はじまりの錬金術士のアトリエ ~ 神様の贈り物 ~   作:遊佐

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オルトガラクセン――

 

機械の遺跡の内部である。

この中にあるものは現代の技術では及びもつかない、オーバーテクノロジーの産物であった。

その内部の調査に、冒険者たちはこぞって参加し、そして命を落としていた。

 

キシャァァァァ!

 

「やらせん!」

 

ロロナに向かってきたガーゴイルの攻撃を、ジオが盾がわりとなって受ける。

 

「このお! メテオール!」

 

ロロナがアイテムを使用して攻撃。

 

「いただき! 連射ぁ!」

 

その追撃としてマリーがパチンコを撃つ。

そして敵は全滅した。

 

「ふう……」

「大丈夫かね、ロロナ君」

「あ、はい。ありがとうございます、ジオさん」

 

ジオと共に、オルトガラクセンの下層を探索しているロロナとマリー。

ちなみにマリーは、戦利品をあさっていた。

 

「お、マーメイドの涙の高品質! いいものあったよ、ロロナ」

「あはは……ありがと、マリーちゃん」

 

どこまでも通常運転のマリーに苦笑する。

オルトガラクセンの第十三階層も、もう終わりだ。

 

「少し休憩するかね?」

「そうですね……回復しておきましょうか」

「そお? じゃあ、回復アイテム……お腹も減ったしご飯にしようか」

「そだね。お弁当あるから食べようか」

 

そういって、秘密バッグから敷物を出してお弁当を並べる。

 

「やりぃ! 今日のはキノコパイかぁ」

「シチューもあるよ」

「ふむ、美味しそうだ。いただこう」

 

マリーとジオがパイを食べだし、ロロナは人数分の香茶を入れる。

 

「あー美味し! それにしても……こういう機械の中で食べるのはちょっと、場違いというか身の置き場がないなぁ」

「あはは。私たちだとそうでもないんだけどね。アーランドは機械で発達した国だから」

「うむ。機械による発展の効果で、今のアーランドの繁栄があるからな」

「うん……けど、その代わりに自然の力は減少しているけどね」

 

マリーの言葉に、ジオとロロナは顔を見合わせる。

 

「ほう。マリー君はそう思うかね」

「うん。だってまず、この地に妖精さんがいないのがその証拠だし」

「妖精さん? モンスターでなく?」

「うん。妖精さん」

 

マリーの言う妖精さんの想像ができないロロナは、首をかしげる。

 

「妖精さんかあ……どんな存在なの?」

「妖精さんは自然の森に村を作って、自然由来の素材を売ってくれたり、アトリエの手伝いをしてくれたりするんだ」

「へえー……」

「この大陸に妖精さんがいないのは、多分機械文明のせいじゃないかと思うよ」

「そうなの!?」

「多分ね」

 

マリーが香茶を飲みながら頷く。

 

「黒い大樹の森にもいなかったし、森が変質していた感じがあったから、多分古代の機械文明のせいで生存圏が移ったんだろうね」

「ふむ……機械があるのも善し悪しということか」

「この大陸にエレメンタルやエルフがいなくて、代わりに悪魔が多いのも多分そんな理由かもね」

「なるほど……」

「まあ力のあるのは、どっかに1~2体ぐらいは眠ってそうだけど」

「マリーちゃんの所は多かったの?」

「うん。あたしの所はもっと……よく言えば風光明媚、悪く言えば田舎だったからね」

 

ザールブルグを思い出して、懐かしげに語るマリー。

 

「機械文明の恩恵のおかげで、この国は技術も発達している。それは鍛冶技術や学問の発展でもある。悪いことではないんだよ。形態が変化しただけだし」

「そっかぁ……」

「ただ、文明が急速に発達すると、そこに住むいろんなモノのバランスが崩れやすくなるんだ。人も、モンスターもね」

「人も……?」

「うん。意識や価値観が変わるからね。それのバランスが偏ると、大抵悪い影響が出る。この文明が滅んだのもそういう結果かもね」

「ふむ……なるほど。いや、マリー君、凄いな。まるで哲学士だ」

「錬金術は深く学べば、どうしても倫理観が変化するからね。良し悪しに関わらず。だからホムもいるんだし」

「え?」

 

ロロナはなんでここでホムちゃんたち? と首をかしげる。

 

「まあ、今は知らなくていいよ、ロロナ。もっと錬金術を学べば自ずとわかる。ただ、それを作る時に、安易な価値観で作るとしっぺ返しがあることを覚えていてね」

「あ……はい」

 

なんとなく師匠の講義を受けている気持で頷くロロナ。

 

「さて、おなかも膨れたし、そろそろ行く?」

「うむ、そうだな。英気は十分養った」

「あ、うん。じゃあ片付けるね」

 

そう言って各々準備をし始める。

マリーは準備をしながら独り言ちた。

 

「あたしの体も妖精さんのようなもんだしね」

 

 

 

   ―――― ★ 神さまの贈り物 ★ ――――

 

 

 

オルトガラクセン 第十四階層――

敵は金ぷにとうさぷにだが、そこで一つの発見があった。

 

「あ、参考書だ!」

「ふむ……ロロナ、軽く見せて」

「はい、どーぞ」

 

マリーが受け取り、パラパラとめくる。

そうして流し読みして、本を閉じた。

 

「やっぱりそうか……」

「どうしたの?」

「ううん。はい、これ。この本大事にしなよ。賢者の石のレシピが載ってるから」

「え!? ほんと!?」

 

ガバッと本をめくる。

 

「こらこら。どうせ読んでも解読に時間がかかるから、家で読みなさいな」

「あ、うん。でも、それを流し読みで見てわかるマリーちゃんは凄いね」

「まあ、あたしはレシピ知ってるしね」

 

そう言って苦笑するマリー。

ただ、その顔は少し曇っていた。

 

「……やっぱり、予想通りかあ」

「? なにが?」

「ここにその本があるってことは、ここが元は錬金術で作られた場所だってこと」

「え……ええ?」

「はー……ここは錬金術の一つの到達点。けど、そんなところでも滅んだってことかあ」

 

マリーは溜息を吐きつつ、周りを見る。

 

「あたしたちの学問って、何なんだろうねぇ」

「うう……よ、よくわかんないけど、なんか難しいことを言ってる気がする」

「………………」

 

マリーの言葉に、ロロナは本を抱えてたじろぎ。

その横でジオは、深い思案にふけっていた。

 




あくまで独自解釈です。公式ではないのでご注意を。
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