はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~ 作:遊佐
悪魔の塔――
古代の悪魔が封印された塔である。
その前に5人の錬金術士とふたりの女の子が立っていた。
「本当に来ちゃった……いいのかなぁ」
「思ったよりも遠かったわね~私、もうくたくた~」
「あ。疲れているなら無理しなくていいですよ? 今からでも……」
「でも一度帰るとまた来ないといけないし、さすがにそれはめんどくさいわ~」
「……本当になんでそんなにやる気なんですか?」
トトリの呟きをパメラは無視して、その前を行く4人は平常運転であった。
「ここがそうかい」
「でかいですねぇ……」
「エアフォルクの塔よりありそうですね」
「これは相当な悪魔が封印されているね」
そうして塔の門の前に辿り着く。
「さて、それじゃあ早速やってみましょ~!」
「早速って……どうやって?」
「そうね~一人でもできるけど、ちょっと手伝ってくれる?」
「ええ!? て、手伝うって……む、無理無理、無理ですよ!? み、ミミちゃん!?」
「できるわけないでしょ!? さすがに……ねぇ」
さすがに自殺を手伝うのはカンベンなトトリとミミだった。
「そんなにむずかしいことじゃないわよ~ほら、背中にボタンがあるでしょ? これ外してくれればいいから~」
「へ? ボタンって……服?」
「服じゃなくて首の所~」
「首……あ、本当にボタンがある。え? なんでボタン?」
人体についているボタンに?マークになるトトリ。
「ほら、はやく~」
「あ、はい。じゃあ……ぽちっと」
ドサッ!
「え?」
『ばあ~うらめしや~』
「へ? あ、え?」
「あ。あわわわわわ……」
「「 きゃあああああああああああああああああああああああああ! 」」
トトリとミミの声が合唱して叫びだす。
『きゃあ!? もう、幽霊を驚かさないでほしいわ~』
「いや、だって……え? 幽霊? パメラさんが飛んでる!?」
「ひぃ~成仏してください~」
トトリは驚き、ミミはそんなトトリの後ろに隠れて縋り付いている。
『ほら、落ち着いて~深呼吸よ~』
「ええ……はい。すーはーすーはー」
「……あんた、何気に肝が太いわね」
「うん、まあ錬金術士やってるとね……じゃない。パメラさん、幽霊なんですか?」
『そうよ~言ってなかったかしら~?』
「全然聞いてませんよ!?」
トトリの声にミミが頷く。
そしてそれは後ろの4人もだった。
「……マリーさん。あたしも聞いてないんですが? いや、なんかおかしいとは思ってましたけど」
「エリーは知らなかったのね。まあ、私はパメラさんの名前聞いてもしかしたらと思っていたけど」
「え? アイゼル知っていたの!?」
「昔、グラムナートでちょっとね。ただ向こうも覚えてないし、生体だからね。もしかしたら同姓同名の別人かもと思ったけど……案外、忘れているだけかしら」
「ぐはははは……ドッキリ大成功だねぇ」
「あー……わかってたし申し訳ないけど、バラすの止められてたからなぁ」
トトリはパメラの体の方を見ると――
「あ!? ぬいぐるみみたいになってる!?」
『すごいでしょ~アストリッドが作ったのよ~』
「アストリッドって……確か」
「うん。私の師匠」
トトリがロロナに振り向くと、ロロナが頷いた。
「元はね、ホムンクルスの生体実験の一つだったの。でもうまくいかなかったから、パメラにどうかなって」
『幽霊だと触ったり抱き着いたりできないからね~』
「参考にしたのがあたしで、なんでこんなぬいぐるみになったのかを何度も問いただしたんだけどね……」
ロロナの言葉に、マリーが頭を振る。
「まあ、不良品の再利用としては最適解だから、そのまま使ってもらってたのさ」
「そうか、だから先生もパメラさんもあっさりしてたんだ……」
「そ、そそそんなこと! 教えてくれていればあんなにびくびくしなかったのに!」
「ミミちゃん……実は怖かったんだね?」
「そうよ! 悪い!? 知り合いが自殺するって言うんだから!」
「まあ……気持ちはわかるよ。わたしもだし」
未だにトトリの後ろで震えるミミが、キャンキャンと吠える。
『てっきりマリーやロロナに教わっていると思ってたわ~』
「まあ……さっきのセリフで、マリーさんの質の悪いいたずらだとわかりましたけど」
「ぬはははは。ごめんて」
『それより扉は開いたの?』
「あ、そうだった」
トトリが扉を軽く押してみると、驚くほど簡単に開いた。
「あ。開きました!」
『お役に立てたみたいね~じゃあ、あたしの役目はおしまいかしら~?』
「そんな成仏するようなこと言わないでくださいよ……ありがとうございました」
『ふああ……眠いわぁ。マリー、ぬいぐるみはぁ?』
「ああ、もってきてるさね」
『じゃあ、私はそこで寝てるわ~体はお願いね~』
と、するっとマリーの持つクマのぬいぐるみに入っていった。
「え? ぬいぐるみ?」
「このクマのぬいぐるみはパメラのベッドなんだよ。いつもここで寝ているのさ」
「あ……だからいつも店のカウンターに置いてあったんですね」
「さて……しかし、どうしようかね、こっちのヒトガタは」
そこにぽつんと置かれていたのは、パメラが入っていた人型のぬいぐるみだった。
「……おいていくわけにもいかないんじゃないですか?」
「うーん。なんでかしらんけど、これ秘密バッグに入らないんだよねぇ」
「多分何らかの効果が干渉しているんだろうけど、どうやっても無理だったからね」
「となると誰かが持っていくしかないんだけど……」
「さすがにこれから戦うという時にこれを持ち歩くのはねぇ……」
マリーとロロナが相談していると、一つの手が上がった。
「あの。なら私がここで待ってますよ」
「アイゼル?」
「パメラとは面識もあるし、現状では私はエリーの劣化程度しかできませんから」
「そんなことはないけど……」
「それに」
そう言ってアイゼルは、トトリとミミを見た。
「あなたたちの敵なんでしょう? この中にいる奴は」
「「 ………………はい 」」
「なら、ぶっとばしてきなさいな。私はここで待ってます」
アイゼルはそう言ってパメラのぬいぐるみを抱いた。
「……そっか。じゃあ、中の悪魔は私たちで倒しますか」
「だねぇ……久々に腕がなるよ」
「倒すのはトトリちゃんだからね!? マリーちゃん、わかってる!?」
「わ、わかってるって。海竜みたいにはしないってば」
「ミミちゃん、行くよ!」
「ええ!」
どうやら決戦はすぐに始まるらしい。
アイゼルは不参加。
さすがに戦力過多なので……
なお、トトリのアトリエはストーリー終了後に閑話を入れる予定です。
トトリはストーリーに関わらないイベントが多すぎるので、閑話でまとめることにしました。大体8話ぐらいを予定していますが増える可能性はあります。