はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
アランヤ村――
「トトリちゃん、完成したんだね、船!」
「はい。とりあえずは、ですけど」
「とりあえずなの……?」
「まだ改良余地はあるんですけど、今はお母さんを探す方が大事かな、と」
「うんうん。錬金術士は常に上を目指さないとね。目的を忘れがちになるのも錬金術士の悪い癖だけど」
「う……」
マリーもロロナも自分が作るのを優先するあまり、依頼の達成日ぎりぎりになったり目的を忘れそうになるのは多々あった。
エリーやアイゼルは何も言わないが、身に覚えがあるのか明後日の方を向いている。
「で、早速行くのかい?」
「一応、食糧とか資材は秘密バッグから取り出せるので、すぐに出れるんですけど……?」
「けど?」
「その、一緒に行く予定の人がダウンしていまして」
「おや?」
その予定の人であるミミが、テーブルに突っ伏していた。
「きょ、今日ぐらいは休ませなさいよ……」
「というわけです」
「あらら。まあそれならせっかくだし、食糧その他の買い出しと製作をしておくかね。ロロナは食糧製作、エリーとアイゼルは買い出ししてきてくれるかい?」
「あ、うん」
「わかりました」
「まあ、いいですけど……マリーさんは?」
「あたし? あたしは……秘密兵器でも作るかね」
「……また何か作るんですか?」
「まあ暫定的にねぇ。多分必要になるんじゃないかと」
「? なにがでしょうか?」
他に何かいるモノがあっただろうか?
「まあ、後のお楽しみだねぇ」
そう言って笑うマリーは実に悪い顔をしていた。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
次の日――桟橋。
船の前に皆がそろっていた。
「いよいよ出発だね」
「まずはどうするの?」
「海竜を倒します! お母さん探しは後でもできますから!」
「あー……でも海竜はどこに?」
ロロナの言葉に、グイードが海図を広げた。
「海竜はこの岬あたりを根城にしている。ここに行けば奴に会えるだろう」
「わかった! まずはみんなの為にも海竜を倒さないと!」
「そうだね。とりあえず、向かうのは私とミミちゃん、操縦はちむちゃんたちで……」
「ちょーっとまったぁ!」
そこへマリーが駆け込んでくる。
エリーとアイゼルもいた。
「やれやれ、間に合ったね。あたしらもいくよ!」
「マリーちゃん!? それにエリーちゃんやアイゼルさんまで……」
「相手は海竜なんでしょ? 私は一度倒しているし、手は多い方がいいだろうしね」
「私はまだこの体だし、何ができるかわからないけど……でも海竜は見てみたいわ」
「三人とも……ありがとうございます」
トトリが頭を下げる。
「ならしゅっぱ……」
「ちょーっとまったぁ!」
「またぁ!?」
トトリの声を遮ったのはマークだった。
「当然だが、私も行くぞ!」
「ええー……」
「船の実証と操作補助は私が担当する。ちむちゃんたちも処女航海だ。最初は指示せねばならん」
「「「「 ちむちー!!!! 」」」」
そんなことないもん、と男女2名ずつのちむたちが叫んだ。
いかんせん、意味は解らなかったが。
「やかましい! 今回に限り、私がキャプテンだ! キャプテンマークと呼ぶように!」
「「「「 ちー……? 」」」」
えーという顔でイヤそうな顔をするちむちゃん×4
「……そこは艦長じゃないのかい?」
「それを言うな、グイード氏! この船の艦長はあなたの娘だろう」
「まあ、そうだけど」
「ならば私は臨時のキャプテン。だからキャプテンマークだ!」
「意味は一緒なんだけど……まあいいか」
「いいの……?」
グイードの言葉にその横にいたツェツィが呟く。
というかツェツィだけでなく、ゲラルド、メルヴィア、ジーノもいた。
「トトリ。あたしらはいかなくていいのかい?」
「あ、うーん……あんまり多いとやることないし、食糧もそんなにないから」
「ちぇっ。俺も行きたかったぜ」
「あんたが行っても海竜じゃ剣が届かないでしょ」
「そりゃそうだけど。メル姉はどうなんだよ」
「あたしは斧投げるもの」
「一発で終わるだろうが!」
メルヴィアとジーノの掛け合い漫才に、クスリと笑うトトリ。
「トトリちゃん、気を付けてね」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。先生たちもいるから」
「それはそれで心配なんだけど……」
「あー大丈夫ですよぅ! 海竜だって竜なんですから!」
「まあ、あたしら竜退治はし慣れているからねえ」
「そ、そうなの? 錬金術士なのに?」
「そうなんですよぉ……錬金術士なのに、その辺のドラゴンバスターより竜倒しているんですよ」
「……夜の領域のこと、まだ根に持っていたのか」
「だって! さすがにブートキャンプで、一月ずっと竜退治はきつかったんだよ!」
「そ、そんなに!?」
「そのせいで夜の領域の黒ドラゴンが、ほとんど全滅しちゃったんだから!」
「ええええ……」
とんでもない話にトトリ以下、全員がドン引く。
というか、エリーやアイゼルもだった。
「マリーさん、なにやってるんですか……」
「いやあ。あの時は角とウロコが大量に必要でねぇ。スーくんとロロナには悪いことしたと思ってはいるけど」
「思っているけど?」
「……反省はしてないって言いたいんでしょう」
エリーとアイゼルの言葉に、明後日の方を向くマリー。
「と、ともかく! もういいね!? いくよ!」
「なんでマリーさんが締めるんですか……」
「ほらほら、乗った乗った!」
マリーの急かす声でみんながあきれ顔になる。
いつも通り、グダグダな出発となるのであった。
そういや1章で殺しまくったなぁ、ドラゴン。
だからトトリでは夜の領域でギャラクシーになるまでドラゴン出なかったのか……(すっとぼけ)
というかですね、錬金術士はドラゴン殺しすぎなんですよ
メルルなんかほぼ作業で火山で刈ってましたよ……師匠は普通にドラゴンの角やウロコを売ってるし