底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:ロボワン
天へと昇る巨大な鯨。
白く輝く太陽を背にし鋼鉄の体を翻せば、背中の装甲が展開される。
無数の武装が此方を狙い、空には色鮮やかな幕が展開された。
光――光光光。
真っ赤なレーザーに、青白いプラズマの弾。
赤熱する実体弾も飛んでいる。
空に掛るオーロラのように、人を殺し尽くすそれらが眼前を埋め尽くす。
俺たちは散開し、濃い弾幕の中を舞いながら――興奮する。
「ははは!! 凄いですねー!!」
《うわぁぁぁ!!?》
《狼狽えるな!! 敵を常に視界に収めなさい!!》
月島さんの叫び、リリアンさんが一括する。
月島さんには怯えがある。
が、それは弱点ではない。
弾幕の中を突っ込みながら、小さく視界の端に映る彼女の機体を見る。
すると、動きにはそれほど無駄は無く。
丁寧に攻撃を回避していた。
大したものであり、短い間の修行で彼女も腕を上げている。
リリアンさんもそうだ。
重武装でありながらも、軽やかに機体を流し。
熟練のパイロットらしく、華麗に攻撃を避けてた。
二人は攻撃を回避しながら、敵へと攻撃している。
着実に遠距離武装によって敵の武装を減らしていた。
そして、みっちゃんとコウちゃんは――
《ふふふ! そこかしらぁ!》
《おらおらぁ!! もっと踊れ!!》
「……ふふ」
彼女たちは弾幕を突破し。
バルトゥイの展開された装甲へと攻撃を行っている。
コウちゃんは両手にプラズマガトリングを装備し。
みっちゃんは長大なレーザー砲だ。
コウちゃんのガトが装甲の隙間に命中し、次々と敵の武装が破壊されて行く。
みっちゃんもレーザーを的確に照射し、攻撃が避け辛いレーザー兵器などを徹底して潰していた。
流石だ。
流石に、彼女たちは手慣れている。
俺はそんな彼女たちに感心し――更に加速。
【ぎゃああぁぁぁ!!?】
【こぇぇぇ!!!?】
「楽しいですねー! ねぇ!」
リスナーさんたちを盛り上げたい。
その一心で、無茶な飛行を試みる。
ギリギリで攻撃を回避し、そのまま上へと上昇。
バルトゥイへと迫れば、接近すればするほどに苛烈さを増す攻撃。
プラズマの爆ぜる音、装甲を軽く擦っていく弾丸の音。
風であったり、スラスターの音であったり。
無数の音を感じながら、心臓をどくどくと鼓動させて――弾幕を突破。
【抜けた!】
そのまま俺は敵の装甲を表面を滑るように移動。
道を塞ぐ武器はステップで攻撃を回避。
そうして、回転をしながらエネルギブレードを展開し――切り伏せる。
そのままノンストップで駆ける。
後方で爆発音が微かに聞こえた。
ブレードは一瞬で閉まっている。
そのまま、攻撃を回避しながら潰せる武装は潰し――飛ぶ。
「――――!!!」
「口を開けたら――こうなるだろ!!」
敵の口が開いていき、中でエネルギーがチャージされる。
シリンダーのようになったそれが激しく回転。
一瞬で放たれるであろう敵の攻撃に対して、俺は槍の発射体勢に入る。
弓を引き絞るように空中で膝を曲げて腕を後ろへと下げる。
まだだ、まだだ、まだ、まだまだ――来る!!!
敵の攻撃を察知。
俺はその一瞬で――ゴーストジャンプ。
爆発的な加速により、一気に敵の口、その斜め下へと迫る。
すると、敵は瞬時に攻撃を放ち。
頭上スレスレを巨大な赤黒いエネルギー弾が走っていった。
「ぐ、ああぁぁ!!」
【根黒氏ぃぃぃぃ!!!】
熱い、焼けるような熱さだ。
凄まじい熱量であり、機体がドロドロに溶かされそうだ。
敵は口を動かし、俺の機体に攻撃を当てようとする。
が、俺は更にブーストし奴の口下へと迫る。
熱量が増し、機体のシステムが警告を発する。
が、俺は接近をやめない。
ぐんぐん加速していき――此処だ!!
俺は一気にレバーを上げる。
ペダルを強く踏み、機体を上昇させた。
瞬間、敵の攻撃が弱まっていく。
口径が狭まり、奴の口が一気に閉じられていき――
「喰らえッ!!!!」
【……!】
溜めに溜めた槍を――ぶっ放す。
槍は一気に加速し、奴の閉じかけの口の中へと滑り込んでいく。
ギリギリで口内へと侵入し――奴のセンサーが激しく点滅する。
「――――!!!?」
「ハハ!!! 効いてるな!!」
奴は苦しみの叫びを出す。
口からは黒煙が出ていて、一瞬見えた奴の口内は激しくスパークしていた。
このまま弱点を攻撃し続ければ――いける!!
「皆さん!! このまま敵をかく乱しましょう!! 隙を見て、露出した装甲内部へと重点攻撃!! 俺は徹底して敵の口の中を」
《先生!! よ、様子が変です!! 何か来るんじゃ!?》
《……! あれは!》
月島さんの言葉に、敵から一気に距離を取る。
そうして、奴を観察すれば……嘘だろ?
「――――」
奴が仲間を呼ぶように叫ぶ。
苦しみも怒りでもない。
穏やかな叫びで――瞬間、地上の氷が裂けて行った。
水の中から何かが飛び出す。
それは敵性エネミーであり、バルトゥイほど大きくは無いが。
俊敏な動きをするサメ型のエネミーだった。
真っ赤に目を輝かせながら、空を高速で飛ぶサメが俺たちに襲い掛かって来る。
《あぶ!!?》
《気を付けてくださいねぇ? アレ、一度噛みつかれたら死ぬまで離してくれないのでぇ》
《はぁぁ!!? じょ、冗談じゃねぇし!! 空飛ぶサメってB級映画じゃねぇんだぞぉ!!》
《ハハ!! チェーンソーでもありゃ、殺しがいがあるってのによ!》
《……お好きなんですね。サメ映画》
《わ、悪いかよ!! クソが!!》
仲間たちは談笑しながらサメたちの攻撃を回避。
まだまだ余裕がありそうで良かったと思いつつ。
俺も迫りくるサメの攻撃を避ける。
そのままバルトゥイへと再び接近しようとし――眼前にサメが躍り出る。
「うぉ!?」
【わぁ!?】
ギリギリで回避。
奴は真っ赤に赤熱する鋭利な歯で俺を喰らうおうとしてきた。
いや、それよりも……ブーストか。
奴は近くにはいなかった筈。
それが一瞬で眼前に躍り出たのなら、恐らくはブーストを使える個体という事になる。
高機動戦が行えるエネミーはいるが。
ブーストまで使えるとなると中々に厄介だ。
目視で確認できるだけでも、サメの数は30……いや、40以上か?
バルトゥイを見れば、仕込んでいた武装を仕舞っている。
そうして、別の装甲が展開されていて――え!?
「おいおいおい!! ジャマー兵器ぃぃぃ!?」
【えぇぇぇぇ!!? そそそそそんなの見た事ねぇよ!?】
【何あれぇぇぇ!!?】
展開されたアンテナのようなもの。
それが電波を発すれば、俺たちの機体へと当たり――操縦が狂い始める。
「……!?」
《えぇ!? あ、あぁぁ!!?》
《月島!! 立て直せ!!》
操作が一瞬乱れた。
瞬間、サメたちが四方八方から迫り――ブースト。
僅かな隙間を抜けて攻撃を回避。
サメたちは互いに避けて、そのまま俺を追って来る。
汗がたらりと流れた。
それを拭う事もせず、レバーやボタンの感覚を確かめた――よし。
「リリアンさん! 月島さんのバックアップを!」
《了解しました!》
《……っ》
月島さんを一瞬見た。
彼女はまだ完全に対応できていない。
乱戦状態であれば、一瞬の操作ミスが命取りだ。
彼女の息遣いが聞こえて、悔しさが伝わる。
が、恥ずかしい事じゃない。誰であれ、経験のない事に即座に対応する事は出来ない。
「みっちゃん! コウちゃん! いけそう?」
《えぇ問題ありません。何せ、散々先生に――仕込まれましたから♡》
《俺も大丈夫ですよ。この程度、慣れてます》
二人に聞きながら、彼女たちの機体を確認。
僅かなブレはあるが、操作に支障は無さそうだ。
二人は俺の意図を理解し、サメを引き付ける為に攻撃を開始した。
敵のジャマー兵器の効果。
それはよくあるゲームの操作方法を乱すものだ。
右へと進もうとすれば左に行き、下へと行こうとすれば上に行く。
そういう類のもので、今こうしている間にも俺の機体は真逆の操縦を要求される。
「どうやら操作を乱すジャマーのようです! ビックリしますよね! でも、これくらいなら大丈夫ですよ!」
【こ、高機動戦で、一瞬の判断で死ぬ状況で……だ、大丈夫、だって?】
【お前、何で笑って……おかしいだろ!?】
【根黒君はイカレテるなぁ(賞賛)】
俺は逆の操作をしながら、敵の攻撃を回避。
そのままブーストし、敵へと迫り――ジャマーの僅かな動きを確認。
《あ!?》
《……っ。また別の!?》
《チッ、きついな》
《ふふふ、頑張れ頑張れ♡》
操作方法がまた乱された。
今度は単純に逆ではない。
完全なランダムで――瞬時に、全ての操作を確認。
敵が迫る前に、僅かな操作で誤差を修正。
敵の攻撃を察知し――回避。
ノンストップで奴へと迫る。
奴を見れば、こっちへと迫ってきていた。
【もしかして、また操作が……化け物かよ】
「はは! 慣れますよ!」
リスナーさんのコメントに反応し。
サメの追撃をかわす。
そうして、機体を回転させながらブースト。
バルトゥイが口を開けて攻撃を放とうとし、槍を放とうと――誤差を修正。
「そこッ!!!」
ジャマーによるかく乱。
絶対に仕掛けてくると分かっていた。
だからこそ、予測し一瞬で僅かにレバーを動かし敵のジャマーのパターンを見抜き対応。
そのまま槍を放ち、背後に迫ったサメの攻撃を下へと降下し回避。
奴はエネルギーを充填し終わっていた。
即座に此方へと攻撃を放とうとしたが――此方の攻撃が命中。
深々と奴の弱点に抉り込んだそれが――爆発。
「――――!!!!!?」
「お! ラッキーだぁ!!!」
奴は叫ぶ。
そうして、充填したエネルギーも行き場を失って暴発。
口から特大の煙が出ていた。
リスナーさんたちは興奮している。
俺はそんな彼らの熱に応える為――機体を加速させる。
【根黒!?】
【何する気!?】
リスナーさんたちは驚いていた。
俺は笑みを浮かべながら、口を開けたままの奴へと迫っていく。
「決まってるじゃないですか――ジャイアントキリングですよ!!」
俺はそのまま機体を加速。
奴が口を閉じかけようとしていたが。
そのまま口内へと侵入を果たす。
中では、稲光のような激しいスパークが発生し。
奴の弱点はズタボロであった。
俺はそんな奴の口内に――槍を撃ち込む。
槍は弱点に命中。
体内へと入り、そのまま爆発。
奴が絶叫し、凄まじい音波によって意識が飛びそうになる。
が、歯を食いしばり耐えた。
そうして、そのまま次弾を装填し――放つ。
「まだまだァァ!!!」
俺は何発も放つ。
空になれば新しいマガジンを装填。
放って、放って、放ちまくる。
何度も何度も爆発し、視界が黒一色に染まる。
爆発する度に、奴は絶叫し。
仲間たちが何かを言っているが聞こえない……鼓膜、破れたな。
俺は笑う。
目も鼻も激しく痛い。
何かが垂れていてそれが口の中に入る。
血だ。血が流れていた。
満身創痍。だが、問題ない。
ラスト一発を放とうとし――黒い世界に赤い光が満ちて行く。
――まずい!
最後の攻撃だ。
もう少しで仕留めきれる。
が、奴はその前に俺を殺す気だ。
俺は攻撃を中断し、口内から逃れようとし――奴は口を閉じた。
目の前は奴の鋼鉄の歯によってガードされている。
逃げ場は何処にもない――だったら!
「作ればいいだけだ!!!」
俺は残った最後の一発を――眼前の歯に向かって放つ。
瞬間、頑丈な歯に槍が刺さり。
ガリガリと音を立てながら表面を削る。
そうして、動きが停止し――爆発。
機体を停止し、煙の奥をスキャンし――まだ、ある。
相当に頑丈だ。
亀裂が走っているだけだ。
もう、残された武装は――いや、十分だ!
「さぁ行きますよ!!!」
【え!?】
俺は機体を動かし、口内を回る。
そうして、助走をつけるように翔けて――ブースト。
エネルギーブレードを最大出力で形成。
目の前に突き出すように展開し、そのまま機体を高速で回転。
エネルギーブレードはまるでドリルのようになり――接触。
「うぐ、あああぁぁぁ!!!」
レバーが振動する。
びりびりと揺れていて手が痛い。
押し込んでいる筈が、押し返されるようで。
ペダルがひどく重たくて、足が今にもつりそうだった。
寒かった筈なのに、今は高熱でも出ているように熱い。
全身が汗まみれであり、呼吸も苦しくて――が、笑う。
笑おう。笑うんだ。
俺は傭兵だ。
でも、それ以前に――
「貫けェェェェ!!!!!」
【いけぇぇぇぇ!!!!】
【頑張れぇぇぇぇ!!!!】
リスナーさんたちの応援。
それをしかと受けて、俺は限界を超える。
歯が砕けそうになるほどに噛み締めて、全身の力を奮い立たせる。
レバーをゆっくりと押し込み、ペダルを踏みつけて――光だ。
僅かに光が差す。
赤い光ではない、白い光だ。
間に合うか。否――間に合わせる!!
《――!!!》
「……!!」
仲間たちの声が聞こえた気がした。
何を言っているかは分からない。
が、音ではなく心で感じた。
瞬間――光が更に差し込む。
機体が揺れている。それは外からの衝撃によるものだ。
彼女たちが外から攻撃していた。
俺を救うために、俺を外へと出す為に――あぁ、これだよ。
ソロだって楽しかった。
でも、仲間との対戦も楽しかった。
だったら、仲間と一緒に戦う事は――もっと最高だ!!
「はは、はははは――あぁ!! やっぱり楽しいな!!」
俺は笑う。
最高のゲームで、最高の仲間たちとやる
光は一気に広がっていき――眼前が白一色に染まる。
レバーとペダルが軽くなる。
俺はここだと機体をブーストさせた。
そうして、可能な限り奴から離れて――下へと降下。
「うああぁぁぁ!!?」
頭上を奴の赤黒いエネルギーが駆けて行った。
エネルギーは空へと上がっていく。
機体を停止させて、奴へと振り返った。
すると、奴は機体を激しくスパークさせながら遥か天を見上げていた。
「――――――………………」
「……ありがとう。楽しかったよ」
奴は叫んでいた。
残念ながら、その声は俺には聞こえない。
しかし、奴は全力で挑んできた俺たちを祝福してくれているような気がした。
俺は魔王に敬意を表する。
敬礼なんてやれないが。それでも、心で彼に……ふふ。
《――!!》
《――!? ――!》
《……? ――》
「はは、すみません。何も聞こえないんですよ。後で、たっぷり話しましょう」
俺は彼女たちに謝る。
彼女たちは察してくれて、通信を切った。
初の大型エネミー戦は勝利で飾る事が出来た。
ギリギリだったかもしれないが。
たった五人であれを倒せたのなら上出来だろう。
ボックスを見れば、目当ての素材は手に入っていた。
幾つか知らないものもあるが……まぁいい。
「はぁぁ……この後は、オフ会か……緊張するな」
【……オフ会?】
【え、マジ?】
【僕も参加したいです!】
俺はあっと声を出す。
まずい。オフ会の事は内緒だった。
俺は慌てて、個人的なものであると訂正した。
打ち上げ的なものだと正直に答える。
すると、リスナーさんたちは俺の慌てる様子で何かを察してくれていた……ん?
【まぁ、その……うん、祝いなよ】
【お前は童貞だし、間違い何て起きねぇもんな!】
【根黒、信じてるからな!】
【清き交際ならお母さん大歓迎よ!】
【そういう正直なところ――嫌いじゃないわ!】
「……な、何か、誤解してません? ま、まぁ、別にいいですけど……ふふ、兎にも角にも」
俺はレバーから手を離す。
そうして、にかっと笑い――勝利のVサインをする。
「今日も――大勝利!! いぇい!!」
【……ヘルメットの下は血まみれなんだろうな】
【やめろよ。バンされちまうぞ】
【間違っても、取るなよ?】
リスナーさんたちが俺を心配する。
俺は困惑しながらも、今日も楽しい生配信が出来た事を喜んだ。