銃を持つ少女たちと死に損ないのブルーアーカイブ   作:蒼雲しろ

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どこ行くの?

 帰り際にも男同士でロマンについて語り合っていた。

 

「ロマンと言えば、まずはビジュアルだよね!」

「そうですね。俺もそこにはだいぶこだわったつもりなんですよ。特に機能を兼ね備えながら、見た目をスタイリッシュにするのには相当苦労があったそうですよ」

 

 彼女が言うにも、この銃の制作は興味深かったとのこと。

 そりゃ、大分要望を盛り込んでもらいましたからね。

 当初から、銃を扱うならこの様な戦い方がいいと思っていた俺が望むのも全てを入れて貰った。

 

 つまりは、理想的なことが多かったのだ。

 それでも嫌な顔せず、依頼を受けてくれた彼女に俺は感謝している。

 

 先頭でそのような話をしながらアビドスまで戻っていた。

 後ろにいた対策委員会は、二人の姿を見ていた。

 

「アヤネ、あの二人は何なのよ……」

「それは私に聞かれてもわからないよ……」

 

 一年生の二人は、いきなり意気投合し始めた二人を見つめては、何とも言えない表情で見つめている。

 

「結局、ホシノ先輩とカナメの関係は?」

「うへ~。まだ聞かれるの? 別に、ただの卒業生だって」

「あんまり気にしなくていいんですよシロコちゃん」

 

 二、三年生の三人に関しては、ホシノと俺のことについて色々と話をしていたようだ。

 ……どんだけ気になるんだよ。

 ノノミさんに関してはわかるが、シロコさんについてはホシノに関してしりたいのだろうか。

 いずれにせよ、ホシノが自分から俺との関係を話すとは思えないから、残念としか言いようがない。

 

 少しすると、先生がアヤネによばれたので、そちらに向かっていた。

 どうやら、補給品についての確認をしておきたいとのこと。

 ……彼女が対策委員会の中で一番まともなのではないだろうか。

 一年生の子がしっかりしてくれるのはありがたいことだけど、先輩たちがちゃんとやってるのか不安になる。

 

「アヤネちゃんがどうかしたんですか~?」

 

 横から声が聞こえてきた。

 驚いて少し体が跳ねたのを見たノノミさんは楽しそうに笑っていた。

 

「いや、しっかりしてるなー、と」

「自慢の後輩ですからね☆」

「見てればわかります。それで、どうせあの話でしょう?」

 

 先ほどの教室での話──俺とホシノが吐いた嘘について聞きに来たようだ。

 ──と、思っていたら、頬を膨らませ始めた。

 

「私とおしゃべりする気はあまりないようですね!」

「いや……え?」

「いいですよ。ホシノ先輩しか眼中になさそうなカナメさんがお望みの通り、あの話をしましょう」

「えっと……ごめん」

 

 怒っている雰囲気を感じ取り、謝罪をする。

 すると、ノノミさんは膨らんでいた頬を緩め、笑顔を見せる。

 

「嘘ですよ~! どうですか? 騙されました? 私、これでも演技には自信があるんです~」

「……完璧に騙されたよ。あと、心臓に悪いからやめてほしいかな」

「善処します☆」

 

 思ったより、いたずら心のある方だった。

 おっとりした見た目なのにギャップが凄い。

 

「それで、先ほどの話についてですが」

 

 結局はその話に戻るのかと心の内で突っ込みを入れる。

 先ほどよりも引き締まった表情に、そんなことを言える雰囲気ではなくなってしまったがために、心の内で言った。

 

「……悪いけど、俺から話せることはなくてさ」

「そう言うと思ってましたので、心配しないでください」

 

 笑顔を向けられる。

 見透かされていた、というか、訳ありなのは知っていたのだろう。

 

「なので、今じゃなくていいです。いつか……」

「ああ。……早いうちに話したい気持ちはあるけどね」

「何を?」

 

 二人して左を向く。

 少し後ろからやってきたのはシロコさんさん。

 ……話を聞かれただろうか。

 

「──俺がいた頃のアビドスについて聞かれてたんですよ。特に、一、二年生の時をね」

「ん、私も気になる」

「それで聞いたところ、みんながいるところで話したほうがいいだろうって言われたんです」

「なるほど、後で?」

「落ち着いたらかな。俺が毎日学校に行くわけでもないからさ」

「毎日くればいいだけ」

「強引だなぁ……」

 

 シロコさんもシロコさんで、キャラが立っている。

 クールな雰囲気なのに、やけに先頭に前向きだったり押せ押せだったり。

 ……見た目ってあてにならないな。

 

 学校近くの十字路に差し掛かった。

 

「今日はここで。俺この後行かなきゃいけないところがあって」

「うん。それじゃあ、また」

「ええ。もし学校で会えたら」

 

 先生に別れを告げて、対策委員会の皆にも声をかける。

 シロコさんとノノミさん、ホシノからは「またね」と言われたが、これは明日も来いという意味だろうか……?

 

 

 ────────

 

 

「あ、セリカ! おはよう!」

「げっ! 先生……」

 

 昨晩、対策委員会の皆から学校の一室を使っていいと言われ、そこで過ごすこととなった私。

 散歩がてら、学校周りの住宅街を歩いていたところでセリカと出会った。

 

「……あんまり馴れ馴れしくしないでくれる? 私、まだ先生もあの男の人も認めてないから」

「まったく、大人は自由でいいわね」

「朝から優雅に散歩なんて、良いご身分じゃない」

「まったく、だらしない大人ね」

 

 ツンとした態度をとり続ける彼女に、笑顔を返し続けた。

 言われ放題である。

 流石に一日、ましてや数日で信頼をしてもらえるとは思っていないので、そんな対応をされても心が抉られるくらいで済む。

 

 セリカを見やれば、制服を身に纏っていた。

 肩に担いでいるバッグも学校指定の物なので、これから学校に行くところなのだろうか。

 

「これから学校? それなら一緒に行かない?」

「はぁ? なんであんたと……」

「折角なら、親睦を深めようと思って」

「私はあんたと仲良くなるつもりはない!」

 

 断られてしまった。

 私、どれだけ嫌われてるんだ?

 

 何とか顔が引きつらないように我慢していると、セリカは歩きだし、横を通り過ぎていく。

 

「ちょ、ちょっと?! どこ行くのさ!」

「今日は自由登校日だからいいの。私急いでるから。それじゃ、バイバイ」

 

 砂埃を立てながら走り去っていくセリカ。

 当然逃がすわけもなく。

 一定距離を保ってついてく。

 

「……なんでついてくるの?!」

「いや、どこいくのかな~って」

「っ! ストーカーじゃない! 何言ってんの! あっち行って!」

 

 持っていたバッグを振り回して追い払おうとしてくるが、何とか避ける。

 

「っく! どっかいけ!」

「それなら、どこ行くか教えてよ」

「……はぁ。わかった。わかったってば! どこ行くか教えればいいんでしょ?!」

 

 漸く折れてくれたセリカに、心の中でガッツポーズをした。

 よし、良い感じに距離を詰めることができてる!

 

「……バイト」

「バイト?」

「そう! こっちはあんたみたいに余裕はないの!」

「急いでるから。ついてこないで!」

 

 またもや去っていったセリカ。

 

 これではまだ、距離を詰め切れていない。

 でも、話してもらえるまでにはたどり着いた。

 つまりこれを続ければいつかは心を開いてくれるはずだ!

 

 そんな思いで、その後もセリカの跡を追っていった。

 その度に。

 

「……しつこい」

「しつこい! あっち行って!」

「こんの……! 撃つわよ?!」

「ダメ大人! あっちいけ!」

「ストーカー! ぶっ殺すわよ!」

 

 レパートリーの少ない、可愛らしい暴言を聞きながら走り続けること十数分。

 

 ついに見失ってしまった。

 ……バイト先が分からないまま終わってしまっては、セリカとの関係値を高めることはできない。

 どうに良い方法はないかな……。

 

 

 ────────

 

 

「というわけで、セリカがどこに行ったか知りたいんだけど」

「先生、あんたバカだよ」

 

 思ったことを素直に告げた。

 口から勝手に出てくる言葉を止めるつもりは……なかった。

 

「ええ?! ひどいよカナメくん。昨日はあんなに語り合った仲なのに……!」

「だからこそ言ってる。バカだよ」

 

 先生がガックシと肩を落とす。

 ふざけてやっているならまだ何も言うことはなかったが、この様子だと本気で自分の行動がおかしいと思っていないようだった。

 それが一番やばいことに早く気が付いてほしい。

 

「なんでそんな──」

「うん、これに関してはカナメくんに賛成かな~」

「ホシノまで?」

「私も」

「流石にこれはですね」

「……私もですね」

「みんな?!」

 

 そろそろ泣き出すんじゃないかと言った具合に落ち込みを見せている先生に、この場にいる誰もが苦笑いを止められない。

 先生、ずれているのは貴方だけですよ。

 

「いい大人が女子高生追いかけてたってなったら、それは通報されてもおかしくないでしょ」

「うぐ……」

「それに、ついてくるなって言われてるのについていくあたりも良くないですよね……」

「ぬぐぐ……」

「二十歳超えて女子高生追い回すのはまずいって」

「……」

 

 動かなくなった。

 二か所くらいからため息が聞こえてきた。

 そりゃ、ため息もつきたくなるって。

 随分とこれも個性的な人だと思った。

 

「仲良くなりたかっただけなのに……」

「セリカちゃんの対応もあまり良いものとは言えないようですし……」

「まあ、そんなにセリカちゃんのバイト先を知りたいなら一緒に行く?」

「ほんと?」

 

 まさかのお誘いに、落としていた肩を急激に持ち上げる。

 ……立ち直りがはやいなー。

 

 

 ────────

 

 

 学校から歩いて数十分のラーメン屋、俺の行きつけこと「紫関ラーメン」にやってきた。

 ……ここでバイトをしていたとは。

 

 ノノミさんが先陣を切って扉を開ける。

 

「いらっしいませ! 何名さ──」

「六人で~す☆」

「セリカちゃん……お疲れ」

「お疲れ」

「うへ~。やっぱりここだと思ったよ~」

「み、みんな……どうしてここに?!」

 

 真っ赤に染まった表情。

 どうやら、バイト先に来てほしくなかった理由には恥ずかしさもあったらしい。

 対策委員会が挨拶をした後、後ろにいた先生が挨拶をした。

 

「やぁセリカ」

「それに先生と……」

「お疲れ様」

「……ありがと」

 

 こちらを睨んできたかと思えば、素直にお礼を告げた。

 ……俺への当たりは先生より控えめなようだった。

 

「それより、どうしてここに! まさか先生──!」

「先生は悪くないよ。セリカちゃんのバイト先と言えばここかなーって思ったからさ」

「う……ホシノ先輩……!」

「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそのくらいにして──」

 

 厨房から顔を覗かせているのは、この店の大将、柴さん。

 柴さんの動きが止まった。

 こちらを見ているので、挨拶しておく。

 

「柴さん。昨日ぶりです」

「おお、カナメくん! 今気が付いたよ! まさかアビドスのみんなと一緒にいるとは思わなくてな」

「昨日初めて会ったんですよ」

「おお、そうだったのか! それじゃあ──ほら、セリカちゃん! 注文受けてくれな!」

「あう……はい、大将」

 

 柴さんの言葉に、少し耳が垂れ下がった。

 それと同時に、柴さんから、「セリカちゃんに注文してくれ」と言われた。

 

「それでは広い席にご案内します……こちらへどうぞ」

「お願いね~」

 

 込み合っていない店内のテーブル席に着く。

 片側に手前から、俺、ホシノ、シロコさんの順。

 もう一方に、アヤネさん、ノノミさん、先生の順だ。

 広い席解いてった割には先生も少し細くなっていた。

 

 こんな状態であれば、注文を取りに来たセリカさんに勿論指摘される。

 

「もっと席を広く使いなさいよ! みんな詰めすぎ!」

「大丈夫だよ~。これくらいが丁度いいんだって」

「そうですよ。ね、先生?」

「うん。私は問題ないよ」

 

 その言葉を聞くや否やうなだれるセリカさん。

 セリカさんにはあの先生の相手は大変そうだった。

 意図せずセリカさんの対応を受け流してしまっているために、言葉が伝わらない。

 ある意味でのセリカさん特攻だった。

 

「それにしてもセリカちゃん。バイトのユニフォーム、とってもカワイイです☆」

「セリカちゃんって、ユニフォームでバイト決めちゃう系かぁ~」

「ち、ち、ち、違う! 関係ないし!」

 

 耳をピンと突き立て、大声で否定している。

 この子、わかりやすすぎる。

 

「慌てるから怪しく見えるのでは?」

「あんたは黙ってて!」

「すみませんでした」

 

 一言いれたら怒られた。

 先生、俺ら結構な理不尽を受けてはいないかい?

 

 先生の方を向けばこちらに同情の目を向けてきていた。

 なんでその目ができるのだろうか。

 多分、彼にとってはセリカから粗悪な対応をされていると思っていないのだろう。

 馬鹿なのか、優しい人なのか。

 ……今のところは馬鹿寄り。

 挽回のの余地はありますから、頑張ってください。

 

「カナメさん。ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っておけば一儲けできそうじゃない?」

 

 先生とのアイコンタクト(失敗)を行っていると、隣からえげつない言葉が聞こえてくる。

 

 後輩を金儲けに使おうとしていることについて、俺から賛同を得られると思うのか?

 勿論俺はこう答えた。

 

「まじでありだと思う。というわけで先生、どう? 一枚買わない?」

「カナメさん……」

 

 アヤネさん、そんな引いた目で見ないでください。

 あなたの先輩が言い出したノリに付き合っただけですから。

 

 そんなこんなでメニューを見ながらオーダーを決めていると。

 静かだったシロコさんがセリカさんの方を向いて質問した。

 

「バイトはいつから始めたの?」

「……一週間くらい前から」

「セリカちゃんが時々姿を消していたのは、バイトだったからなんだね」

「うん……じゃなくて! ご注文は!? 決まったんでしょうね!」

 

 叫ぶように注文を聞いてくるセリカさんに、悪い顔をする生徒が二人いる。

 この子たちは本当にノリがいいな……。

 

「『ご注文はお決まりですか』でしょー? セリカちゃん、お客様には笑顔で接客しないと~」

「そうですよ☆カワイイユニフォームでちゃんと接客しないと!」

「ぐぬぬ……ご注文は、お決まりですか……」

 

 どうやら、ホシノの後輩教育は大成功らしい。

 意思を引き続いでくれる後輩がいてよかったね。

 

「私はチャーシュー麵でお願いします!」

「私は塩」

「えっと……私は味噌で」

「じゃあ、私は紫関ラーメンにしようかな」

「おお~先生、お目が高いね~」

 

 そう言ったホシノは

 

「特製味噌ラーメン炙りチャーシュートッピング付きを二つ!」

「二つって、ホシノ先輩が食べるの?」

「いくらおじさんでも二つはお腹一杯になっちゃうよ。もう一つはカナメさんの分だよ」

 

 それに納得したのか、セリカさんは厨房の方へと歩いていった。

 見届けた俺たちは、品が届くまでの時間をつぶすことになるわけだが……。

 アヤネさんが何かいいたそうにしていたので、聞いてみると。

 

「お二人そろって同じメニューにトッピングとは……」

「まあ、よくここには来るから」

「そういえば、さっき大将に昨日ぶりって言ってた」

「カナメさんと私は大体ここに来てたからね~」

 

 といった感じで話題が広がっていく。

 

 大人数での行動も食事も、俺にとっては久しぶりだが……これはまた楽しい。

 賑やかな雰囲気が新鮮だった。

 

「二人のお勧めはそのセットなんだね」

「そうですね。初めのうちはいろいろ食べてたんですけど、ここ数年はこのメニュー固定ですよ。店に入ったと同時にメニュー聞かれるくらい常連ですから」

 

 始めのうちは紫関ラーメンから始まり、塩、味噌と回っていったわけだが。

 結局はこのラーメンとトッピングが丁度いい量で値段もリーズナブルだったのだ。

 これが、俺の辿り着いた紫関ラーメンの解。

 

「そうだったんですね……私たちもここにはよく来るのですが、会ったことなかったですよね?」

 

 アヤネさんの質問が飛んでくる。

 確かに、これだけ食べに来たりしていても誰とも会ったことがないのは不思議だろう。

 勿論これには理由があるが単純なものだ。

 

「朝か夜しか食べに来ないからね。開店と同時か、閉店近くの二択」

「迷惑客ムーブだよね~」

「それはそうなんだけどさ……」

「それに朝からラーメンとか体に悪くないのかな」

「柴さんのだから大丈夫でしょ」

「いえ……もっと塩分とか油とかの話だと思うのですが……」

 

 ツッコミ適正があるアヤネさん。

 

 対策委員会の子たちのアビドスでの生活を話を聞きながら、待つこと数分。

 

「お待たせしました。こちらがチャーシュー麵、これは塩──」

 

 ラーメンが到着した。

 そういえばだが、この店のテーブル席でラーメンを食べるのは初めてかもしれない。

 大体カウンターで一人かホシノと食べていた。

 

「今、テーブル席で食べるの初めてだな~って思ってた?」

「正解だけど……なんで」

「──ほんとに当たるとは思ってなかった」

 

 ホシノ自身も驚いて目を丸くしていた。

 目を合わせながら、どうしようかと苦笑いをし合った。

 

「──見つめ合ってないで早く食べるべき」

「そうですよー☆麵が伸びちゃいますよ!」

 

 そんなヤジが飛んできて。

 ホシノから目を逸らして前を向けば、少し顔を赤くして笑っているアヤネさん。

 

 ……対策委員会の前では、ホシノとの距離間に気を付けたほうがいいのかもしれない。

 今まで気にしていなかった分の弊害が出ているらしい。

 

 ひとまず忘れて、麵をすする。

 美味い。

 

 慣れ親しんだ味に舌鼓を打ち続けて。

 全員で夢中になって食べていた。

 

 食べ終わって小休憩をはさんで、いざ帰ろうとなった時。

 

「会計はどうするの……? まさか、またノノミ先輩に払ってもらうの?」

 

 皿を回収しに来たセリカがお金について聞く。

 話に出されたノノミさんはこれといった抵抗もなく支払いの準備をしようとしている。

 

「私は全然いいですよ?」

「流石に子供に払わせるのは気分が良くないから、俺が払うよ。それか──」

「え? 私?」

「仮にも大人でしょ。お金くらい持ってますよね?」

 

 ここは高校生に払わせるべきではないだろうと思い、そう声をかけてみるが。

 少しずつ後ずさっていく先生。

 おい……まさかお金を持っていないとかないよね?

 表情で訪ねてみれば、更に青くなっていく先生。

 

「じゃあ、俺が払うんで」

「ほんと! カナメくんありがとうございます!」

「なんで先生が一番喜んでるのかな……」

「あはは……」

「先生……」

 

 アヤネさんとノノミさんとホシノの三人が先生を呆れた目で見つめている。

 かくいう俺も、先生のプライドがないとしか思えない言動に少し引いた。

 




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