底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第54話:人形たちとのダンス

「さぁ! いよいよ次でAランクに昇格できますね! くぅう! 大変でしたぁ!」

【もう勝った気かい? 随分と余裕じゃないか】

【大変って言う割には軽快なトークで俺たちを盛り上げていたような……化け物め!】

【今日も根黒君は暴れてるなぁ(白目)】

 

 コメントに反応しながら、俺は肩を鳴らす。

 Cランク帯から連戦連勝であり、もう深夜ではあるが一日で終わりそうだ。

 昇格の為の任務は、特殊任務の中でもかなりの難易度のものばかりだった。

 何故か、孤狼団にメリットのある任務ばかりだったが……何でだろう?

 

【根黒君! 今回は助かった! やはり私は君が欲しい!! 是非!! 是非!! ウチに来てくれ!! 何でもするよ!!】

【ん? 何でも?】

【何でもって言ったな?】

「はは、ホムラさんですかね。えっと、ありがとうございます……でも、今は世界大会に集中したいので! その話はまた今度!」

 

 俺が両手を合わせて謝れば、彼女は号泣する絵文字を送って来た。

 リスナーさんたちは面白がって俺を責めて来る。

 俺は苦笑しながらも、そろそろマッチングが完了すると伝えて――お?

 

「……何だ?」

【光が変わった?】

【赤い光って……見た事ねぇけど】

 

 待機ルームの光が赤くなる。

 まるで、心臓の鼓動のように点滅していた。

 目がおかしくなりそうだと思っていれば――対戦相手が現れた。

 

「……三人?」

【あれって……NPCじゃね?】

 

 リスナーさんたちのコメントを見て俺は近寄って来る黒尽くめのアバターたちを見る。

 確かに、プレイヤーとは違うようであり。

 どう見てもNPCのようだが……それにしては命を感じなさ過ぎる。

 

 奴らは俺の前で止まり、両腕を後ろで組む。

 まるで、軍人のように綺麗な整列だ。

 俺はヘルメット越しに目を細める。

 

《Aランクの昇格戦のマッチングを完了――デスマッチを開始》

「デスマッチ、か……良いねぇ」

【気をつけろよ! 明らかに強そうだ!】

【根黒の引きを信じるなら――今日も面白れぇ事になるぞ!!】

 

 AIから対戦ステージのセットアップが完了したと報告される。

 瞬間、俺たちの体は転送されて――――…………

 

 

 

 …………――――目を開く。

 

「市街地……“試験用都市”か」

 

 廃都市のように荒れていない。

 全てが新しく、道路の上から周りを見れば人を模した人形たちが歩き車なども走っていた。

 ビル群に高速道路や遠くにテーマパークの観覧車も見える。

 面白いステージだと考えて――通信が繋がされる。

 

《戦術機械兵S-07からS-09。スタンバイ完了――戦闘を開始する》

「……人形が相手ねぇ……さぁ、どうするかなぁ」

【わくわく!】

【どう料理するか考えてますね!?】

 

 俺はレバーを操作し、二丁のショットライフルを回転させる。

 肩部にマウントさせた二本のブレードを使うかは分からないが。

 人形がどこまでやれるのかは楽しみだ。

 

 俺は小さく微笑み――カウントダウンが0になる。

 

 スラスターを噴かせて垂直上昇。

 ぐんぐんとスピードを上げながら飛んでいく。

 高層ビルを超えて上昇し――横へとブースト。

 

「お!」

【いい反応!】

【やるね!】

 

 瞬間、機体スレスレに弾丸が飛ぶ。

 バチリと電気が走ったように見えた。

 一瞬で此処まで飛んできたのなら――レールガンか。

 

 俺は敵の射撃位置を分析し。

 そのまま一直線に向かう。

 上空を飛びながらサーチをすれば……反応なしねぇ。

 

 光学迷彩か。それ以上のものを使っている。

 サーマルに切り替えようとし――横へと連続ブースト。

 

 瞬間、遥か彼方から連続して弾丸が飛んできた。

 ブーストと回転によって狙いを外させる。

 流れるように上空を舞いながら、全てを回避。

 そのまま進行方向を修正――今の攻撃で正確な位置も分かった。

 

 俺は一気に前へとブーストし、一気に距離を詰めにかかる。

 瞬間、大型のショッピングモールの駐車場の上で何かが現れる。

 姿を現したのは特殊なコートを纏う複眼の機体で。

 長大で回転シリンダーが取り付けられた特殊なライフルを構えていた。

 奴は真っすぐに俺を狙っていて――弾丸を放つ。

 

 俺はそれをギリギリで回避。

 紙一枚であり、装甲が薄く焼かれて行く。

 が、最短の移動距離であり、俺はショットライフルを――斜め前に放つ。

 

《――!》

「バレてるよ?」

 

 隠れ潜んでいた敵。

 機体に弾丸が命中し、ノイズのようなものが走っていた。

 奴はダメージを負いながらも両手のマシンガンを構えて――放つ。

 

 ガガガと音がして放たれた弾丸。

 俺はそのまま横へと流れるようにブーストする。

 弾幕を展開されて、距離を取られる。

 狙撃兵は姿を隠すつもりであり、俺はそうはさせるかと奴を追おうとする。

 が、進行方向に敵が肩部のランチャーで煙幕を展開する。

 

 俺は中へと突っ込み。

 そのまま煙の中から抜け出し……反応なし、か。

 

 姿を隠された。

 そう離れてはいないが、今から捜索するのは手間だ。

 また上空へと飛んで敵の攻撃を誘うしか――怖気が走る。

 

 俺は反射的に横へとブーストした。

 瞬間、後方から光の線が走った。

 それは遥か前方のビルへと当たり、風穴を作った。

 俺は建物の上に着地し、攻撃を放った敵へと視線を送る……へぇ。

 

《敵情報更新――プラン変更》

「……どんなプランかなぁ」

【そう簡単には……って事だねぇ】

【ヒット&ウェイってやつ?】

 

 敵は上空で停止する。

 纏っていた特殊なコートはパージされる。

 そうして、腕と一体化した武装がガチャリと音を立てて展開される。

 

 エネルギーランス……それも、射程距離が長いタイプか。

 

 出力が高く、貫通性能が高い。

 その分、エネルギーは馬鹿食いだ。

 見たところコアとの直結式じゃない。

 恐らくは、バッテリー式……いや、内臓のコアからか?

 

「……それ一本か? 随分とまぁ――自信があるんだねぇ」

《――排除する》

【人間の可能性を見せてやれぇ!】

 

 奴を挑発すれば、ブーストして迫って来る。

 奴の複眼センサーが真っ赤に発光し――背をのけ反らせる。

 

 瞬間、上部をエネルギーの線が走る。

 コックピッド内で強い熱を感じながら。

 俺はそのまま無理な態勢で奴の機体を横から蹴る。

 敵は体勢を崩しながらも、俺の足を掴もうとし――ショットライフルを構える。

 

《――!》

 

 弾丸を放つ。

 が、敵は驚異的な反応速度で弾丸を横へと飛び躱す。

 俺はそのままスラスターを噴かせて背面飛行。

 建物の上から逃れて、そのまま地上へと降下。

 機体を回転させて、脚部を地面に当てる。

 そうして、地面をスライド走行し――来るッ!

 

 背後から敵の気配を察知。

 一瞬の判断で横へとブースト。

 瞬間、上空からエネルギーの攻撃が飛んできた。

 

 攻撃速度はかなりのもの。

 だけど、一本だけなら何とでも――背筋が凍る。

 

「――ま!?」

 

 バックカメラで確認。

 瞬間、青く強い光が煌めき――無数の光が飛んできた。

 

 俺はすぐに動く。

 機体を右へ左へと動かし。

 避けられないものは、近くにいたトラックを蹴り上げてくいとめる。

 

 回避、回避、回避回避回避回避回避回避――加速だァ!!

 

 追尾のように迫って来るエネルギー攻撃。

 眼球は常に動いていて、呼吸が僅かに乱れる。

 機体が攻撃の衝撃で揺れて、レバーは汗で濡れる。

 地面を滑って移動し、そのまま十字路を左へと進む。

 一瞬で流れて行く景色の中で、ギリギリメックが通る道を発見。

 ブーストで壁に軽く当たりながらも強引に侵入。

 駐車していた車や木を吹き飛ばしながら進む。

 

「や、やべぇ!」

【ひやっとしたぁ!】

【ひやりはっと!(違う)】

【油断するなぁ!?】

 

 汗が噴き出す。

 単発の攻撃だけじゃない。

 拡散するエネルギー攻撃であり、ホーミング性能もある。

 厄介であり、まだまだギミックはありそうで――嫌な気配を感じた。

 

「――っ!?」

 

 瞬間、俺は考えるよりも早く上へと飛ぶ。

 ギリギリのタイミングで狭い道の前方から弾丸が飛んできた。

 レールガンであり、僅かに揺れ動いた空間から赤い光が見えた。

 

 助かった――訳じゃねぇ!!

 

 上空からも気配を感じた。

 瞬間、弾丸の雨が降り注ぎ――後方へ飛ぶ。

 

 背面飛行であり、弾丸の雨を俺を追う。

 そうして、前方からもレールガンの全力攻撃が来ると察知し――ショットライフルを放つ。

 

 瞬間、タイミングが合いレールガンの弾丸と俺の弾丸がかち当たる。

 僅かに射線がズレて、一発の胸部の装甲を薄く削っていく。

 俺は歯を食いしばりながら、狭い道から逃れようと――世界がスローになる。

 

 もう少しで道から出る。

 その瞬間に、敵の殺気を感じた。

 いる。そこで、武器を構えて――――死ッ!!

 

 

 俺はそれを感じ取り――機体を激しく回転させる。

 

 

 エネルギーの粒子を瞬間的に振りまき。

 一瞬で敵のエネルギーが迫り――装甲を焼いていった。

 

《機体損壊率――20%》

「耐えたぁ!!」

【え?】

【ま?】

 

 システムが警告を発する。

 が、直撃ではない。

 装甲はひどい火傷のようになっているが内部の回路に支障はない。

 俺はそのまま硬直している敵へと迫り――ゼロ距離で弾丸を連射する。

 

 ガガガと音が鳴り、敵の装甲の残骸が飛び散る。

 敵はセンサーを激しく点滅させながら腕を伸ばし――ビルの壁に激突。

 

 激しくスパークする敵の顎にライフルを突き付けた。

 

「――爆ぜろ」

《――!》

 

 ラストショットが――敵の頭部を吹き飛ばす。

 

 俺はそのまま死体から離れて横に飛ぶ。

 遅れて爆発音が響き、敵の反応の一つが消失する。

 

 にやりと笑みを浮かべて――戦場の空気が一変した。

 

《S-09のロストを確認――最終プランに移行》

《戦術形態――アクセル》

「……な、何?」

【これからって事?】

【盛り上がってきたねぇぇ!!】

 

 俺がレーダーで敵の位置を探れば――反応があった。

 

 隠れていない。逃げてもいない。

 寧ろ、高速で此方へと向かって来ていて――両横から真っ赤な光が灯る。

 

「うぉ!?」

 

 俺は思わず声を上げた。

 後方へとブーストしようとし――ライフルが切り刻まれた。

 

 バラバラであり、地面を滑りながら銃身がすっぱり斬られたそれを見つめる。

 そうして、前方を見れば……何だあれ?

 

()()

 

 敵はその場で回転する。

 一糸乱れぬ動きで舞う様に。

 そうして停止して、独特な構えを取り俺に真っ赤なセンサーを向ける。

 

 コートを脱ぎ捨てて、手足が細くなっていた。

 いや、細いというよりはガリガリというべきか。

 超軽量機体であり、地面に足はついておらずホバーしていた。

 両腕からは鎌のようなものが伸びており、耳がキーンとするような高温を奏でていた。

 光が反射してキラキラしており、俗にいうダイアモンドカッターかと予想する。

 

 銀色の機体が二機。

 まるで、バレリーナのようで……面白い!

 

 俺はショットライフルを投げ捨てる。

 そうして、肩部にマウントさせていたブレードを握る。

 

 二刀流スタイルであり、互いに最終形態だ。

 ブレードは起動し、刀身が真っ赤に赤熱する。

 俺は笑みを深めて、敵を見つめて――

 

 

「さぁ――やろうぜッ!!!」

()()()()()()

【存分に踊ろうや】

【死の舞踏だぁ!!】

 

 

 互いに地面を蹴りブースト。

 一瞬で間合いを詰めて――互いの得物がかち当たる。

 

 バチバチと火花が散り。

 互いの殺気が混じり合う。

 出力勝負は互角であり、腕からギチギチと音が鳴っていた。

 俺は歯をむき出しにして笑う。

 

 心無き人形だが――相手にとって不足無し!!

 

 これこそが闘争。

 これこそが命を懸けた――死闘(ダンス)さァ!!

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