底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:ロボワン

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第3話:舞い戻りし伝説(☆)

 基地が――燃えている。

 

《来るな!! 来るな!! 来るなあああぁ――……》

《嫌だ!! こんな所で負けるなんて――……》

《夢だ! これは悪い夢だ!! 俺たちが!! ブルーバード隊がたった一機に――……》

「はぁはぁはぁはぁはぁ!!」

 

 燃え盛るB05基地。

 黒煙が天へと昇り、むせ返るような灼熱で。

 仲間たちの悲鳴が響いてはぶつりと消えて行く。

 あちらこちらで爆発音が聞こえては、羽をもがれたハエのように地面に落下していく。

 

 聖天連合会の領域内に存在する軍事基地であり。

 東亜との戦争によって、俺たちブルーバード隊は何度も前線へと出撃していた。

 ゲームであるが、俺たちは歴戦の猛者であると自信があった――が、たった数分前にそれは粉砕された。

 

 

 ブルーバード隊の精鋭20名が――ほぼ全滅。

 

 

 たった三分ほどの出来事だった。

 あっという間であり、何処からともなく現れた灰色の量産型が全てを焼き尽くした。

 俺はレバーを汗ばんだ手で握り閉めながら。

 必死になって奴の影を探す。

 

 もう俺一人だ。

 他の仲間は既に戦死して……俺が、俺だけが……あぁ、くそ!!

 

 どうしてだ。

 どうしてこんな目に。

 ようやく聖天において頭角を現し始めて。

 上の連中からも期待されるようになったというのに。

 何で、何で――俺ばっかりこんな目に!!

 

「クソ!! クソ!! クソ!! 来るなら来い!!! テメェもろとも道づれに――!!」

 

 空に浮遊しながら両手のライフルを左右に構える。

 すると、背後の煙が揺れた気がして――そこへと弾丸を放つ。

 

 が、そこには誰もいない。

 すると、今度は頭上で何かの気配を感じ――いない。

 

 いない、いない、いないいないいないいない――何処だァ!!

 

 俺は恐慌状態に陥りながら。

 その場を離れるようにブーストし――横から青い光が見えた。

 

「うわぁ!!?」

 

 俺は咄嗟に銃口を向けて攻撃を行う。

 が、そいつは驚異的な反応速度で弾丸を回避。

 そのまま俺の機体の真下を通り抜けようとした。

 俺はすぐにレバーを操作し、奴へと蹴りを放とうとし――爆発音。

 

「……!?」

 

 俺の蹴りは空を切る。

 姿が消えた。

 ほんの瞬きの合間に消えた。

 奴はそのまま、俺を放置して何処かへと去っていく……見逃が、された?」

 

「は、はは、ははは――このクソった――――」

 

 頭上からの衝撃音。

 そして、次の瞬間には視界が白一色に染まり――――…………

 

 ○

 

「はぁい! という事で、初めての依頼は――無事、達成出来ましたぁ! やったー! ……あ、あれ?」

 

 燃え盛る敵拠点の上でレバーを握りながら喜ぶ。

 視聴者の方々も喜んでくれているかと思いきや。

 何やら思っていたような反応じゃなかった……どれどれ?

 

【地獄絵図で草】

【ネームド以上の活躍に草も生えぬ】

【私の知っている量産型の動きじゃない……人間?】

【増援来るぞと言おうと思ったけど拠点の制圧七分で完了してらぁ……すんません】

「……? そんなに驚く事なんですか? 別に前作でもこれくらいは……?」

 

 俺がぼそりと呟けばコメントは加速し――また赤スパが来た。

 

【素晴らしい!! 貴方こそ我々が求めていた人材です!! 是非、我が東亜におこし下さい!! 貴方様に相応しいポストをお約束します!! 勿論、報酬に関しても相場の三倍は――】

 

 東亜の人が長文で俺をスカウトしに来ていた。

 俺は微笑みながら、機体を動かして戦線を離脱する。

 すると、またしても赤スパが二回も連続で来て……え?

 

【今回は不運にも東亜の依頼を受けてしまったようですが。貴方様は本来、力と名声を求める英雄的存在でしょう。でしたら、東亜のような金にしか目の無いゴミ共よりも、我々聖天連合会へと加わるべきです。東亜のように金に物を言わせるような事は致しません。私は根黒様がより上の存在として輝けるように全力でバックアップを――】

【中々に良い乗り手のようだな!! 自由と理不尽に満ちた素晴らしい戦闘はとても見応えがあった!! 是非とも、我々孤狼団とも仕事をしてみないか! 君となら我々も多くの事を学べると――】

 

 東亜に聖天に、孤狼団まで現れた。

 カオスな事になっており、コメント欄で聖天と東亜が喧嘩を始めた。

 孤狼の人はマイペースに、お茶のお誘いをしてきているが……へ、へへ。

 

「お、俺の配信なんだけど……ど、どうすれば?」

【そんな奴ら! ブロックしちゃいなよ!】

【まるでラブコメ主人公のような奪い合い! が、実際は血生臭いという……泣けるぜ!】

 

 同接数は上がっている。

 ヌイッターからの通知音が聞こえて見れば……ふぁ!?

 

「ととととトレンドに入ってる!? 嘘!?」

【そりゃ世界中で大人気のゲームであんな動きされちゃねぇ……奴らが動き出すぞ】

「や、奴らって?」

【ネームドは勿論……“ブラックレコード”もかなぁ】

 

 ブラックレコード……聞いたことがある気がする。

 

 公式戦において、無敗の記録を誇るプレイヤーだったかな。

 ただ一度の敗北も無く、どんな理不尽な戦闘であろうとも必ず勝つ。

 全てを破壊し尽くし、黒く染め上げる事からついた名が――ブラックレコード。

 

 強敵であり、今までのようにはいかない相手だろう。

 普段なら、そんな人に目をつけられたら怯えるところだけど……あぁ、ダメだ。

 

「ふ、ふふ、ふふふ……楽しみだなぁ」

【……戦闘狂だったんですね……素敵だぁ】

【よく言ったぁ! それでこそ傭兵や!!】

【このままネームド全員むっころしてやりましょうぜぇ!!】

 

 コメント欄がバトルジャンキーでいっぱいになる。

 俺はそんな彼らに微笑みかける。

 戦域からの離脱は達成し、回収用のシップへと乗り込む。

 すると、依頼を達成したというアナウンスと共に約束の報酬が支払われた。

 

「まぁ、強敵との戦いに備えて、今はお金を貯めて……武器とか機体もパワーアップさせないとなぁ」

【……そういえば、量産型だったな……変態過ぎて、忘れてたわ】

【……アレでプロにも勝てるって……マジでこのゲームは技量でどうとでもなるんだなぁ】

「ふふ、運が良かったんですよぉ……あぁ、でも、機体を変えるなら、昔のデカールも貼りたいなぁ」

 

 俺は何と無しにそんな事を呟く。

 すると、古参であるタライさんが質問して来た。

 

【そういえば、前作をやり込んでたって言ってたけど……どんなデカール使ってたの?】

「え? どんなのって、普通に自分で作った奴ですよぉ……見ますか?」

 

 俺が聞けば、コメントは見たいで埋まる。

 俺は少し恥ずかしく思いながらも。

 過去のプレイデータを漁り、そこから機体のデカールのデータを引っ張って来て――表示させる。

 

「これですね……結構、上手く書けたと当時は思ったんですけどね。今見ると中々に奇抜ですねぇ。えっとですね、イカロスっていう方をモチーフに、鉄の翼で太陽すらも超えていくっていう……? あ、あのぉ……あれ、不具合か?」

 

 

 俺がデカールを出した瞬間に――コメントがピタリとやむ。

 

 

 俺が喋っても誰もコメントを書かない。

 不具合かと思ったけどそうでもない。

 同接数をチェックすれば――ほぁ!!?

 

「いいい一万!? え!? ちょ!?」

 

 何が起きているのかと慌てる。

 が、コメントは止まったままで――ぽつりとコメントが表示される。

 

 

 

【――ホワイトレコードだ】

「……え、誰?」

 

 

 

 俺は知らない人の名前に戸惑う。

 が、その名が書き込まれた瞬間に――コメント欄がかつてない加速を見せる。

 

 俺は激しく戸惑う。

 戸惑うだけで何も出来ないが。

 それでも配信者として平静を保ち――チラリとコメントが目に映った。

 

 

 

【――会いたかった。戦場で踊ろう。戦友よ】

「……ふへ」

 

 

 

 俺は笑う。

 汗が吹き出し震えて来た。

 が、それは恐怖ではなく――高揚。

 

 かつてないワクワク。

 ソロプレイでは味わえなかった何かが――俺を待っている。

 

 最強のNPCよりも、最悪のエネミーよりも。

 この世界で待っている心ある強者たちが――俺を楽しませてくれる。

 

 俺は拳を握り――親指を立てる。

 

「皆さんと戦える日を待ってます!! 悔いの無いバトルが出来るように頑張るので!! よろしくお願いします!! ……あ、それと高評価とチャンネル登録も、良かったらお願いします!! ではでは!! またねー!!」

 

 俺は手を振り、配信を終える。

 一人、コックピットの中で息を吐き。

 俺は胸の高鳴りを感じながら、新たな闘争に――目を輝かせていた。

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