はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
あ、今更ですが誤字脱字の修正、いつもありがとうございます。助かってます。
名も無き村――
トトリは再度、ここに訪れていた。
ピアニャを連れてきたことを報告するためである。
「――というわけで、ピアニャちゃんはアランヤ村にいるんです」
「ふむ……」
「さすがにまずいですかね……?」
「いや? かまわんよ」
「え?」
ピルカの言葉に驚くトトリ。
「ここにいてもいつかは生贄にされてしまう人生じゃ。わしらはええ。もう老い先も短い。だが、子供のピルカは生きるべきじゃろう」
「そんな……」
すでに諦めて達観しているピルカに、トトリは言いよどむ。
「……塔の悪魔は塔の中にいるんですよね? なら悪魔を倒せば……」
「無理じゃよ」
「え? いえ、わたしたちなら……」
「そうではない。勝てる勝てないではなく、中に入ることが出来んのじゃ」
「え? でも……」
「悪魔は封印を壊して出てくるわけではない。力を貯め、封印を壊さないで出てくるのじゃ。じゃからあの塔はまだ封印が生きておる」
「そんな……」
新しく聞く事実に、トトリが口ごもる。
「封印を破れば……」
「破る方法はある」
「あるんですか?」
「ああ」
「じゃあ……」
「人一人の命」
「え?」
「人が一人、その命を絶てば封印は破れるのじゃよ」
「そ、それは!」
人を助けるのに人を犠牲にしなければ解けない封印――古代の人はなんてものを残したのだろう。
「あそこに悪魔を封印した国々は、相当追い詰められておったのじゃ。それこそなりふり構わずにの。そして強固で破れない術を作ったのじゃ。その塔の前で命を捧げるという、悪魔なら絶対にしない術を開錠の鍵としての」
「………………」
「わかったじゃろう? 破れんのじゃよ。万が一にも倒せるというならわしが命を捧げても良いが――」
「だ、ダメです!」
「………………そうか。で、あれば方法はない。動物でも魔物でもダメなんじゃ。そう聞いておる……」
「……そうですか」
トトリは立ち上がり、とぼとぼと扉へと向かう。
だが――
「――――でも、あきらめません!」
「……む」
「お母さんがあきらめなかったように、わたしも絶対に何とかして見せます!」
「お主……」
「では!」
そう言ってトトリは外へと出て行った。
「――ギゼラよ。お前の娘はほんに、お前によく似ておるのう……」
そう言ってピルカは笑うのだった。
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「トトリ!」
「トトリちゃん!」
「ミミちゃん、ロロナ先生……」
船で待っていた二人に、トトリは事情を話す。
「そんな……それじゃあ、犠牲がなければ悪魔は倒せないってことなの?」
「うん……」
「うーん……」
「でも、村の人にそんなことは言えないよ。もちろんピルカさんにも」
「そうね……せっかく希望が見えかけていたのに、犠牲者をだすなんてあまりにひどいことは言えないわ」
「ううーん……」
「かといって、誰かを連れてくるなんて……」
「そうね……」
「うううううううううーん………………」
トトリとミミは、唸っているロロナを見る。
「ロロナ先生……?」
「悩むのはわかるけど……なんか変な声ね」
「いやあ……あのね、トトリちゃん」
「はい?」
ロロナの言葉にトトリは応える。
「それって、パメラに頼んじゃダメなのかな?」
「「 え? 」」
トトリとミミがぎょっとする。
「せ、先生!?」
「さ、さすがにパメラさんでも死ぬのは嫌なんじゃ……」
「そうですよ、ダメですよ!」
「そうかあ……まあ、ズルみたいなもんだけど。でも、試しにやってみない?」
「ダメです、ダメ!!」
「えー……」
「えーって……ロロナ先生、パメラさんと仲いいんじゃないんですか?」
「うん。だから頼んでみようかと」
「なんでですか!?」
会話になってない話が続く。
「うーん……一回聞いてみるかなあ」
「ええ……」
「じゃあ、アランヤ村に?」
「ううん、確かね。バッグに……あ、あった」
ロロナがバッグから取り出したの四角い箱のようなものだった。
「先生、それは?」
「これ? マリーちゃんが持たせてくれたものだよ」
「マリーさんが? なんです?」
「通信機」
「つうしんきぃぃ!?」
顎が外れる勢いでトトリが口を開く。
「マリーちゃんが船おりてから、帰るまでに一か月ぐらい時間があったでしょ? 前回戻った時にバッグに入れておくから、何かあったら呼べって受け取ったの」
「つうしんきって……通信? え? 通信ってなんだっけ?」
「しらないわよ……」
「これでアランヤ村のマリーちゃんとお話しできるよ」
「「 うーわー…… 」」
寝耳に水な便利道具に、トトリとミミの顎が外れる。
「あーあー、テストテスト~だっけ? もしも~し、マリーちゃん~?」
『ほいほーい。そろそろだと思ったよ』
「「 わ、本当に聞こえた 」」
箱から聞こえる声に驚く二人。
『なんかあったんかい?』
「あのね。今トトリちゃんの家にいるでしょ? 一旦、パメラの所に向かってくれる?」
『あいよーんじゃ、またあとでね』
―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――
「――って、ことでね。パメラにこっちに来てほしいんだけど」
『そこで私が死ねばいいのね?』
「うん、そう」
ロロナが説得した内容に、トトリとミミがドン引きする。
「死ねばいいって……」
「さすがに……」
さすがに断るだろうと思ったのだが――
『いいわよ~』
「「 いいの!? 」」
「わーい、やったー!」
『面白そうだからね~』
「「 えええええ…… 」」
顎がかくんと落ちる二人。
『でも船がないわよ~?』
『あ、それはあたしが送るよ。じゅうたんつかえばいいし』
「え? でもマリーさん、ここの場所は……」
『通信機の場所はトレースできているから、それ辿ればすぐさね』
「えええ……」
『多分だけど、海図を見る限りは大陸の東端からいけば、じゅうたんなら1日で陸地につけるから問題ないさね』
「じゅうたん、無敵説……」
「とんでもないわね……」
トトリとミミが頭を振る。
『んじゃ、エリーとアイゼルが帰ってきたら、パメラを連れてそっちいくよ』
「あれ? 二人出ているの?」
『ああ。南の列島があっただろ? じゅうたんであそこを攻略しているんだよ、あの二人。つかもうすぐ終わるってさ』
「「 ええ!? 」」
『そこで集めた素材で新しい装備も作っておいたから、あたしが行くまでにバッグの中から試着しといてよ』
「「 ……………… 」」
『あ、盾も作っておいたからね。いやあ、瑠璃色の羽があんなに大量に手に入るとは思わなかったよ』
「な、なんか……」
「知らない間に……」
「「 とんでもないことになってるー!? 」」
ふははははは! マリーやエリーやアイゼルが一ヶ月も時間があって何もしないわけがないだろうw
3人ともレベル99オーバーやぞw