天獄の救世主様っ!   作:弥代海月

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19話

ベルゼブブに体を揺すられ、目を開けたラファエルはハッと飛び起きる。

辺りを見回すと、地面に横たわる皆を起こして回るアスタロトやミカエルが目に入った。

全員が起きた段階で何となく集まり、作戦会議を始める。

「どのくらい寝てた……?」

ラファエルの問いかけにスマホを確認した駿河が口を開いた。

「俺達がミカエルに呼ばれてから一時間弱って感じかな……」

スマホをポケットにしまいながら付け足す。

「移動と戦闘でどのぐらい使ったか分かんないけど」

ミカエルが腕を組んで俯く。

「思ってたよりはルシフェルが化け物だったな……」

間髪入れずにベルフェゴールがミカエルを見つめながら呟く。

「ミカエルのスキル使えねぇのは痛ぇっすね……」

重苦しい雰囲気の中黙り込んでしまった皆をきょろきょろと見回して碧空が手を挙げる。

「今言うことじゃないかもしれないんだけど、猫さんが金髪の男に見える」

それを聞いて皆が碧空の隣にいるアスモデウスを見つめた。

魔力が尽きかけた事により、本来の姿が見えるようになっていた。

「ほんとだ!カラスじゃない!」

姫莉が驚愕の声を上げると、アスモデウスの隣から呆れたようなウリエルが顔を覗かせる。

「今じゃないでしょ碧空も姫莉も」

「ごめん、気になっちゃって……」

碧空が謝ると、その様子を見ていたアスモデウスがおずおずと手を挙げた。

「今なら発言しても全員に聞こえますかね……アズラエル、スキル使えませんか?」

名前を呼ばれたアズラエルは自分の顔を指差して小首を傾げていたが、すぐに理解したようで口を開いた。

「『切り離し』の方?」

「ええ」

相槌を打ったアスモデウスを見て唸りながら考え込む。

「近付きさえ出来れば……って感じかしら……」

それを聞いてラミエルが口を開く。

「じゃあ近付けるように全員でサポート出来れば……」

半ば遮るような形で横からマモンが声を上げた。

「無理だろ。さっきの惨敗っぷり忘れたのかよ」

「まぁあのルシフェルっすもんね……」

ガブリエルの言葉にうんうんと頷く天使と悪魔を見ながら駿河が問いかける。

「ルシフェルってそんなにヤバいの?」

天使と悪魔は全員駿河へと視線を向けた。

「ヤバいなんてもんじゃないよ」

ウリエルが言ったのに続いてガブリエルも口を開いた。

「先代の天界王様を殺した奴っすよ」

それを聞いた姫莉は首を傾げて眉を顰める。

「殺して天界王になるとかはしなかったの?」

確かに……と首を捻る天使達を見てガブリエルがミカエルに話を振る。

「その辺は多分ミカエルのが詳しいっすよ」

腕を組んで難しい顔をしたミカエルは口を閉ざしたまま沈黙だけが過ぎる。

「ミカエル?」

マモンが名前を呼び、目の前で手を振ってみるも反応を示さないミカエルを見て、ラファエルが他の話題に移る。

「そういえばルシフェルとルシファーって何か繋がりがあるのかな」

「名前は似てるよね」

璃玖の言葉を聞いてアスタロトが考え込む。

「名前が似てるなんてのは天界と魔界では良くある事だし、あんまり気にしてなかったけど……」

天使と悪魔にとって名前はさほど重要ではなく、魔力の色や質などで個体を見分けているようだった。

「ミカエルは何か知ってるのか?」

璃玖がまたミカエルに話を振り、何も答えないのではと思われていたミカエルが、ゆっくりと口を開く。

「……僕が知ってるのは……」

一度小さく溜息をついたミカエルが観念したように目を瞑る。

「いいよ、全部話す」

そこで皆が聞かされたのは天界王を暗殺した天使長をこの世の何処かへと封印した英雄譚の裏側だった。

ミカエルが見たのは天界王と悪魔数人を葬った後の天使長だった。

天使長は自ら罰を望み、それに応える形でミカエルが魔界の底の辺境へと封印した。

「……確かに魔界に幽閉したからその後の事は知らないけど、ルシファーに転身しててもおかしくないし、僕は元々そのつもりで接してた」

難しい顔をしていたラファエルが口を開く。

「あとは魔界で何があったのか……かな」

ラファエルに視線を向けられたアスタロトが小さく手を挙げる。

「それなら俺が……と言いたいところだけど、俺が知ってるのは魔界王様の側近として急にルシファーが現れた、くらいだから」

それを聞いてベルゼブブがアスタロトを指差す。

「そうそう、いつの間にか魔界王の隣にいた!」

「力になれなくてごめんね」と眉を下げて笑って呟いたアスタロトに、レヴィアタンも腕を組んで考え込む。

「過去にヒントは無さそうか?」

「突破の糸口がなんもねぇな……」

マモンの言葉にまた全員が考え込んでしまう。

俯いたままのラファエルが心配そうに口を開いた。

「でも急がないとご主人……何されるか分かんない……」

考えても埒が明かないとその日は解散になったが、ラファエルは一人、響の居場所を探し続けていた。

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