はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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巻いていくと思ったでしょ?
巻いてはいるよ。けどないとはいってない。


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アランヤ村付近、海上――

 

「その舵輪を回すと舵が切れる。だがやる時は、帆担当との連携が必要だ。帆と合わせればスクリュー推進だけではできない、急旋回ができる。ただし、転覆する危険があるから船体を傾けてからにするように。これから試すぞ」

「「 ちむ! 」」

「というわけで、これより旋回性能のテストと習熟を行う。全員、近場の手すりに摑まるか、固定用ベルトにでも体を固定するように。危険だぞ」

「……それ、戦闘中はわたしたちが吹き飛ぶんじゃ」

「むろん、戦闘中に余計な操作などできん。だから今試すんだろうに」

「そうですか……」

「準備は良いな? ではやるぞ?」

 

そうして丸一日、マーク監修の下に船の操作を終えた、トトリたち。

次の日より岬へ向けての航海となった。

 

そして――

 

「もうすぐ海竜のいる岬ですね」

「ならそろそろ準備しておくかね。というか、見つけたら主砲かい?」

 

マリーがマークに聞くと、マークは腕組みをして深々と頷いた。

 

「うむ。それが一番有効だろうね」

「効くかねェ……?」

「大丈夫だ。君たちが作った物を信じろ」

 

と――

 

「トトリ! 空が暗くなってきたわ!」

「ミミちゃん……え? 今頃雨?」

 

側面にいたミミの言葉に、トトリが天候を気にして呟く。

 

「あっ!」

「エリーちゃん?」

「海竜が出る時は天候が荒れるんだよ! 海竜は天候を操れるんだった!」

「うええええ!? そういうことは早く言って―!」

「まずい! 武装起動準備! スクリューと帆の準備を――」

「トトリ! 海竜が出たわ!」

 

ミミが吠える。

 

「ええ!? 早い、早いよ!」

「だめだ! 今からでは主砲は撃てん! 奴は側面に出るぞ!」

「ど、どうしよう!」

 

マークの言葉にトトリが慌てる。

 

「ならまかせな!」

 

マリーは前に出ると、海竜が首をもたげて現れるのは同時だった。

 

「まずはとっておき、そのいちだよ! こいつをくらいな!」

 

伸び上がった海竜に向けて、マリーがパチンコを撃つ。

と、パチンコで撃ったのはいつもの弾でなくアイテムだった。

 

ボン、という音と共に、海竜に絡みつく網状のネット。

 

「マリーちゃん! それなに!?」

「海竜専用の生きてる投網さ! 対象に絡まるようにできている。マーク! 今のうちに離れな!」

「助かる! 機関最大船速! セイルタック! 面舵! 後ろに回り込むぞ!」

「「「 ちむ! 」」」

「両舷の武装、並びに精霊波動砲起動準備!」

「ちむ!」

 

マークの指示をちむ達が、操作盤を素早く捜査して実行する。

船は、もがく海竜の背後に移動した。

 

「よっしゃ! 精霊波動砲の準備は良いね!?」

「ああ! だが潜られると不味いぞ!」

「だいじょーぶ! まーかせて!」

 

マークの言葉にマリーが応える。

 

「エリー、アイゼル! あたしが攻撃したらコイツであいつを撃ちな!」

 

そう言って二人に、クロスボウを渡す。

 

「ちょ!?」

「マリーさん、これは!?」

「海竜を倒すための補助武器さね! いくよ!」

 

マリーはそう言って杖を取り出した。

 

「いけえ! そのにっ! いかずちの杖!」

 

マリーの持つ杖――雷撃杖が光り、頭上の雨雲から雷が海竜を襲う。

海竜は雷撃と絡みつく投網が邪魔で攻撃できない。

たまらず海の中に潜ろうとうごめく。

 

「逃がすな! エリー、アイゼル!」

「いきます!」

「ああ、もう! 知らないわよ!?」

 

エリーとアイゼルが、クロスボウを撃つ。

と、そのクロスボウの矢の先端には、とげとげの何かが――

 

バキン!

 

海竜にクロスボウが当たると、当たった部分から氷の結晶が広がり、海竜の体を氷つかせた!

 

「これは!」

「今だよ、マーク!」

「よし! 精霊波動砲! 発射!」

 

その言葉と同時に、ものすごい音と衝撃が船全体を覆った。

 

「「「「「「 うわあああああああああああああ! 」」」」」」

 

後部大砲のカウンターをしても吸収できないその衝撃に、全員が床に叩きつけられた。

 

「くう……相殺してなおこの衝撃か。みんな大丈夫か!?」

「あたた……か、海竜は?」

 

トトリが海竜を見る。

そこには――

 

海上に出ていた海竜の部分は完全に吹き飛び、下半分だけが残った残骸としてその場に残っていたのである――

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

「な、なにもできなかった……」

「……私もよ」

「あーうー……」

 

トトリ、ミミ、ロロナが目を回しながら甲板からその様子を眺めていた。

 

「……すごかったですね、あの大砲」

「いやあ、想像以上の衝撃だったね。アイゼルなんかコロコロ転がっていったし」

「当り前です! もうちょっとで海に落ちるところでしたよ!」

 

攻撃を担当した幼女三人組が喧々諤々と騒いでいた。

 

「君らな……ちむ達に竜の回収させないで手伝いたまえよ」

 

マークがちむ達に指示しながら、苦言を言う。

 

「にしても、マリー君。君のアイテムは何だい、あれは」

「ああ。昔、アンデット化した海竜と戦ったことがあってね。その時の経験から動きを止めないと必殺の一撃が当てられないと思ったのさ。だから作ったものさね」

「動きを止める……そうか。確かに海に潜られたらこちらに勝ち目はなかったな」

 

マリーの言葉に、マークは頷いた。

 

「そこのところの想定が甘かったので、念のために作っておいてよかったよ」

「アンデッド化した竜……それってウーナさん、でしたか?」

「そうそう。あの魔族の人がやったやつだね。エリーも火竜でそうだったでしょ?」

「はい……マリーさんは海竜だったんですね」

「ああ。あたしはイングリド先生とヘルミーナ先生と三人で海竜をやってね。その時の再現さね」

「あの二人と……それはすごかったんでしょうね」

「そりゃね。まさか合体魔法まで使えるとは思わなかったけど」

 

昔の思い出を懐かしむマリー。

 

「というか、あの氷はなんです? レルヘンにしては威力が強かったですけど」

「あ、そうそう。ラケーテレルヘンとも違う感じでしたけど……」

「ああ、あれは新しく作った凍り付かせるアイテムさね。樹氷石を成分を結晶化させて凍り付かせるようにしたものだよ。樹氷結晶とでもいうものかね」

「爆発の威力がない分、凍り付かせることを目的としたものですか……二発撃ったのは体積が大きい為ですか?」

「それもあるけど確実化するためだね。動きを止めないと大砲当てられないし、一発しかないから避けられると詰むからね」

 

まさかの用意周到さに、エリーやアイゼルすら舌を巻いた。

 

こうしてトトリが何もせず……海竜は討伐されたのである。




はい、戦闘シーンは越智さんのアンデット海竜のオマージュでした。

なお、武装データです。

生きてる投網
生きてるナワ+鎖グモの巣で作ったもの。行動を妨害する。

雷撃杖(マリー)
ドナー系のダメージをなくした代わりに、痺れさせる効果を強くしたもの
例え竜でも1~2ターンは攻撃を封じる

樹氷結晶+クロスボウ(エリーとアイゼル)
冷気で固めて硬化させることを目的としたもので、それを矢と一緒に撃ちだす
当たると敵を凍らせて1~2ターンの行動を封じる

マリーのアトリエ(漫画)で海竜を倒した時に使った手
あっちはモンスターの攻撃>弩弓による攻撃と氷>光と闇のコンツェルトだったが

そしてメルルでのアイテムを先取りです。
まあ向こうは十数年前のものだしねぇ。
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