底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす 作:オタリオン
ワームが連続して飛び出す。
ゴミ山が弾けて、雨粒と埃が舞う。
敵の装甲の表面がバチバチとスパークし――電流が迸り、周囲に一気に放電した。
轟音。耳をつんざくような雷鳴だ。
俺は電流による攻撃の一部を弾丸で回避する。
瞬間、ゴミ山を蹴りリリアンさんと月島さんが互いに回転しながら躍り出る。
「リリアンさん!」
《攻撃ッ! 月島!!》
《お、おっす!!》
二人は見事な連携で連続して弾丸を放つ。
ワームの表面に現れていたアンテナは砕け散り。
奴らは悲鳴のようなものを発して暴れまわった。
鞭のようにワームの巨体が暴れまわる。
ゴミ山も吹き飛び、残骸が周囲に飛び散った。
リリアンさんは敵の巨体をギリギリで回避し。
月島さんも何とか残骸を避けて――ッ!
「――ぇ?」
《月島!!》
彼女の死角から迫るワーム。
気配を殺し、地中から忍び寄り。
彼女が回避できない距離で飛び出して――俺は弾丸を放ち、奴のセンサーに浴びせた。
六発の弾丸が精確に奴のセンサーの一つを砕いた。
まるで、痛みが分かるかのように奴は金切り声を発し。
その僅かな隙を使って、俺は彼女に体当たりをしながら奴の間合いから逃がす。
《うぁ! ――す、すみません!》
「大丈夫! もう少しだよ!」
俺は彼女の機体から離れる。
そうして、みっちゃんとコウちゃんの下までブーストする。
彼女たちはワームの攻撃を誘発させて。
地表へと出現させて、アンテナの有無を確認しマーキングをしていた。
そのお陰で、着実に敵の弱点を攻撃で来ていた……が、何か妙だ。
「みっちゃん! コウちゃん! 攻撃に回ってくれ!」
《了解しましたぁ♡》
《了解!》
俺は弾丸を乱射する。
敢えて、アンテナの無い敵に対して装甲に攻撃を当てる。
すると、奴を起点として他の敵も此方を視認したのが分かった。
奴らは地中に潜り、下を高速で移動して――悪寒を感じた。
俺は考えるよりも早く連続ブーストをする。
瞬間、地面を砕いて空に向かって強い電撃が走った。
まるで、神話の神の雷で……嘘だろ?
「地面からも攻撃できるって……ありかよ」
《連続しては使えないようですねぇ。その証拠に何体かは沈黙していますよぉ?》
みっちゃんの言葉にレーダーを確認する。
すると、何体かは本当に地中の中で停止していた。
マーキングした敵は動いているようであり……もしかして?
「アンテナが無いタイプは、それほど電力を生み出せない?」
《……なるほど、つまり、先ほどのような強力な攻撃を放てば暫くは動かないと……可能性はありますね》
リリアンさんの言葉に全員が頷く……だったら!
俺は地面に降り立つ。
そうして、態と音を立てるように地面を脚部で擦っていった。
ゴミなども弾く事で音は大きく、俺の居場所はバレバレだ。
月島さんは危険だというが、俺は敢えて音を出し続けて――背筋がぞくりとした。
瞬間、俺はスラスターを爆発させるような加速――ゴーストジャンプを行った。
一瞬で、エリアのギリギリまで飛ぶ。
ギリギリのタイミングで、先ほどまでいた地面から特大な電気の柱が撃ちあがる。
それは俺が元いた場所を起点に広がっていた。
もしも、連続ブーストであればこんがり焼かれていただろう……あぶねぇ。
「でも、これで邪魔な奴らは――月島さん! あれ、お願いしますよ!」
《……! 了解です! いくぞぉぉおらぁぁ!!》
月島さんは空から一気に地面に降下していく。
そうして、サブアームで片方の銃を肩部にマウントさせる。
開いた手はマガジンと同じように腰部に取り付けていた――“ショックグレネード”を掴んだ。
武装じゃない。
あれ自体にダメージ効果は無い。
ただ単純に、一度を起爆すれば――“衝撃波が地震並み”に発生する事くらいだ。
《くらぇやぁぁぁ!!!》
彼女はグレネードのピンを外し。
そのまま大きく開いた穴の中に投擲する。
暫く待ち――瞬間、空間を大きく震わすほどの揺れが発生した。
《――――!!!!!》
「でたぁ!! 情報通りぃぃぃぃ!!」
《高い金を払っただけの事はありましたね――さぁ!!》
リリアンさんの言葉を聞き終わる前に飛び出す。
そうして、巨体をゴミ山の上に横たわらせるそれに対して全員で――攻撃を開始。
無防備な状態であり、俺は流れるようにアンテナを破壊していく。
出てきているのは全てアンテナ持ちであり。
他は飛び出せないほどに電力を消耗している。
情報屋が言っていた通り、奴らが動けない状態でグレネードを使えば――畳みかけられる!!
全員が雄叫びをあげて攻撃。
アンテナは瞬く間に潰されて行き――最後の一つを潰した。
「どうだぁ!?」
俺は空を飛びながら、横たわるワームを見る。
動きに変化はなく――いや、違う!!
ワームが小刻みに振動している。
アンテナを全て潰した事によって――“最終形態に変わる”。
《――――!!!!!》
ワームが天を仰ぎ見て巨体を震わせる。
瞬間、鱗のように動いていた装甲が――はじけ飛ぶ。
情報屋から聞いていた通りであり、全員は予め距離を取っていた。
観察すれば、装甲の下から――赤と青の光を放つ無数の球体が浮き出ていた。
アレこそが奴の最終形態だ。
無数の球体は電気を増幅させる為のものであり、メックでいうコアだ。
アレの中で、赤く発光している球体のみを破壊しなければならない。
情報屋からの情報では、青い球体への攻撃はダメだ。
青い球体を潰していけば、奴の体内のエネルギーが暴走状態入り。
そのまま周囲一帯のメックを電気の力によって引き寄せて、周囲のゴミ山の残骸に潰されて……ジ・エンドだ。
「回避不能、離脱も出来なくなる――さぁラストですよ!」
《お、おっす!》
奴は体を震わせながら地面に潜る事無く地表を移動する。
むき出しの弱点で――瞬間、別のワームたちが出現する。
奴らは本体であるワームの周りに纏わりつく。
まるで、装甲の代わりとなるように纏わりついていた。
うねうねとうねりながら、奴の周りを這っている。
それを見て俺は舌を鳴らす……厄介だな。
「記憶は難しい……なら、反射神経か!」
俺は独り言を零し、そのままブースト。
周囲に無差別に電流による攻撃を行う奴の周りを飛び――弾丸を発射。
本体の周りを這っているワームたち。
が、完全にカバーできている訳じゃない。
隙間が存在し、一瞬の光で判別し――赤い球体を撃ち抜く。
《――――!!!!?》
「いけるな!」
俺は手応えを感じた。
だからこそ、回転によって敵の攻撃を回避し。
そのまま流れるように一瞬の判断で敵の装甲の隙間に――弾丸を放つ。
弾丸は赤い球体に吸い込まれて行く。
次々と球体を潰していきながら、皆にも指示を出す。
「無理に破壊しなくてもいいです!! 自信が無ければ奴の注意を!!」
《――誰に言ってるのですか?》
《ふふふ、先生――舐めないでくださいね?》
リリアンさんとみっちゃんが連携を取って空を翔ける。
そうして、敵の電撃を回避しながら弾丸を放つ。
此方からは見えないが、敵は攻撃を喰らって悲鳴を上げていた。
恐らくは、命中させたんだろうが……やるねぇ。
コウちゃんを見れば、彼女も単独で球体の破壊をしていた。
俺はやっぱり組んで良かったと改めて思って……月島さんを見る。
《わ、私だって、私、だって……っ》
《月島!!! 止まるな!!!》
《――ぇ?》
彼女は僅かに意識を逸らしていた。
それは格好の的であり――ワームが彼女に向かって突進する。
電気の流れは強くなり。
その動きは更に速く――連続ブースト。
俺は再び彼女の機体に体当たりする。
そうして、強引にその場から逃れようとし――敵の群れが先回りする。
「はや!?」
《うわぁ!?》
ワームの群れが一気に俺たちを取り囲む。
眼前に迫った敵の壁から逃れるように軌道を変更。
そのまま脚部の裏を敵の装甲に当てながらも何とか地面に着地した。
彼女の機体から離れて周囲を確認し……やべぇな。
《な、何ですか、これ!?》
「……一気に仕留める気だね。情報屋からもこれは聞いてないけど」
ワームの群れだ。
それが俺たちの周りを超高速で回っている。
凄まじい高音であり、耳が痛みを発していると思うほどにうるさい。
装甲となるワームたちは外であり、今、俺たちを邪魔しているのは本体で……はは。
超高速。いや、音速の領域か。
赤い球体と青い球体が光の線になっていた。
それも、球体の光はランダムで変化している。
《警告、敵性体の内部に高濃度のエネルギー反応を検知。90秒後に強力な磁場が発生します》
《や、やばいです! でも、こんなの絶対に……》
一回でもミスれば即磁場が発生。
そのまま機体が潰される前に内部の俺たちが死ぬだろうな。
音速状態でランダムと来ているんだ。
こんな理不尽なんて――――燃えるじゃねぇかぁ!!
俺はマガジンを排出し、腰のものを装填する。
そうして、ぺろりと唇を舐めた。
「月島さん。そのままでいてくださいね。静かに、立っているだけで」
《……ま、まさか、先生……!》
俺は目を細める。
そうして、自分自身の感覚を研ぎ澄ませて――オーバーセンスを発動。
僅かに周囲の流れが遅くなる。
が、それでもまだまだだ。
流れは速く到底、肉眼では見えないが――問題ない。
ランダムでの発光。
一瞬の光の変化。
そこから弾丸の発射のタイミングと弾着時間を計算。
全てを頭の中で計算し――銃を左右に構える。
「さぁ――Show time!!」
《――!!》
俺は感覚を研ぎ澄ませて――弾丸を連射。
放たれた弾丸は、勢いよく回転している本体へと迫り――赤い球体を撃ち抜く。
奴は悲鳴を上げる。
耳が痛くて堪らない。
が、痛みを無視して更に弾丸を放つ。
放たれた弾丸が再び赤い球体を撃ち抜く。
左右の眼球が不規則に動く。
限界を超えて、視界に入る情報を頭へとぶち込み。
そのまま感覚だけで弾丸を発射。
機体の両手を動かしながら、弾角を細かく調整。
赤い球体を撃ち抜いたと確信しながら、軸足を起点にしながら回転。
銃を空中で滑らせながら弾丸を発射し続けた。
発射、発射、発射発射発射発射発射発射発射発射発射――頭が痛い。
激しい頭痛に焼けるような熱さ。
鼻から何かが垂れている。
が、全てを無視して俺は銃を振り続けた。
機体の稼働限界も無視。
システムの警告も聞こえやしない。
残像が出るほどの速さで動き、敵の弱点を破壊する事だけを思考し――弾丸を放つ。
《す、凄い。こ、こんなのって》
《月島!! 中で何が――ホワイトレコード様は何を!!》
《え、あ、弱点を。音速で、ランダムで、敵を……あ、静かに》
《何を、待て、映像共有を……! こ、これは……あぁぁ、録画♡》
うるさい――が、すぐに静かになる。
痛い、熱い、痛い熱い痛い熱い熱い熱い熱い熱い――消えて行く。
不調が雑音が消えて、体が気持ちよくなっていく。
興奮しており、心地よい熱で。
鼻から何かを勢いよく垂れ流しながら――笑った。
「Hurry!! Hurry!! Hurry!! ――もっと楽しませろォォォ!!!!」
《ひぐ!?》
《あぁぁ♡》
《……さすが》
《……ふふ♡》
俺は更に機体の稼働速度を上げる。
バチバチとスパークしており、システムの警告が強くなるが。
俺はそれを無視して、次々と敵の弱点を潰していく。
潰して、潰して、潰して潰して潰して潰して潰して――ラストォ!!!
俺は双銃を正面に構える。
そうして、同時に弾丸を発射して――最後の赤く発光する球体を撃ち抜く。
《――――――ッ!!!!!?!!?》
《やったか!》
《せ、先生!》
リリアンさんと月島さんが叫ぶ。
瞬間、ワームの包囲が解かれた。
奴らは体を震わせて、装甲の下から爆発を繰り返す。
一体、また一体と地面に倒れていき――本体が地面に倒れ伏す。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……しんどい」
全身汗だくだ。
体の節々が痛く、ヘルメットをずらせばぼたぼたと血が流れて行った。
皆を見れば、これで一体目だと喜んでいた。
月島さんは本体の方へと近づいて行って、素材を確保しようとし――瞬間、俺の心が警鐘を鳴らす。
「――月島さん!!!」
《――な!?》
彼女は俺の声に反応しその場から上へ飛ぶ。
が、地面からワームが飛び出し――彼女の機体へと迫っていく。
ボロボロのワームの先端には電気が集まっていた。
それを光線のように放てば終わりで。
彼女が脱落すれば、一緒に――
スローモーションに感じる中。
俺は彼女の機体へ向かって連続でブーストする。
が、初動が遅れた。明らかに間に合わない。
攻撃をしても、奴の強い電撃は逸らせない。
どうする、どうする、どうする、どうするどうするどうするどうするどうするどうする――
《先生――ごめん、なさい》
「……ッ!!」
俺は彼女の機体に手を伸ばし――瞬間、耳をつんざく音が響く。
遥か彼方から放たれた何か。
光の線が走り、それが精確にワームの頭を撃ち抜いた。
遅れで爆発音が響き、ワームの巨体が地面に横たわる。
《え、え、え?》
「……何が……いや、誰が」
月島さんは地面に着地し、激しく困惑していた。
俺もであり、弾丸が放たれた方向を見る。
すると、大きな山の中腹にてメックらしきものが微かに確認できた。
「……ダメだ。遠すぎる……この距離で、当てたのかよ……はは、すげぇ」
謎のメックであり、確実に言えるのは圧倒的な強者という事だ。
あの距離からワームの頭を撃ち抜けたのなら。
もしかしたら、俺たちの事も撃ち抜けたのではないか……まさか?
「……いや、よそう。意味ないし……兎にも角にも、一体目!」
俺はお通夜のように黙っている全員に声を掛ける。
記念すべき一体目の討伐であり、全員無事に生還できた。
先ずは喜ぶべきであり、俺は謎のメックからの――“殺意から目を背けた”。
○
自由探索領域から帰還し、雨の降る街の路地裏に入る。
姿を隠す灰色のコートを羽織い、吐き気を催す“ゴミの臭い”を遮断する為の黒いマスクをつけて。
不自然に設置された赤い電話ボックスの中に入った。
「……」
硬貨を取り出し、電話機の中に入れる。
そうして、番号を入力して――“敬愛する師”へと連絡を繋ぐ。
こんな面倒なやり方は好きではない。
が、師が自らと関係のある人間を探られない為に敢えてこうしている。
特に、“あの憎き存在”に俺の事を知られたくないのだろう……腹立たしい。
コール音が続き、俺は受話器を握ったまま待つ。
寝ているのか、仕事中か。
そんな事を考えて――繋がった。
《……何?》
「ホワイトレコードと接触しました」
《……そう。で?》
「比類なき才能はあります……が、不完全です」
俺は師に簡潔に伝える。
奴を気まぐれで監視し、隙があれば殺す気でいた。
が、その戦いを見て分かった。
奴には俺には無い、師に匹敵する理不尽な力がある。
努力ではどうしようもない才能であり、師が一目置くのも分かる。
が、それでも戦いに対する本気が足りていない。
あの時、確実に奴の仲間は死んでいた。
助けようとだなんて俺は思っていなかった。
が、師が心を向ける存在に対して――貸しを作ったという事実が堪らなく嬉しかった。
「……アイツは貴方が戦う前に――ナンバーズの誰かが殺します」
《……お前が?》
「……! いえ、分かりません……ですが、戦う機会があれば……俺は奴を殺します。例え、貴方に恨まれようとも」
《……どうでもいい。好きにすればいい……ただ》
彼女は何かを考える。
俺は師の言葉をジッと待った。
待って、待って、待って……。
《……いえ、いいわ……ノルマは?》
「完了しています……明後日までには、予選には進めます」
《……分かった。他には?》
「ありません……おやすみなさい」
師は俺の言葉を最後まで聞かずに通話を切る。
俺はゆっくりと受話器を戻し。
師の心を奪う怨敵への――殺意を積もらせる。
「どうでもいい、か……そこまで、アイツを……」
奴を信じている。
俺程度には殺されないと信じ切っていた。
言葉にしなくても分かる。
師の心はずっとアイツにだけ向けられているから。
憎い、憎い……殺してやる。
奴を殺せば、俺が奴を超えれば。
その時は師は俺を認める他ない。
“過去の伝説”ではなく、“伝説を殺した存在”を。
俺は受話器を強く握る。
そうして、眼を細めて殺意の炎を滾らせて――
「あの人の心は……お前には相応しくない」
ちっぽけで穢れに満ちた愛情こそが――俺の戦う理由だよ。