底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす   作:オタリオン

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第55話:最高のフルコースの為に

 風を切り裂き、ダイヤモンドカッターが飛ぶ。

 機体をのけ反らせて回避。

 すぐに敵の片割れが攻撃を仕掛けてきて、ブレードで敵の攻撃を受け流す。

 ギャリギャリとブレードの表面を削り、そのままカッターは地面をバターのように切り裂く。

 俺はサブスラスターを噴かせながら機体を回転。

 そのまま連携攻撃を裁きながら、蹴りを放ち敵をけん制する。

 

 距離を取り、高速道路へと上がる。

 逆走もお構いなしであり、車を避けながら進む。

 見れば奴らも追って来ていて――ブースト。

 

 至近距離の奴らのカッターが迫る。

 命を狩り取る音であり、心臓をキュッと縮ませ――ブレードを回転。

 

 敵のカッターを絡めとるように回し。

 そのまま向かってきた車を蹴り上げる。

 

「サンドイッチだァ!!」

 

 車ごと蹴り飛ばす。

 瞬間、車は爆発し――背後から気配がした。

 

 上へとジャンプ。

 瞬間、かまいたちのように道路が抉られる。

 その直後に今度は真横から殺気で、一気に下へと降下。

 また風切り音が響き、たらりと汗を流しながら後ろ向きで高速を疾走する。

 

 右から左。

 上から下。

 危険な音がすぐ近くで響き、何度も心臓が止まりそうになる。

 ストレスフルであり、胃液をぶちまけそうだ。

 あらゆる方向から斬撃が飛び――常に機体の手足を動かす。

 

 両横から斬撃が飛ぶ気配を察知。

 瞬時に飛び上がれば、一瞬にて斬撃が後方のトラックを切り刻む。

 

 そのまま高速を降りて、地上を走行する。

 高速で地上を疾走しながら、空を飛んで迫って来た敵の攻撃をステップを踏んで回避。

 そのまま連携によって畳みかけるように放たれる斬撃をブレードで全て受け流す。

 真面に受け続けていれば、俺のブレードが保たない。

 故にこそ受け流しで――が、間が開かない。

 

 間髪入れずに攻撃が放たれる。

 怒涛の勢いであり、手汗が凄い。

 何度も何度も風切り音が響き、その度に振ったブレードに衝撃が走る。

 いつ折れるか定かでない状況で――俺は舞う。

 

()()()()

「――くぉ!?」

【速さこそスピードォォ!!】

 

 人形たちの声が響く。

 瞬間、攻撃で振ったブレードが――空を切る。

 

 残像であり、背後から気配を感じた。

 逆噴射によって回避と攻撃を同時に行えば。

 背後に立っていた敵は攻撃を僅かに遅らせた。

 その隙を使って距離を取り、そのままブレードで近くの車を敵へと弾き飛ばした。

 奴らは車を木っ端みじんにし、そのまま迫って来る。

 

 俺は奴らから距離を取りながら、細い道へと侵入。

 そのまま道を突っ切りながら、更に細い道へと右に曲がって侵入した。

 奴らは俺を追って来ていた。

 それを確認し――此処だッ!!

 

 機体の腕部の出力を一瞬で限界まで上げる。

 そうして、激しく振動させながら――マンションの壁に突き刺す。

 

「多重斬撃ッ!!! 埋まっちまえェ!!」

()()()

【おぉぉぉ!!】

 

 多重斬撃によって当たり判定が増大し。

 威力も底上げされた事によって高層マンションの壁には一気に亀裂が走る。

 そうして、一瞬で壁は限界を超えて崩落。

 そのまま雪崩のように残骸が降り注ぎ――俺は残骸の中へと突っ込む。

 

 連続ブーストであり、瓦礫の山を縫うように翔けて――捉えたッ!!

 

 奴らは高速で残骸から残骸へと飛んでいた。

 凄まじい速度で卓越した技量で――俺は機体を回転させてブレードを振るう。

 

 瞬間、周囲の残骸が砕け散り。

 鉄筋コンクリの弾丸となって敵へと迫る。

 奴らは動揺しながらも、器用にカッターで弾丸を弾いていった。

 

 そうさ、弾くしかねぇ。

 回避不能であればそうするさ。

 何せ、そんな細っちい体じゃ――攻撃一発も致命傷だろうよ!!

 

 俺は残骸を飛ばしながら奴らへと迫る。

 奴らはそのまま互いの脚部を蹴り合って横へと飛ぶ。

 不規則な動きで、残骸の雨を移動していき――俺が迫る。

 

 二機の分断に成功。

 後は残骸の雨を奴ら以上の速度で突破。

 そこから敵へと迫り、攻撃を仕掛ける――と、見せかける。

 

 敵は背後から迫る俺へと攻撃を放つ。

 凄まじい速度であり、振り抜かれたそれは――残骸を綺麗に真っ二つにした。

 

《――!》

「――エアゾーン」

 

 俺は奴の周囲でエネルギーの粒子を振りまく。

 奴は攻撃を放つが全てが空を切る。

 頼りのレーダーは完全に潰し。

 俺はそのまま奴へとフェイントを繰り返し――ブレードを持った手を引き絞る。

 

 そうして、残骸の雨を同時に突破し。

 レーダーが復活したであろう奴は真下から迫る俺へとカッターを振るい――残像を切る。

 

《――識別不能》

「――これが人間だ」

【人間じゃねぇよ!!】

 

 ゴーストジャンプの超単距離バージョン。

 あの戦いで生み出した新技だ。

 口内に血の味が広がるのを感じながら――ブレードを振るう。

 

 機体を回転させて、そのままブレードを振った。

 奴の真上からの斬撃であり、音もなく奴の機体は両断された。

 残骸はそのまま下へと落下していき――爆散。

 

 機体を滑らせながら停止。

 ブレードはボロボロで――何かが近くに降り立つ。

 

 視線を向ければ、最後の一機だった。

 奴は無言で鎌のように展開していたそれを折りたたむ。

 そうして、真っすぐに伸ばしながら独特な構えをしてきた……へぇ。

 

「小細工無しってか……良いじゃん、それ」

《……》

【決闘だ! 武士道だ!!】

 

 俺たちは互いに得物を構えて対峙する。

 互いに無言で見つめ合う。

 時が流れていき――近くで瓦礫が落ちた。

 

「――フゥ!!」

《――ッ!!》

 

 瞬間、互いにスラスターを噴かせて加速。

 得物を振りかぶり――かち当たる。

 

 つばぜり合いは一瞬だ。

 互いに得物を弾き、更に得物を振るう。

 またしてもかち合い、互いに弾かれる。

 お互いに全力で得物を振るった。

 

 振るって、振るって、振るって振る振る振る振振振振振振振振――全力全快さァ!!

 

 ゼロ距離にて互いに音速で得物を振るう。

 斬撃音が絶え間なく鳴り響き、花火のように激しく火花が散る。

 互いに相手を殺す事だけを考える。

 

 出力は限界を超え、腕の関節がダメージを訴えて来る。

 可動域の限界を超えて、コアの熱は最高潮。

 コックピッド内は蒸し風呂状態に突入。

 

 攻撃し、受け流し。

 回避し、また攻撃。

 繰り返し、繰り返し繰り返し繰り返し――笑みが深まる。

 

「ハハハハ!!!」

《――クゥハ!!》

 

 互いに笑い合う。

 そうして、更に限界を超えて機体の腕を振るった。

 

 常にレバーを動かし、指のボタン操作で調整。

 ペダルを小刻みに動かしながら姿勢を維持し。

 眼球は常に動いて、息は荒くなっていく。

 

 熱い、熱い熱い熱い熱い熱い――熱いじゃねぇかァ!!!

 

 最高に燃える。

 最高にいかしてる。

 最高の最高に――バトルしてんじゃんかァ!!!!!

 

 俺は呼吸も忘れて笑った。

 そうして、ブレードに亀裂が走り――砕け散る。

 

 バラバラと残骸が舞う。

 敵はその隙を見逃す筈もなく得物を振るい――敵の腕を掴む。

 

《――ッ!!?》

「テレビの技――実戦だァ!!」

【えええぇぇぇ!!?】

 

 俺は柔道の達人の技を使う。

 腕を掴み、適当なでっぱりも掴んで敵の足を払って――地面に叩きつける。

 

「うおらぁ!!」

【一本ッ!!!】

【はぇあぁ!!?】

 

 敵は少なくないダメージを負う。

 が、それ以上に困惑していた。

 センサーがバチバチと点滅していて――俺は頭上から降って来たブレードの残骸を掴む。

 

「熱々だぜ――冥土の土産だァ!!!」

《――な!?》

 

 俺は赤熱するブレードの破片を――奴のコアへ突き刺す。

 

 ぐずぐずに手が溶けながらも、ブレードの破片は奴のコアへと抉り込む。

 奴は一瞬暴れて……沈黙した。

 

 俺はその場からバックステップで離れる。

 瞬間、遅れて爆発が発生した。

 

 俺はそのままその場で一回転し――両の手を合わせる。

 

「――ごちそうさま!」

【満腹、だね!】

【お粗末ッ!!】

 

 頭上にはWINNERの文字が浮かび上がる。

 依頼は達成であり、すぐに転送が始まって――――…………

 

 

 

 …………――――目を開ける。

 

 すると、マイルームの中だった。

 落ち着いて確認をすれば、無事に昇格が完了している。

 リスナーさんを見ればそわそわとしていた。

 俺は安心させるように笑みを浮かべて親指を立てる。

 

「無事Aランク――昇格達成です! いぇい!」

【やったー!】

【おめでとー!】

【長かったのぉ……長かったかなぁ?】

 

 それぞれの反応を楽しみながら、俺はこれからの予定を話す。

 先ずは大型エネミーの討伐だ。

 五体の討伐だからこそ、悠長にはしていられない。

 その事を話して……ん?

 

【データキーの事だけどさ……ちょっと面白い事になってたよぉ】

「……もしかして、現時点で結構取り尽くされてたり?」

【んー。それもあるけど……何か偽物が出回っているっていうよ?】

「に、偽物? え、それって……プレイヤーが作ったものですか? それとも」

【運営らしいよ! 精巧に作った偽物で、本物に混じっているらしいってさ!】

 

 俺はリスナーさんたちに質問する。

 彼らから齎された情報を整理すれば。

 データキーの中に偽物が混じっていて、万が一にでもそれを手にしてしまえば。

 強力なNPCの傭兵を召喚してしまうようだ。

 それも現時点では倒す方法が分からない理不尽な相手だそうで。

 データキーを集めていた人間たちも、外れを恐れているらしい。

 

【多分だけど、沢山集めてるような奴にはハズレが出やすいってどっかの誰かが言ってたなぁ】

【もしも戦闘になって死んだら持ってるもの中で何かを奪われるらしいよ!】

【確か、データキーが優先的に奪われるんだっけ? 無かったら、価値あるものだったかなぁ?】

「……へぇ、そんなものまで仕込んでたんですね」

 

 ……運営の狙いとすれば……単純な運試しと転売ヤー対策かな?

 

 運も実力と言うしな。同時に転売ヤーをけん制できるのもいい。

 後は、理不尽な存在から逃れるだけの腕があるかどうかか。

 リスナーさんたちによれば、時間経過でその謎の敵は去っていくらしい。

 耐える事が出来れば、データキーが対峙した人数に応じてくれるらしい……優しいな。

 

【マジで気を付けてね! 本当に無敵っぽいからさ!】

【絶対に戦うなよ! マジで逃げろし!! フリじゃねぇぞ!?】

「ははは、分かってますよぉ……でも、ちょっと興味あるなぁ」

【ダメだこいつ早く何とかしないと(恐怖)】

「じょ、冗談ですよぉ! ははは……ふっ」

 

 リスナーさんに説教されながらも。

 俺はデータキーの偽物については後で皆に情報共有しておこうと思った。

 これは結構重要であり、俺の考えが正しければ後半につれて偽物の数も……あぁ、なるほど。

 

 恐らく、運営の真の狙いは――“本物を見つける事”か。

 

 このゲームに正解なんて無いが。

 恐らく、熟練のプレイヤーほど俺たちのやり方をするだろう。

 そうなれば、自然とデータキーの奪い合いになる。

 が、偽物だけは溢れているのであれば……確実にそれで正解を得るプレイヤーが出て来る。

 

「……うし! それじゃ、今日は此処までにしますね! 時間も時間ですし……皆さん、長い時間お付き合いして頂きありがとうございました! それではぁ――お休みなさぁい!」

【おやすみー!】

【おつかれさまー!】

【またねー!】

 

 挨拶をし配信を切る。

 今日も絶好調だ。

 俺はマイルームで静かに息を吐く。

 そうして、指を動かしてログアウトを選択し――自室に戻る。

 

 ゲームチェアは自動で起き上がる。

 俺は伸びをしながら、体の調子を確かめた。

 

「ん、んー!! はぁぁぁ……やっぱり凄いなぁ。全然、肩こりがないや」

「――お茶」

「あ、どうも……はぁぁ、やっぱりゲームの後は日本茶に限りますねぇ」

「そう」

「えぇ、そうですよぉ…………え?」

 

 湯呑を渡されてお茶を飲む。

 ほどよい温かさの日本茶だった。

 美味いと思いながら礼を伝える。

 が、遅れて目を丸くしながら驚き――此処に何故、神崎ソフィアさんがいるのかと思った。

 

「え、あ、え、あ、え?」

「何?」

「え、何って、えっと……え?」

「鍵なら開いてた」

「え? あ、開いてましたか? 掛けた筈」

「――開いてた。何?」

「え? あ、え……ふ、ふへ」

 

 開いてた以前に、何で住所を知っている。

 竜一が教えたんだろうが、質問しようにも真顔だからこそ怖い。

 起きたら絶世の美女が立っているんだ。

 恐怖以外の何物でもなく、一周廻って冷静になっていく気がする。

 

 彼女はベッドに腰を下ろす。

 そうして、姿勢よく座りながらジッと俺を見つめて来る……な、何だ?

 

「……え、えっと」

「――おめでとう」

「え? あ、どう、も?」

「……1位になるのは当然。その後の戦いも見事だった」

「え、あ、あぁ! そ、そうですか! ほ、褒めてくれるなんて珍し」

「――負けた事は許さない」

「……ふぇ?」

 

 褒めてくれたのに許さないとは何か。

 目を点にしていれば、彼女は俺を睨んできた。

 意味不明であり、俺は激しく困惑する。

 が、これだけは伝えておこうと思って俺は親指を立てて笑う。

 

「――リベンジします! 今の俺の目標は――それだけですから!」

「……! アレを倒す事が、目標? 世界大会は、踏み台ってこと?」

「そうです! 優勝しないとリベンジ出来ませんからね! 俺がこの手で傭兵たちを――ぶっ殺します!」

 

 俺は挑戦的な笑みを浮かべる。

 ブラックレコードと縁がある彼女からすれば聞くに堪えないだろう。

 が、俺は敢えて言ってやった。

 今度は俺からブラックレコードへの挑戦状で――彼女が立ち上がる。

 

 無言でずんずんと近づいて来て――片手で頬を掴まれる。

 

「ふげ!? ふぇ!? は、はに!?」

「…………生意気」

「ふぇ!? ふぇ!? ひょ!?」

 

 彼女の頬は薄っすらと赤い。

 我慢しているようだが顔はにやけていた。

 それだけなら可愛いものだが。

 目にはハイライトが無くて、手の力は万力のようだった――いでででで!!?

 

 

「絶対に殺す。私がこの手で殺す。私だけが貴方を理解しているから。だから絶対に――私以外の前で死なないでね?」

「いでででででで!!?」

 

 

 口から涎が垂れる。

 俺は必死に彼女の腕を叩く。

 すると、彼女は俺の頬を掴むのをやめた。

 頬に穴が開いていないかと確認し、彼女を見上げれば。

 手についた俺の涎を舌で小さく舐めとって猫のように目を細めていた。

 

「あんなものじゃない。私はあれ以上に――貴方の心を燃え上がらせるわ」

「……それは楽しみだね」

「えぇ楽しみにして。そして――私を失望させないで。ホワイトレコード。いや……加賀芳次」

「失望させないよ。最高の日にしてあげるさ……えっと、そう伝えてくれるかな? ブラックレコードさんに!」

 

 俺は親指を立てて笑う。

 ちょっとくさいセリフかと思っていれば。

 彼女は小さく口を開けて固まっていた……ん?

 

「………………分かった」

「あ、うん! よろしくね! ……えっと、送ろうか?」

「良い。待たせてある…………はぁ」

「……?」

 

 神崎ソフィアさんはため息を零し去っていく。

 見れば、彼女は振り返る事も無く扉を閉めて帰っていった。

 態々、おめでとうとかいう為に来てくれるなんてなぁ……マメな人だな!

 

「それにしてみ鍵開いてたって……嘘だよな?」

 

 壊されていないか不安に思いながらも。

 これで本格的に皆と協力して挑める事に喜ぶ。

 さっきの言葉もブラックレコードに伝わるだろうし……さぁどうなるかなぁ。

 

 ナンバーズに目をつけられた。

 その中でも、サンドブルームさんに目の敵にされて、ブラックレコードは俺を待っているという。

 想像を絶する強者たちとのバトルが待っているんだ。

 考えるだけで興奮して眠れそうにない……あぁ、楽しみだなぁ。

 

「先ずは予選参加の権利を得る事だけど。その後は、大会用の兵装だったりパーツに。あぁ資金調達もしなきゃなぁ……あぁ忙しくなるぞぉ!!」

 

 慌ただしい日々が始まる。

 全ては強者たちとの心躍る戦いの為。

 そして、フルコースの最後を飾ってくれる至高の“デザート”――“アヴァロン”の為だ。

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