底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:ロボワン

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第11話:根黒に魅入った少女の末路?(☆)

「――ッ!! 何て速さッ!?」

《尋常じゃないッ! それに、あの動きは一体――ッ!?》

 

 私と麻衣で奴の機体を追う――速い。

 

 量産型の加速力じゃない。

 爆発的な推進力。

 その上、奴は迫りくる障害物を紙一重で避けていた。

 

 音速であり、広大な都市の全貌を把握できているとは思えない。

 が、奴は全くスピードを緩めないまま。

 壁を滑り、穴に飛び込み抜けて。

 トップスピードのまま機体を手足のように操っていた。

 

 所詮はゲーム。

 死ぬことは無い――違う。

 

 死ぬことは無くとも、誰であろうとも恐怖は感じる。

 リアルであればあるほどに、本能的な恐怖は拭いきれない。

 プロとしてスクールで技術を磨いた私たちでさえも。

 死を恐れる気持ちだけは完全に拭えなかった。

 だからこそ、アイツの操縦は――異常だ。

 

《あぁいいですよぉ。ただ、もうちょっと無茶をするくらいでも》

「うるせぇぇんだよッ!! この!!」

 

 奴はべらべらと話しかけて来る。

 先生のつもりであり、戦いながらアドバイスをし――ムカつく。

 

 負ければ私たちのパシリだ。

 それを分かっていながら、あの装備と油断。

 相対した時からへらへらとして気に食わなかったが。

 此処まで私たちを怒らせる事が出来たのはこいつが初めてだろう。

 

 私たちはレバーを押し、更に加速する。

 奴を追い掛けながら障害物を回避。

 そのままターゲットサイトを奴へと合わせて――放つ。

 

 肩部から放たれたホーミングミサイル。

 無数の小型ミサイルが奴へと飛び――奴が加速。

 

 黒煙を突き抜けて空を舞い。

 迫りくるミサイルを機体を回転させながら回避。

 まるで、曲芸の域で、鮮やかな加速と減速によってホーミングを欺き。

 そのまま無傷の状態で全てのミサイルを避けて――こちらは連続ブースト。

 

 爆発的な加速により、奴との距離を縮めた。

 奴は此方を見ていない。

 黒煙の中に紛れて迫り。

 そのまま狙撃銃の銃口を奴へと向けて――三連続で弾丸を放つ。

 

 真っすぐに弾丸は奴へと進み――“弾かれた”。

 

「はぁ!?」

《嘘!?》

 

 飛来する弾丸を――パリィした!?

 

 あり得ない。

 スクールであんな技術は習わなかった。

 音速で飛ぶ弾丸を近接武器でパリィするなんて都市伝説レベルだ。

 が、奴は全ての弾丸をブレードの一振りで弾いた。

 奴の武器には罅一つ無く、奴は何事も無かったように飛んでいく。

 そんな奴を麻衣は追いかけて、溜めに溜めたエネルギーをバズで放つ。

 

 雷鳴が如き轟音。

 それを響かせながら、麻衣のエネルギー弾が空中を鮮やかに彩る。

 広範囲の爆撃であり、迫ってからでは避け切れない。

 周囲一帯に高密度のエネルギーが広がる。

 奴はそれに――巻き込まれていない。

 

 ギリギリだ。

 エネルギーの表面を撫でるように飛行。

 アレの範囲を完璧に熟知していた。

 まるで、何十年も見て来たよう鋭い観察眼。

 

 奴はそのままブーストし麻衣へと迫る。

 麻衣は咄嗟にシールドを構える。

 私はすぐに奴へと銃口を向けて――悪寒が走る。

 

 弾丸を放つ。

 瞬間、奴は――下へと急降下。

 

 私は距離を離そうとし――右半身に衝撃を感じた。

 

「うぁ!? な!?」

 

 システムがダメージを報告。

 確認すれば、左半身に亀裂が走っている。

 大破していないがパフォーマンスが僅かに下がる。

 何が起きたと思いながら、その場から離れて――理解した。

 

「アレは――ワイヤー!?」

《正解! これ便利だよぉ?》

 

 奴はブレードの柄にワイヤーを繋げていた。

 それも伸縮自在のワイヤーであり。

 奴は麻衣へと攻撃するように見せかけて遠心力を生み出し。

 手から離したアレで離れた私に攻撃を――曲芸師かよ!!

 

 私は舌を鳴らす。

 奴は不気味に笑いながら、ワイヤーでブレードを操りながら私を追って来る。

 私はブーストしながら都市内部へと降りて、道路を滑走しながら距離を取ろうとする。

 が、奴は私のタイミングに合わせてブースト。

 距離を縮めながら、奴が攻撃をしようとし――瓦礫の山から何かが飛び出す。

 

《おぉ!》

《お待たせ》

「おせぇよ!!」

 

 ミーニャのカマキリ機体。

 それがパルス兵器を展開し――奴の機体を襲う。

 

 タイミングはばっちりだ。

 奇襲は成功――じゃない。

 

 奴は驚異的な反応速度でパルスから逃れた。

 そうして、距離を離そうとし――無駄だ!

 

 ミーニャは奴を追う。

 その速度は奴の技量が合わさった特別な機体でも振り切れない。

 当然さ。ミーニャのスピードは私たちの中で一番だ。

 そう簡単には振り切れず、じわじわと不可視のパルスで機体を破壊される。

 嫌らしい攻撃であり、味方で良かったと思って――奴が笑った。

 

《パルス兵器かぁ――よし!》

「よ、し……?」

 

 奴は確かによしと言った。

 何がと思えば一瞬奴の機体がブレて――“消えた”。

 

《……!》

 

 ミーニャが慌てる。

 私たちもそうだ。

 すぐにレーダーを使って地上から奴の機体を索敵し――発見した。

 

「――上だ!!」

《え?》

 

 ミーニャが上を向けば――豆粒ほどのシルエットの奴の機体が。

 

 どんな芸当だ。

 先ほどまで目と鼻の先だった奴が。

 ほんの一瞬であんな上まで上昇した。

 あり得ない現象であり、ミーニャは戸惑いながらも奴へと向かい――また奴の姿が消えた。

 

《嘘!?》

《何あれ!? あんなの知らないよ!?》

「アイツは――ミーニャ避けろ!!」

《え――――…………》

 

 私が避けろと叫んだ同時に――ミーニャの機体が両断された。

 

 バチバチとスパークし――爆発。

 

 私と麻衣はミーニャの名を叫ぶ。

 が、生体反応はロストで――奴がブレードで肩を叩く。

 

《さっきの技は“ゴーストジャンプ”といってですね。スラスターのエネルギーを無理矢理溜めておいて、一気に出す事で得られる爆発的な加速なんですよ! 肝心なのは夜であったり、視界が悪い状況下で使う事で。まるで、消えたかのように見える事で――》

《隙ありー!!》

 

 奴がべらべらと喋っている瞬間――大爆発。

 

 見れば、遠く離れた場所から黒煙とは違う煙が上がっていた。

 恐らくは、ニモによるハイパーバズの砲撃で。

 私たちは激しい爆炎を上げる奴がいた場所を見て――

 

「やった、の?」

《――あ、それフラグっていうんですよぉ》

「……!?」

 

 奴の声が響き――ニモの悲鳴が響く。

 

《いやぁぁぁぁ!!? 何で何で何で!!? 死んだんじゃ!?》

《死んでないですよぉ。あ、撃たない方がいいですよ? そんな広範囲に影響あるものをばかすか撃ってたら……あぁ》

《きゃああぁぁぁ!!?》

「ニモ!?」

 

 ガラガラと言う瓦礫の音。

 すぐにスラスターを噴かせて空を飛ぶ。

 空へと上がり、麻衣と共に確認すれば――ニモの機体が瓦礫に埋まっていた。

 

 奴はゆっくりと瓦礫に挟まるニモに切っ先を向けて――刺し込む。

 

 一瞬、悲鳴が聞こえて――生体反応がロストした。

 

《うーん。センスは良いんですけど、アドリブに弱いのが難点ですかねぇ?》

「テメェ!!!」

《よくもニモぉぉぉぉこのぉぉぉぉぉ!!!!》

 

 奴が解説をしている瞬間――建物の残骸を吹き飛ばしネモのタンクが現れた。

 

 ネモはガトをフルで回転させて弾丸を放つ。

 奴は溜まらずその場から飛びのき。

 濃い弾幕が展開される中で奴は空を舞う。

 私はネモに意識が向いている姿を見てチャンスだと考えて――奴の技を真似する。

 

「テメェに出来るなら――私にだって!!」

 

 私はスラスターを調整し。

 ブーストを行う前の為を長くし――解放。

 

「――ッ!!?」

 

 瞬間、今までにない加速が生まれて――奴を超えて行く。

 

「いぃ!?」

 

 目の前に謎のオブジェが迫る。

 咄嗟にレバーを動かして機体を横へとズラす。

 そのまま足が僅かにオブジェに触れて機体の制御が乱れた。

 私は何とか立て直し、そのまま車などを弾きながら地面を滑り――悲鳴が聞こえた。

 

「ネモ!?」

《……今、ゴーストジャンプしましたよね……はは、凄いですね! 初めてで出来たのなら、次はもっと上手くなれますよ!!》

《このぉぉぉぉ!!!》

 

 奴が笑う。

 そんな奴へと麻衣が攻撃を行うのが見えた。

 何発もエネルギーの爆発が光となって見えた。

 奴は解説しながら麻衣の弱点を見抜き――彼女の背後を取る。

 

 空の上での戦闘。

 麻衣は奴の攻撃を間一髪で回避。

 そのままバズを空中に投げ捨てて――腕に仕込んだアローを撃ちこんだ。

 

 瞬間、麻衣も奴も巻き込んで大爆発が周囲に広がる。

 私は月夜の下で発生した青白い光の玉を見つめて――何かが近くに落下した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……う、そ?」

《……え? 何がですか?》

 

 視線をゆっくりと向けて――無傷。

 

 奴の機体が立ち。

 その近くには麻衣の機体の頭部が転がっていた。

 

 完全に意表をついていた。

 どんなに優れた技術があろうとも。

 あの大爆発から逃れる事なんて出来ない。

 だからこそ、無傷であるアイツが信じられず――奴は勝手に説明した。

 

《エネルギーの爆発って、実は別のエネルギーに反発する性質がありましてねぇ。あぁいう時は、慌てずにスラスターの口径を広げてエネルギーの粒子を散布してから一気に飛べば、何とか逃れるられるんですよ! まぁ一秒のバリアですね!》

「は、ぁ……ぁ?」

 

 こいつは――何を言っている?

 

 エネルギーを散布して、スラスターを噴かせて逃げる。

 どうやって、あの一瞬で、どうすれば……は、はは。

 

 

「出来る訳――ねぇぇぇだろうがぁぁぁぁ!!!!」

《えぇぇぇ!?》

 

 奴は驚く演技をする。

 その言葉だけで私はぶちりと切れる。

 そうして、機体のリミットを解除し――奴へと迫る。

 

 銃口を奴へと向けて弾丸を放つ。

 碌な狙いもつけていな。

 当たる筈はない。

 奴はそのまま上へと飛ぶ。

 私は残骸を吹き飛ばしながら、奴を追った。

 奴は軌道を変えて、再び都市内部へと入る。

 そうして、くるりと機体を回転させて――背面飛行。

 

《簡単に怒ったりしない方が良いと思いますよ? 冷静さをかいたらプレイも荒く》

「消えろぉぉぉぉ!!!!」

 

 私は奴へと弾丸を連射。

 奴は禄に動く事無く、当たりそうになった弾だけをパリィ。

 此方を見ながら、ビルの表面を滑るように飛び。

 残骸の穴の中を潜り抜けて、狙いを逸らさせるように左右に揺れて――イカレテいる。

 

 何もかもが普通じゃない。

 何処でこんな技術を。

 いや、何処で生きたら――こんなやり方を覚える。

 

「……!」

 

 私は思い出す。

 フェイクだと思って見たあの動画の数々。

 150機との空戦に、核を抱えた状態でのマッハでの地下施設からの脱出。

 他にもだ。あり得ないと思った動画の数々が――こいつの異常性を証明していた。

 

 あれらが本物なら、この化け物が生まれた理由にも納得できる。

 こいつはあんないかれた戦場で育ったからこそ――完全にネジが飛んだんだ。

 

「は、はは、はははは、ははははは!!」

《……きゅ、急に笑い出したぞ……だ、大丈夫ですかぁ?》

「さいっっっっこうじゃんかァ!!!! 私はそういう奴を――求めてたんだよ!!!!」

《……え? あ、あの、な、何がぁ》

 

 私は笑う。

 全てが吹っ切れた。

 もう偽物であると思わない。

 こいつは正真正銘、存在している――怪物だ。

 

 私は更に限界を超えて飛ぶ。

 すると、装甲が限界を迎えてバラバラと剥がれて行く。

 システムが警告を発するが無視。

 奴を全力で追い掛けながら、ミサイルを放つ――もっと、もっと!!!

 

「アンタの全てを――見せてよぉぉぉぉぉ!!!!」

《ひぃぃぃ!!》

 

 私は叫ぶ。

 そうして、体からバキバキという音が響き。

 痛みは無くとも意識が消えそうになっている中で。

 それでも奴の機体を追う。

 

 まだだ、まだ、もっと、もっともっともっと――私は輝きたい。

 

 流星、一等星、どれも違う。私は――太陽になりたい。

 

 尊敬する先輩方を超える。

 多くのライバルも追い抜いて。

 同期たちと共に、でっかく輝く太陽に、私、は――――…………

 

 

 ○

 

 

「はい。1、2、3、よぉぉぉぉん、よぉぉぉぉん、よぉぉぉぉん」

「「「う、ぐ、ぐ、うぅ!!」」」

「へ、へへへ……も、もうその辺で」

 

 楽しいバトルが終わり――美少女たちが腕立て伏せをしていた。

 

 汗に塗れて、おっぱいが揺れている。

 吐息は熱を持っていて、すごくエロい。

 が、何名かは俺を睨んでいた。

 この状況はお前のせいだと言わんばかりで。

 鬼軍曹よろしく、数を滅茶苦茶いい加減に数えているリリアンさんに何とか手心をと伝えた。

 すると、彼女は少しだけ不服そうな顔をしながらも、数を進めて……ようやく終わった。

 

「「「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」」」

「お、お疲れさまでーす。へ、へへ」

 

 合計で100回以上はしていた気がする。

 何度も数が一に戻っていたしな。

 彼女たちは自らの汗に沈みながら、視線を俺に向けて来る……ひぃぃ。

 

「……分かったか? 貴様らがどれほどに、この方を侮っていたか。この方が本気で挑めば、貴様らなんぞ十秒ももつまい」

「くっ」

「うぅ悔しいよぉ」

「うぅぅ!!」

「だ、だるい。死ぬ」

 

 不満を口にする五期生たち。

 俺はこれでお役はご免かと思って――月島さんがすくりと立ち上がる。

 

 彼女はずかずかと俺の前まで近づいて来て――頭を下げて来た。

 

「――数々の無礼。本当にすみませんでした!!!」

「「「え?」」」

「え、あ、えっと……い、いいんですよぉ。お、俺なんか実際は大した」

「――“先生”は偉大な方です!!! 今まで会ったどんな教師たちよりも偉大です!!! 私が保証します!!!」

「え、えぇぇぇ……え?」

 

 彼女は最初の舐め腐った態度ではなく。

 尻尾でもあれば滅茶苦茶ぶんぶん振られているかと言わんばかりに。

 キラキラとした目を俺へと向けて来る。

 そうして、さっと俺の手を両手で包み――

 

「お願いします!! 是非、私を先生の弟子に!!! どんな厳しい修行にも耐えます!!! 永遠の忠誠も誓います!!! どうか私を、貴方のような立派な傭兵に!!!!」

「ちょ、サラ、貴方何言って、き、気でもふれたの?」

「そ、そうだよ! 強いのは分かったけど、あんなの私たちに出来る訳ないよ!」

「無理だよぉ。怖いよぉ」

「……寝る」

 

 彼らは月島さんを諫める。

 が、月島さんはぎろりと同期を睨む。

 

「あぁ!? テメェらの方がおかしいんじゃねぇか!? あんなにもすげぇテク見てよぉ!!! どうして、師事を仰がねぇんだ!? 先生の下で学べば、タイタンシリーズだけじゃねぇ。あらゆるゲームで、天下無双の力が手に入るんだぞ!?」

「い、いや、俺にそんな力は」

「――先生!! 謙遜しないでください!! 先生の力は本物です!! 私が間違っていました!! やっぱり、リリアン先輩の目に狂いはなかった!!」

「月島……ふふ、貴方には見どころがありそうですね。良いでしょう。根黒様の弟子となり、多くを学びなさい」

「オッス!!!」

「…………え? お、俺の意思は…………あ、あのぉ」

「……月謝払います!!」

 

 彼女はそう言って虚空から電卓を出す。

 そうして、パチパチと額を入力しそれを俺に見せてきて――俺はニッと笑う。

 

「よろしくお願いします」

「師匠!! オッス!!」

「「「えぇぇ……」」」

 

 俺は新たに出来た弟子と硬い握手を結ぶ。

 生まれて初めての弟子で……あ、でも。

 

 昔、技を伝授した子たちもいたけど……あの子たちは元気にしてるかなぁ?

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