【連載版】TS異世界リフォーム工務店 〜勇者がぶっ壊した魔族屋敷、格安再生して高く売れ!〜   作:劇団おこめ座

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一章 9話 おまけ 聖女サンside

 旅の溜まった疲労感を癒すため、と王家から寄贈された屋敷は本当に有り難かった。

 その屋敷は、リファがリフォームした、あの魔族幹部の屋敷だった。

 

 真っ黒で陰鬱でアナボコだらけの外壁は、真っ白で綺麗な外壁に変わっていた。

 

「これが、あの魔族野郎の屋敷か……なかなかいい感じにリフォームされているじゃねえか」

 

 ズンズンと勇者エンデルクが歩みを進め、玄関ドアの鍵を当然のように開ける。

 

 外観も大事だけど、庭も凄いのに。

 手入れのされていなかった草ぼうぼうで、大きな樹木もなくなり、ほのかで暖かい光と聖なる力を感じる地面が出来上がっている。

 魔物の積み上がるような死体があったのに、それも全て綺麗に片付いている。

 まあ、勇者やその仲間たちがたくさん殺しまくって作った死体なのだけど。

 

「さすが、デザイナーがニーナ・ロベリスタ! 入った途端、回復する魔法陣とかマジでわかってる」

 

 ほのかに光る魔法陣に踏み入れた仲間たちが口々に感嘆を漏らす。

 

 その魔法陣のことは、私は、すでに知っていた。

 

 元勇者パーティの土魔法使い、エルフ族のリファ。

 彼女の『今のパーティ』から依頼を受けて、私はここを訪れたのだから。

 

 シスタールナとして。

 

 あの魔法陣が誰の手によるものか。

 あのタイルが、どんな魔法で形作られたのか。

 

 全部、知っている。

 

 だからこそ……

 

 仲間たちがはしゃぐこの光景は卑しく見えるけれど、でもリファへの評価については少しだけ誇らしかった。

 

 だって、あれは。

 

 私の友達(リファ)が作ったものだから。

 

 

 

 リファは口が悪い。その上、だらしないし、ケチだ。

 でも、みんなのことをいつも気にしていたし、口調や態度を改めなきゃいけない時は、それなりにちゃんとしていた。

 

 無駄な出費は削るのに、本当に必要なものには迷わず金を使う。

 その線引きを、あの子は一度も間違えなかった。

 

 あんな口調だけど、顔を赤くして恥ずかしがるところはとっても可愛いのだ。

 

 

 

 そんなリファがいなくなった途端、私たちの旅はどんどん遅延していくこととなった。

 最初は、エンデルクの言うことはもっともだ、という意見がパーティ内で大半を占めていた。同時に誰かがお金の使い道の節制の監督をしないといけないということは感じていた。

 リファの居なくなった後、ホテルや宿で泊まることが増えた。これはみんな賛成だった。私もたまにはしっかり柔らかい布団で休みたいという気持ちはあるが、本来これは良くない。

 

 旅の疲れを癒すつもりで入った宿で、毒を盛られる、壁を破壊してまでの敵襲。それが頻繁に起こる。

 もちろん、余裕で撃退する力はあるけれど、心休まる時間が減る。

 勇者パーティが前線近くのホテルや宿屋に入るなんて目立つに決まっている。前線ならただでさえ、魔族と懇意にしている貴族も多く、ホテルや宿屋に入った途端、魔族の差し金による夜襲を受けるリスクがある。

 リファの土魔法のコテージで毎日寝泊まりは嫌だと言っていた仲間たちは、いつも不機嫌そうにしていたが文句は言わなかった。文句を言えばエンデルクに何をされるかわからないからだ。

 私はそもそも文句を言う勇気すらなかったし、私とエンデルクがやり合えばパーティ崩壊になりかねない。

 

 結局、宿で泊まるから使える資金も徐々に減り、襲撃による心労まで増えた。

 そして、野外で使う調味料の種類が減り、味もなんとなく違う、という物足りなさを感じるようになった。

 そもそも、香辛料の使い方もリファが教えてくれた。これはケチると美味しくないとか、そこらにある雑草にしか見えない野草の中からリファはハーブを見つけて料理に付け足していた。

 今はメンバーでは野草を摘むなんてできないなあ。毒草と間違えたら困るから。

 

 魔力を回復するポーションの質も落ち、魔王城への侵攻が遅くなった。

 なにより、リファの作った即席コテージ、そうは言ってもドラゴンブレスすら身を守れるあれで一晩寝れる安心感がなくなり、疲労感が増した。

 

 リファを追放する必要はなかった。少しケチ度を下げればそれでみんな解決だったと思う。

 

 少なくとも私はそう思う。

 

 ……そして、何より。

 

 私は、少しだけ思い出して口角が上がってしまう。

 

 あの、男勝りな言動をするくせに、ゲスい話を振ると顔を真っ赤にして言葉に詰まる、あの子の顔を思い出して。

 

 ……あれは、ずるい。

 

 思い出すだけで、ご飯3杯はいけるのに。

 非常に残念なのだ。

 非常にもったいない。

 

 また、リファのところのニーナさんから、アルバイトの連絡来ないかな。

 

 今度は、もう少し……ゆっくり話ができるといい。




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