員が三人では動かせんのだ」
「え!?」
驚くトトリ。
「いろいろと人員削減のネタは仕込んでいるのだが、最低でもあと三人ぐらいはいる。そこで、ちむちゃんたちを使うのはどうかとね」
「ちむちゃんを!?」
「うむ。彼女たちでも使えるように調整はするつもりだ。ただ、ちむちゃんは現在二人だという。もう一人ちむちゃんが欲しいのだが」
「……といってもちむちゃんは」
「ちむちゃんが言うには、何でももう一人増やすことはできるそうだが?」
「え? ええと……あ! パメラさんからもらった生命の水!」
そう言えば、だいぶ前に預かったのをすっかり忘れていたトトリ。
「ふむ。覚えがあるようで何より」
「あー忘れてました。そういえばそうでしたね……じゃあアーランドに戻らないと」
「む? アーランドに戻るのかね? だったら私も道具を取ってきたいので連れて行ってほしい」
「あ、はい。そういえば、ミミちゃんやステルクさん、それにクーデリアさんもいますし、一緒に帰るかどうか聞いておいた方がいいかな……?」
「うむ。二人とも本拠は向こうだし、用事もあるかもしれんしな」
「そうですね。とりあえず、二人に聞いてきます」
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「私は別にいいわ。船の完成が見たいし。もう少しこっちにいるわよ」
「ありがとう、ミミちゃん」
「べ、別にあんたの為じゃないんだからね!」
実にテンプレなセリフを吐くミミに、隣にいたクーデリアが溜息を吐く。
「はあ……ああ、あたしはそろそろ戻った方がいいわね。そろそろエステルがキレると思うし。あんたはどうするの?」
クーデリアの言葉に、その横にいるステルクが腕組して頷く。
「うむ。私も一度戻ろう。エステル先輩にいない間の詳細を聞かねばならん。まあ、緊急ならばハトが教えてくれるので大丈夫だとは思うがな」
「そういやいたわね。あんたのナゾ鳩」
「じゃあマークさん、ステルクさん、クーデリアさんが戻るということで」
「うむ。ああ、私はこちらに戻ってくるつもりだから、帰りも頼むよ。トトリ君」
「わかりました。では、いきましょうか」
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
アーランドの街。
「アーランドよ、私は帰ってきた!」
「そりゃ帰ってくるでしょうよ。叫ぶんじゃないわよ」
マークの叫びに、耳を抑えたクーデリアが呟く。
「よし! では、準備してくる。集合はアトリエでいいかね?」
「はい」
「んじゃ、私も行くわ。またね」
「はい。クーデリアさんもありがとうございました」
「ふむ……私も行くのだが、トトリ。少しアトリエで待ってもらっていいか?」
「え? ステルクさん?」
「実は君に渡したいものがある。アトリエで待っていてくれ」
「はあ……わかりました」
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――ちむまるだゆう
ジー……ポン!
「ちむ!」
ロロナのアトリエで、さっそくちむを生み出したトトリ。
ちなみに今度は女の子である。
「えーと……よし! 名前はちみゅみゅ! あなたの名前はちみゅみゅちゃんです!」
「ちーむ!」
元気に応じるちみゅみゅ。
ここにツッコミする人間がいないので、そのままであった。
と――
「失礼する」
扉を開いて入ってきたのはステルクだった。
「あ、早かったですね」
「これからギルドで報告だからな……それより、これを」
ステルクは、トトリにアイテムを渡した。
「これは……生命の水?」
「以前ロロナから預かったものだ。これと同じか似たようなものを探してくれとな。残念ながら私には見つけられなかったが」
「やった! もう一人増えるよ、ちみゅみゅちゃん!」
「ちむちー!」
「……なんだ、その名前は」
「え? 新しいちむちゃんのちみゅみゅちゃんですよ?」
「………………」
ステルクがジト目でトトリを見る。
そしてはあ、と溜息をついた。
「今更君のネーミングセンスに言うだけ無駄か……」
「ひどっ! そ、そういうのは新しいちむちゃんの名前を見てから言ってください!」
「……もう一人増やすんだったな」
「そうです! 今度は男の子に!」
「……まあ参考までに増えるところは見ておくか」
ステルクが見ている前で、トトリは生命の水をちむちゃんホイホイに入れて製造する。
すぐに新しいちむちゃん(男)が生成された。
「あなたは、ちむた、ちむまる、ちむやん……」
「お、おい」
「ちむだゆう……ちむまるだゆう! あなたはちむまるだゆうです!」
「ちっ!?」
「うぉい!?」
トトリのあまりの命名にちむが愕然とし、ステルクがツッコむ。
「さ、さすがにその名前は……」
「カッコいいじゃないですか! ちむまるだゆうですよ、ちむまるだゆう!」
「……連呼するな」
ステルクが額を抑える。
新しいちむ――ちむまるだゆうは、膝から崩れおちた。
どうやら男型のちむのネーミング感覚は普通らしい。
「ち……ちぃ……」
「ちー、ちむむ、ちむ、ちー」
「ち、ちむ……?」
「ちむ、ちむむ、ちみゅみゅ、ちむ?」
「ち、ちー……」
女型のちむ――ちみゅみゅが慰める。
自分はちみゅみゅよ、とでも言っているらしい。
その事にこの主に名前を決めさせた結果かと、ちむまるだゆうの眼がレイプ目になった。
実にいつも通りのアトリエのヒトコマであった。
これ、公式なんですよね……おそロシア