底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:ロボワン
「うーん。どうしようかなぁ」
現在、自室にて――タブレットを操作する。
コウちゃんとの再会。
そして、プライベートでも会う様になり。
彼女はデッドブックの自分自身との縁を断ち切り。
新たにデータを作成して、女性として傭兵生活を送っていた。
同じ量産型に乗っているが。
彼女は俺なんかよりも頭が良く。
一週間ほどで俺よりも貯金を増やしていた。
彼女曰く、量産型では限界がある。
量産型はスペックからいえばそれなりに上等だ。
三大勢力が保有する正式モデルの量産型であれば、ワンオフにも引けを取らない性能らしい。
が、一般販売されている量産型であれば、結局のところはある一定の性能で打ち止めとなる。
どれほどパラメーターを弄っても、限界があるんだ。
だからこそ、コウちゃんに提案されて――新しい機体のカタログを見ていた。
どれも格好良く。
性能も今のものよりは遥かに良い。
値段も予算内であり……でもなぁ。
「今のも気に入っていたんだけど……まぁ壊れちゃったしなぁ」
コウちゃんとの戦闘で無理をさせてしまった。
完全大破であり、紙装甲は伊達ではない。
修理をしようにも、コアまでいかれてしまっているのであれば。
修理するよりも、この際、新しい機体を買った方が良いだろう。
思い入れはあっても、結局は強くなる為には仕方ない。
ヘブンフォールでもそうだった。
強くなる為ならば、どんなに気に入った機体であっても……でもなぁ。
「出来たら、もっとセブンエースと一緒に……そういえば、リリアンさんがこういう事に詳しいって月島さんが言ってたな?」
一緒に任務をしたり修行といって対戦をしていたが。
休憩している時に、月島さんがそんな事を言っていた。
何でも、リアルの実家が機械に関する分野の会社を経営しているようで。
彼女自身も、そういった分野の知識に詳しく。
よく後輩たちからの相談に乗っていたらしい。
……現実の知識がゲームでも役に立つ……そう考えれば、タイタンシリーズってすごいよなぁ。
よほどの専門家が頭を突き合わせて考えているんだろう。
そんな事を考えながら、俺はニューチューブをつけてリリアンさんが配信していないかをチェックし……いけそうかな?
配信はしていない。
ヌイッターでも、用事があるとも書かれていない。
何故か、彼女のプライベートの“ルイン”のアカウントを俺は知っていた。
彼女が教えてくれたものであり、彼女からの連絡はほとんど無いが。
俺が連絡すれば、彼女は秒で返事をしてくれる……優しい人だよなぁ。
「えっと、突然のご連絡、申し訳ありません。個人的な頼みで恐縮なのですが、新しい機体の購入を考えていて、リリアンさんにアドバイスなどを貰えないかと……かたいかな?」
少し悩む……いや、いっちゃえ!
俺はルインを送信し――秒で既読がつく。
「は、はや……えっと。頼っていただきありがとうございます。もしお時間がありましたら、これから一緒に見に行きませんか……見に行くって……あぁそういえば、展示会とかあったっけ?」
グリード内でメカニックとしてプレイしている人たちがいるが。
そんな人たちの為に開かれるイベントがある。
それこそが展示会であり、毎回一癖も二癖もある機体や兵装が並んでいるらしい。
「えっと、是非、お願いしますっと……はやい……ん? アドレス?」
謎のアドレスが送られてきた。
何だろうと思っていれば、リリアンさんが――“企業アドレス”だと教えてくれた。
企業アドレスとは、仮想現実内に存在するバーチャルの会社に入る為のチケットで。
それ以外にも、個別のパスなどは必要だが。
これさえあれば、リアルの会社と同じように働いている人たちに……え?
「な、何でこれを? そもそも、何処なんだ?」
リリアンさんは先に入って連絡しておくと言ってくれた。
俺はどうしたものかと悩み……いや、リリアンさんなら安心だな。
彼女は危険なものを送って来る可能性はゼロだ。
短い付き合いでも、彼女の人柄は知っている。
だからこそ、俺はVR装置を装着し。
そのままアドレスのデータを装置に転送し――アクセスする。
「うぉ――――…………
…………――――おぉ」
アクセスが無事に完了し。
俺の体は根黒万太郎として――会社の受付前に飛んできた。
周りを見れば、同じようにやってくるアバターが見える。
二足歩行の動物やメルヘンチックな人たちであったり。
およそ、会社に出入りする人間たちの格好ではないが。
バーチャルであれば、これが普通なんだと認識し……肩を叩かれる。
振り返れば――リリアンさんが立っていた。
「根黒様。ようこそ――“山城重工業”のバーチャルオフィスへ」
「や、山城重工業って、日本でロボット分野の開発の最先端をいっているあの!?」
「ふふ、そう言われているのは確かですね……さ、どうぞ」
彼女の装いは何時ものドレス姿ではなく。
かっちりとした黒いビジネススーツ姿で。
長い髪も後ろで留めていた。
黒縁の眼鏡も掛けていて、如何にも仕事の出来る女性で……ちょっと色っぽい。
俺は彼女の後をついていく。
すると、彼女は受付はスルーし。
そのまま顔パスで社内に入って行った。
見れば、闘技場のような転送装置が設置されていて。
俺たちはその上に乗り――別の空間に転送された。
目を開いて――驚愕する。
「うぉぉぉ……す、凄い!」
俺の眼前に広がるのは――メックたちだ。
無数のメックがカーゴの中に設置されている。
全長10メートルを超える巨体が、何十体もある。
その下には多くのつなぎを来たメカニックらしき人間が歩いている。
機械の音が響き、現実となんら変わりない作業を行っていた。
その光景は壮観の一言で、山城重工業はメックも作っているのかと驚く。
「……ヘブンフォールを経て、グリードの技術は飛躍的に進化しました。そのシステムは、我々でも驚くもので。現在、多くのロボット製造を担う会社がグリード内でメックの製造を行っています……何故か、分かりますか?」
「……メックの開発が、自社の商品の開発にもつながるからですか?」
「――正解です」
彼女は歩きながら説明してくれる。
巨大な二足歩行のロボットというものは。
ロマンはあっても、現実的な運用を考えれば非現実的とされていた。
が、グリード内でメックを使ってみればその考えは一変する。
高速機動状態での戦闘は再現性は無いが。
地上での動きであったり、運搬能力は凄まじく。
中でも、工事現場などにおいて人間と同じような動きをしながら。
重機などでしか運べないようなものを運搬したり。
重機などが入れないような場所へと単独で行き、天候にも左右されない頑丈さは評価が高いらしい。
「あくまでもゲーム。大型のロボットを現実で作るのなら、コストは高く。メンテナンスも頻繁に行う必要があるでしょう……ですが、既に使われているものがある事はご存じですよね?」
「あぁ、あれですよね。レスキュー用の八メートル級の有人型救助ロボ“アイクル”」
人が乗り込んで操作する人型歩行ロボ。
レスキュー様に開発された赤と白のカラーリングの丸みを帯びたロボで。
どんな環境下でも精密な作業を行える事から、多くの現場にて活躍していると聞く。
確か、あれを開発したのは山城重工業だったな。
「アイクルは、我が社にとってはロボット開発の新たな光なんです。傭兵として戦う事がメックの生まれた意味であるのなら。現実では、メックのような機械は、人々を助け救う存在であるべきなんです」
「す、凄いですね。スケールが大き過ぎて、俺……うぅ!」
山城重工業は未来を見ている。
リリアンさんの話を聞いてそれを実感した。
すると、彼女は足を止める……ん?
見れば、作業服を着た男の人たちが見える。
一つのメックの前で話し込んでいて――あ、気づいた。
一人の小麦色の肌のスキンヘッドの男が走って来る。
彼はリリアンさんにぺこぺこと頭を下げていた。
「す、すみません。お、お嬢様。少し問題が発生しまして」
「……例の新型の件?」
「え、えぇ……あ、もしかしてそちらの方が例の?」
「え、お、俺? ど、どうも」
急に男の人が俺を見て来た。
思わず俺も頭を下げてしまった。
すると、リリアンさんは彼に俺を紹介し――
「例の新型……この方であれば、使いこなせる筈ですわ」
「おぉ! それは心強い! では、早速!!」
「え、え、え、え? な、何!?」
「大丈夫ですよ! バイタルは常にチェックします! 事故が発生した場合は、バーチャル既定に則り労災も……あぁ、社員ではなかったですね! はは!」
「ひぃぃぃ! 何言ってるのぉぉぉぉ!?」
俺はバッキバキの目の男の人に連れていかれる。
リリアンさんはにんまりと笑っている。
何故か、心なしか頬が赤らんでいて――
「ヘブンフォールの貴方様の愛機のように……あの“白き翼”を再現できるのなら……あぁ」
やべぇ事を言っている。
俺は流れるままに服装をパイロットスーツにチェンジされた。
そうして、メットを被らされて――ああぁぁぁ!?