底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:ロボワン
ワールド内、大陸から大きく離れた海上。
傭兵協会から緊急の依頼が俺にのみ発行された。
その内容は、特殊エリア――“幻想の墓城”の調査だった。
協会から現地へと向かう為に、俺専用の輸送シップが与えられた。
協会側の説明では、解析不能の通信がある、内部に入れる者が俺だけだと言われたらしい。
だからこそ、協会は俺へと依頼を出して……まぁ何でもいいさ。
シップに乗り込み。
今、俺は機体の最終調整を終えた。
「……よし」
《……こっちも確認した。機体のパラメーターは安定しているぜ。それと、“ムラマサ”に関しても出力値は問題ねぇ》
「ありがとうな……もうすぐだ。もうすぐ……アイツに会える」
《……肩に力が入ってねぇか? リラックスしろよ。相手はアヴァロンであって、アイツじゃ……いや、悪い》
竜一は失言したと思ったのか。
俺に謝って来たが俺は首を左右に振る。
「……分かってるよ。アレはただの機体。アイツはいない……それでも、俺はあれに雄吾の意思があるって思ってる……だからこそ、全力で勝たなきゃならねぇ」
《……はは、だな! ……そろそろっぽいな……その、何だ……悔いなんて残すんじゃねぇぞ!!》
「あぁ、全力で――楽しんでくるぜ!」
俺はにっと笑って親指を立てる。
一度きりの戦いだ。
悔いなんて残しはしない。
今までの全てをこの戦いにぶつける。
竜一も笑って――シップが激しく揺れる。
《竜巻内へ侵入。1分後に内部へと到達。繰り返す。竜巻内に――》
「……さて、行くか!」
俺は竜一に特等席で見せてやると伝える。
奴にのみカメラの映像を送りながら、俺はバイザーを展開する。
そうして、レバーから手を離して――フルコンを起動した。
ガントレッド型のデバイスを装着。
最初から全開であり、命を懸けて戦ってやる。
ガタガタとシップ全体が揺れて――揺れが収まる。
瞬間、ハッチの下部が展開されて行った。
光が漏れ出していて、俺は目を細めながら機体が下がっていくのを感じる。
そうして、機体が完全に下に出ればロックが解除されて空中を舞う。
すぐにスラスターを点火して、俺はそのまま――“幻想的な世界を飛ぶ”。
「はは、何だよこれ……戦場、って感じじゃねぇな」
広大な自然に、花々が咲き誇り。
山のように巨大な白亜の城には巨大な根が張っていた。
俺はそれを見ながら、凄まじい気配を放つものを一瞬で見つける。
俺はそこを目指して、降下していく。
ゆっくりと機体を下げて、地面を滑るように着地し……やっぱりな。
「よぉ……見間違いじゃなかったな。お前は雄吾の――アヴァロンだ」
《……》
目の前にて両手で剣を持ちながら立つ巨人。
全長20メートルはある大型のメックで。
黒を基調とし、黄金のラインが走る神々しい機体。
王冠のような作りをした頭部のブレードアンテナに。
センサーは黄金の光を放つ三つ目であり、背中からは空中に浮かぶ三つの銀色の輪っかになった特殊な推進装置がある。
黄金比のような完璧なボディーは人型に近い形状であり、雄吾の話を思い出すのなら……運動能力は桁違いだな。
人間のようにではない。
人間以上に滑らかで自由な動きが出来る。
本来、人が乗って戦う事を想定して作られるメック。
が、アレの運動能力と機動力は人間の限界を遥かに超えている。
だからこそ、雄吾が死ぬその時まで、あれが完成する事は無かった。
……人を乗せられないから、無人機にしちまったか……運営だけが出来る手ってやつかな?
俺は笑う。
相手を警戒しながらいれば――システムがメッセージを送って来る。
《映像を外部へと送信開始――以降の戦闘は全て記録されます》
「……歴史に名を遺す……喜んでるか」
《……》
天国にいるアイツの顔を思い浮かべる。
アイツであれば、どんな形であろうともこの瞬間を――殺気が強くなる。
俺は意識を戻し、前方を見る。
すると、不動を貫いていたアヴァロンが――剣の柄を掴む。
瞬間、聖剣に青いラインが走っていった。
アレはエネルギーの伝達だ。
奴が地面から剣を引き抜けば、稲光のようなものが空間を走っていった。
膨大なエネルギーであり、奴の背中の輪っかが回転を始めた。
アレはスラスターでありながら、コアのようにエネルギーを増幅させる効果があるのか。
戦闘状態であり、俺も思考によって背中の鞘をボックスを起動する。
ばしゅりと音がして空中に二振りのブレード――否、刀が舞う。
俺はそれを両手で掴み。
宮本武蔵にでもなったかのように構える。
気分は巌流島の決闘で……いや、勇者だな。
「理想の果て、頂点で待つ最後の敵――さぁやろうぜ。王様ッ!!」
《――》
奴が剣を振るう。
青いエネルギーを纏うそれを見ながら俺は――眼前に青い光が迫る。
「――ッ!!!」
俺は連続でブーストする。
瞬間、ギリギリで回避が成功しエネルギーの刃が地面を走っていった。
それは遥か彼方まで届いていて――なんて切れ味だよ!?
「あんなもん喰らったら――ッ!?」
《――》
悪寒が走る。
すぐに機体を動かし、その場からブーストで離れる。
瞬間、空間が激しく振動した感覚を覚えて――何かが機体スレスレを通過していく。
見れば、遥か彼方の風のカーテンに傷跡が浮かんでいて――あ、ありえねぇ!?
「飛ぶ斬撃に不可視の攻撃に――チートじゃねぇか!!」
《――?》
俺は驚く。
すると、一瞬敵が首を傾げたように見えて――凄まじい加速で間合いを取られた。
「うぉ!?」
俺は反射的に機体を上昇させる。
一瞬で攻撃を放ってきて、無数の木々が切断された。
だらだらと汗を流しながら、規格外の攻撃に心臓をバクバクと鼓動させる。
理解した。
アレは一撃必殺であると。
一撃でも貰えば、この機体は耐えられない。
正に必殺であり確殺であり――面白れぇ!!
「これを倒せば――俺が世界一だッ!!!」
《――!》
俺は興奮する。
鼻息を荒くしながら、俺は連続ブーストで機体を加速状態にする。
相手は剣を構えながら、俺を目で追っていた。
かく乱は不可能だが、機動力を使っての――連続攻撃はどうだッ!!
俺は更にブーストし、一気に機体を曲げて敵へと迫る。
そうして、ムラマサを振るって攻撃する。
相手はその攻撃を片手で受け止める。
そうして、もう片方の手で拳を作り――放つ。
《――!》
が、そこに俺の機体はいない。
攻撃を仕掛けた瞬間にブースト。
そのまま敵の背後を取り、一気に接近し――刺突。
当たる――が、防がれた。
一瞬にて剣で防御して見せた。
驚異的な反応速度だ。
相手はそのまま出力のみで俺を弾こうとし――刀の向きを変える。
瞬間、相手の力は流されて。
俺は機体を回転させながら、そのまま敵の推進装置事切り裂こうと――“怖気が走る”。
「――ッ!」
俺は一瞬の判断で攻撃をキャンセル。
そのまま全力で後ろへと下がり――不可視の攻撃が横を通過していった。
「あぶ!?」
あり得ない、あり得ないあり得ないあり得ない――あり得ないつぅぅぅぅのぉぉぉ!!!
何だあれ!?
今の動きが見えなかった。
確実に機体の体勢がブレていた。
隙だらけであり、絶対に当たる筈だった。
が、今の光景は――奴が剣を振っていた。
体勢を崩された状態で。
一瞬にて攻撃へと繋げる動き。
普通の敵やボスであれば、あんな出鱈目な動きは出来ない。
が、アレは出鱈目な動きも――“論理的に可能にしている”。
俺は奴の動きを警戒しながら、全力で頭を回転させる。
その間も、敵はあり得ないスピードで空を翔け。
一瞬にして此方の間合いに入り攻撃を放って来る。
一撃一撃が必殺であるからこそ、此方も嫌に意識さぜるを得ない。
ストレスフルであり、脳が沸騰しそうで。
呼吸が乱れて目は血走り――楽しいな!
これこそが、俺の求めていた――バトルだッ!!
俺は歯を食いしばり笑う。
開始数分で汗まみれになりながら。
必死に体全体を動かして――死の淵で踊る。
考えろ。常に思考しろ。
こいつの異常な速度と運動能力。
そして、驚異的な反応速度を上回る策を――今、捻り出せッ!!!
秒刻みで飛んでくる斬撃。
機体を加速させながらそれらを避けて。
地面を滑り、花々を回せながら俺もムラマサを振るって奴へと突っ込む。
奴は俺の連続攻撃を意図も容易く防ぎ、カウンターを仕掛けて来る。
俺はそれすらも計算に入れて、ギリギリで奴の斬撃を回避し――足を掬う。
「取ったッ!!」
《――》
奴の体が前に倒れる。
俺はそれを見て今度こそ奴の背中へ――全力で横へ飛ぶ。
瞬間、元いた場所を斬撃の嵐が飛ぶ。
地面が抉られて、風圧だけで木々もオブジェも破壊し尽くす。
新たな攻撃であり、俺は目を大きく見開いて恐怖し――奴がセンサーを妖しく光らせる。
遊んでいる。
完全に、俺の事を――舐めている。
誘っているのは感覚で分かる。
今はまだ奴は全力じゃない。
俺はそれを確信し――コアの出力を跳ね上げる。
「いいぜ。乗ってやる――死ぬ気で殺してやるッ!!!」
《――!》
奴は剣を下に構える。
そうして、地面を蹴り一瞬で迫り――こちらも連続ブーストで奴の背後を取る。
「ぐ、ぅう!」
《――!》
殺人的な加速だ。
体への負荷は相当。
だが、今までの経験が――俺の体を進化させていた。
耐えられる。
異常は欠片も無い。
俺はこれならいけると確信し――更に連続ブースト。
《――!》
奴は剣を振っていた。
が、既にそこに俺はいない。
俺は奴の背中で刀を――振る。
瞬間、激しい火花が散る。
当たった。が、それは機体でも推進装置でもなく――敵の剣だ。
互いにつばぜり合いをし。
そのまま力を込めて互いに後ろへと飛ぶ。
俺たちは地上を翔けながら、互いを視界に収める。
まだまだ、奴の本気は引き出せていない。
が、それでも少しはやる気にさせられたみてぇだ。
片手で剣を振るっていたが――さっきは両手になっていた。
「――まだまだ、これからさ――お前も、楽しもうぜ!!!」
《――》
奴は殺気を強くする。
抜き身の名刀の如き鋭い殺気。
が、それは怒りというよりは――親愛に近いと俺は感じた。