翌日、チーム・アルナイルでの初練習、まずは新入生の実力を見るための模擬レースが行われた、芝1200メートルでのレースにミラージュラインを含めた4人の新入生が挑む。
ゲートは使われず、1列に並んでチームの先輩ウマ娘の合図によって4人がスタートする。見ていたチーム・アルナイルのトレーナー達、先輩ウマ娘、周囲の他のチームのトレーナーやウマ娘達からも感嘆の声が上がった。
1人図抜けて速いウマ娘がいた。
ミラージュラインだ。
ミラージュラインは他の3人を置き去りにしてダントツのトップでゴールする。北条や他のトレーナー達に囲まれて、称賛される。
そんな様子を2着でゴールしたウマ娘が見つめていた。
ネリーヴェイルという名のウマ娘はミラージュラインの走りに驚嘆していた。自分も地元では速いと言われていたのに、ミラージュラインには全くかなわなかった。
自信があったのに中央トレセン学園ってすごい人がいるんだ、とネリーヴェイルは全く息を乱さずにトレーナー達と会話しているミラージュラインを見て思った。
そんなミラージュラインはチーフトレーナーの北条が担当になった。期待の大きさがよく分かる。
北条は上機嫌でミラージュラインに言った。
「お前ならクラシック3冠か、トリプルティアラのどちらかが獲れる可能性が高い、距離適性を見ながらどちらの路線を目指すか決めていくぞ」
「はい!よろしくお願いします!」
元気よく答えるミラージュライン、チーフトレーナーのお墨付きに誇らしくなる、横目に見えるネリーヴェイル達新入生の羨望の眼差しに優越感を感じた。
他の新入生たちも担当が決まっていく、ネリーヴェイルの担当は女性トレーナーだった。
「私は
柔らかな笑顔で差し出された右手をネリーヴェイルは握り返し、挨拶をした。
「ミラージュラインが気になる?」
「え?」
「何か、ずっと彼女の方を見てるから」
指摘されてなんて答えて良いのか分からず、黙り込むネリーヴェイル。
「気になっちゃうわよね、同級生にあんなに速い娘がいたら」
「すいません…………」
申し訳なさそうに謝るネリーヴェイルに三嶋は首を振って答える。
「謝ることなんてない、気にするのは当然の事よ、だからまずはミラージュラインに負けないように私と頑張っていきましょう」
ネリーヴェイルは三嶋の言葉に頷く、そうだまだ入学したばかり、焦る必要なんてない。今敵わないなら力をつければ良い。
この優しそうなトレーナーとなら頑張れそうだ、とネリーヴェイルは思った。
北条は練習コースを走るミラージュラインを見てさすがの実力だと思った。彼女はジュニアのクラブチーム時代から天才と呼ばれていたが実際に見てその評判に偽りはなかった。冗談抜きで来年のクラシック3冠かトリプルティアラのどちらかが獲れるかもしれない。
それに、と北条は三嶋の指導で走るネリーヴェイルを見る。
ネリーヴェイルもかなりの実力者だ、ミラージュラインがいなければ自分が担当して指導しても良いと思えるほどだ。
この二人が将来チーム・アルナイルの2枚看板になっていくかもしれない、と北条は考えていた。