はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
アランヤ村――
「「 ようし! 完成だー!! 」」
「「 や、やっと…… 」」
船の完成に喜ぶマークとグイード。
その傍らで精も根も尽き果てたミミとロロナがいた。
「本当にお疲れさまでした……」
「トトリちゃん……やった、やったよ」
「もう……もう船はしばらく見たくないわ」
「え、でもこれから海竜倒しに行くんだよ?」
「そうだった!」
ミミがその場に突っ伏した。
というかついていく気だったのか……
「で、お父さん、マークさん。この船、ただの船じゃないんだけど説明してくれる?」
「うむ。この船は私の技術とグイード氏の尽力の賜物で――」
「あ、簡潔にお願いします」
「むう……まあいい。船の動力はスクリューの3気筒。速度計があるが赤いラインにはいかないように注意すること」
「赤いライン? ここいくとどうなるんです?」
「最悪転覆する」
「て!?」
「それほど早くなるということだよ。まあスクリュー推進ならばだが。帆は3つが方向転換のためのもので、残りの2つが推力を得るためのものだ。基本スクリューで動く場合はメインの2つは収納していてもいい。いざという時の主推進のマストだ」
「……ふむふむ」
「トップ、ジブ、スピンの3つのセイルの操作は、ちむが担当する操作盤で出来るようにしてある。もちろん、緊急時はロープで操作も可能だ。そのマニュアルはこれから作るが」
「……まだ時間かかるんです?」
「明日には渡そう。船の装甲は君のタール液が思いのほか丈夫だったので、余計な装甲は付けていない。というか、城の城壁よりも頑丈な船とはどういうことだい?」
「……そういう風になっただけです」
主に新しい錬金術士の能力がとんでもなかったのである。
「そら恐ろしいね。まあいい。耐腐食、耐波性能もあるコスト度外視の船だからな。で、武装だが、左右の2門の大砲は副砲だ」
「一応、今でできる一番いい大砲を積んでいますけど……」
「威力としてはそこそこだが、君たちが使う爆弾の方が威力があるだろうな。だが、メインの大砲は気を付けるように」
「……あ、やっぱり?」
「当り前だ。威力の概算値が凄いことになっている。あれを撃ったら船が吹っ飛びかねん。だから後部の大砲を積む羽目になったんだろうに」
「……そうですね」
実は船後部にも備え付けの大砲が2門ある。
ただし、これは相手を倒すためではない。
「あれはあくまで主砲を撃つためのカウンター装置だ。中身もウッドチップだから大した威力もない。ただ、真後ろに船や障害物がない時に発射するように」
「生物がいた場合は十分殺傷力ありそうですねけど」
「どのみち海上ではほぼ敵だろう、問題ない。連動して発射するようにセットしてあるし、副砲と違い船に固定をしてあるから狙いもつけられんが」
「まあ、後ろに大砲を撃つつもりはありませんけど」
「前部にある主砲も船の一部として固定してある。船全体で衝撃を受け止めるようになっている。正直君のタール液がなければ撃って無事だったか非常に怪しい所だった」
「……正直、撃つ衝撃までは計算外でした」
「そちらはちゃんと計算した。ギリギリだが大丈夫だろう。下手に竜骨にダメージがあると破砕する可能性もあるため、開幕にぶっ放した方がいいだろうがね」
「……本当に一撃必殺になっちゃいましたね」
精霊波動砲は、本来奥の手のはずなのだが……
「それと大砲だけでは微妙に不安もあるだろうから、後から武装を取り付けられるようなアタッチメントをいくつか用意してある」
「看板にいくつかついている変な台はそれですか」
「君が後から武装を増やせるように土台を用意しておいたのだ。これはグイード氏の発案だな。絶対にトトリは武装を増やすぞと豪語していたからねえ」
「お父さん……もう」
「増やすんだろう?」
「………………」
明後日の方向を向くトトリ。
「まあいい。そういうこともあって拡張の余地は設計段階で残している。正直、まだ改良の余地はありそうだし」
「これ以上何を積むと……?」
「防御関係だな。今の船の防御はタール液に頼っている。いずれはこれをどうにかしたい」
「……どうにかできるんですか?」
「一応の想像的なものは思いつくが実用化はまだ無理だね」
「……ちなみにどんなものです?」
「君たちの持つ盾なんかはどうだい?」
「あ」
遠近自在盾――
「あれを船に取り付けるという案も出たが、新しいモノを作るのは難しいのだろう? 将来的な構図としてその余地を残した程度だ」
「ううん……盾自体を船に? さすがにカバー出来ないかなあ。防護フィールドを強化して広範囲に……? いや、それならいっそ浮遊と自動防御を消去する形に――」
「まあ、それを新しく作るとなると時間がいくらあっても足りないだろうから、さすがに諦めた。もし作るならもっと時間がある時にやり給え」
「あ、そうですね……まずは海竜を倒してお母さんを迎えに行かないと」
まだ強くできるのか、この船……?
「とりあえず現状ではこんなところだな」
「まあ一応満足できる形にはなったよ」
「マークさん、お父さん。ありがとうございました」
トトリが二人に頭を下げる。
「で、だ。トトリ君。この船の名前はどうする?」
「「 !? 」」
マークの言葉に、疲れて座り込んでいたロロナとミミの顔が跳ね上がる。
トトリのネーミングセンスは――
「そうですね……」
「ちょ、ま――」
ロロナが慌てて止めようとする。だが――
「この船は……アルケミスト号。錬金術士の船です」
「……ほっ」
思った以上にまともなネーミングセンスに、ロロナは胸をなでおろしたのであった。
アルケミスト号
強化したトトリの船。現時点では世界最強の船である。
というか、下手するとこれ一隻で艦隊と戦える。(武装を増やさないと勝つのは難しいが)
スクリュー推進により破格の速さを誇る。
通常の船が5~10ノットぐらいの世界に20~30ノット出せる(最高で)
最大速度だと転覆する危険がある。(原作でも速度改良後に注意するようにマークが言っている)
操作はセイルに一人、推進に一人、舵に一人、武装に一人必要。操作はちむでも操作できる操作盤。
ちむが4人になったことで、トトリたちは戦闘に全員回れる様になった。
装甲は固い木材の上から改良タール液をこれでもかとコーティングしたもの。
全体に塗装したことで破格の防御力を得た。耐波性能、耐腐食効果もあり、原作と違って長期間(数十年単位)の実用が可能。
改良タール液
耐腐食性にして対物、対魔法防御を上昇させた上にグラビ石で重量軽減したもの。
丈夫な 軽量化された ダメージ大幅減 炎ダメージ耐性 水ダメージ耐性
武装は大砲が左右に各2門。6尺弾。
効果アップ・大 ランクで強化・大 特性で強化・大 大きな敵に超有効 純粋なる力
精霊波動砲
一撃必殺の武器。竜退治専用。1冒険で一発のみ。
固定ダメージ9999を与える。減少なし。
これでも倒せないオーツェンカイザーはまさに海竜の王。
後部大砲(ウッドチップ)
精霊波動砲の反動相殺用。
弾の後ろについているわけではないのであくまで補助。
船体を固定できない海上では必須。